続き1
狒々のような奴が次々と俺に襲い掛かって来るが、それを俺は血まみれになりながら吸収した。
それによって、俺はさらに身体がでかくなっていく。
そして、さらにそれらと戦っていた。
最初は狒々に抑え込まれて、身体が軋むようだった。
だが、合体を続けるうちに彼らを吸収して、彼らを一撃で葬り去れるように変わっていく。
まさに兵器だ。
<黄泉の王>とやらも実は心を持たない兵器なのかもしれないとふと考えた。
「何をしているんだっ! 」
鵺に乗っている何かが俺に叫んだ。
それは小さな小さな俺だった。
「逃げて来たのか」
俺が血まみれになりながら、そう聞いた。
「いや、君が来たと言うから逃げ出して来た。何で、こんな事を……」
「いや、<黄泉の王>を倒すにはこれしかないと思う」
「すでに、<黄泉の王>の方が幾重にも妖を吸収していて、今更同じ方法では倒せない。あちらの方が大量に吸収しているんだぞ? 」
「奴を乗っ取る」
そう俺が断言した。
「え? 」
「記憶が少し戻った。恐らく、俺の心は<黄泉の王>に近いのだと思う。だから、奴の力を乗っ取る。そして、その時に君が俺の身体を奪って、奴のコントロールを封じた俺を倒して欲しい」
俺がそう話した。
血か涙かわかんないものが流れる。
「いや、俺がどうやって倒すの? 」
小さい俺が途方に暮れた顔をした。
え?
その時に、急に醒めた。
「ええーと、俺が<黄泉の王>の心を凍結して、君が俺の身体のコントロールを取り戻して……」
「同じ自分だとして、そんな事を俺が出来るとでも……」
小さい俺の困惑が手に取るように分かった。
いや、俺は出来そうなんだが……。
突っ走ってしまったのか?
自分でも衝撃を受けた。
今更、どうしろとと途方に暮れた。




