続き9
「ふはははははははは、合体ぃぃぃぃぃ! 」
俺の叫びが響き渡る。
ドジョウ男が綺麗な薄絹の服を破かれた美しい水の妖精に飛び掛かる。
それはまさに昭和のエロマンガのワンシーンでは無いのか?
だが、それは俺の必死に心に抑えつけられた。
このままドジョウ男のまま死ねない。
お笑いだってもっとマシな展開がある。
好きな女性に告白されて、それが俺が大学生の時に命を掛けて戦って守った女性だと。
記憶を削られて、それを忘れていたと。
そう信じていたら、小さい俺が居た。
本来の魂が分離して、別に居たと考えるべきだろう。
では、その助けられた事で別の人間と付き合ってしまった女性の立場は……。
しかも、冥婚とはいえ結婚してしまっている。
何という残酷な展開。
勿論、三鈴さんにしたら結婚する相手を間違えてしまったような展開だ。
辛いに違いない。
でも、俺はもっと辛い。
単なるピエロのような状態だ。
恋愛漫画で当て馬みたいにされている二番手三番手の奴みたいだ。
彼らだって好きで当て馬にされてるわけでは無いのに。
そうウィンディーネに抱き着いたら、身体がドジョウ男のせいかするりとぬけて、ウィンディーネが跳ねて飛んでいく。
「くうっ! ドジョウ掬いはぬるぬるしているから掴めずに必死に交互に捕まえている仕草をするが、ドジョウ男もやはり捕まえる側になっても同じなのかっ! 」
俺が衝撃の展開に動揺した。
そして、それ以上に動揺したヤタガラスさんの瞳孔が開いて、俺を巨大なビー玉で覗き込んでいるような顔をしていた。
どこまで、変な展開になるのか。
「ふふふふふ、待ってください。そう言うことなら私の出番ですよ」
そう<おやっさん>の野崎君がいつの間にか現れた。
跳ね飛んだウィンディーネもびっくりの展開である。
 




