続き8
「な、何をやってんですか? 」
そう聞いた事のある声で言われた。
そこには俺にずっとついていたヤタガラスさんが居た。
ヤタガラスさんは空間を斬るように移動できる。
そうやって、俺を探していたら、ドジョウの姿になった俺が食べてと腹を見せている姿に出くわしたと言う事らしい。
「あなた、加茂さんですよね」
そう動揺しながら、ヤタガラスさんが呟く。
あまりの想像を超えた展開に言葉が出てしまったと言う感じだ。
「いや、単なるドジョウ男です」
俺もあまりのヤタガラスさんの動揺の仕方にさらに動揺してしまってどもりながらも答えた。
「いやいや、いよいよ最終決戦が間近でどちらが勝ち残るかって言う、この局面で何を一体……」
そうヤタガラスさんに言われて涙がほろりと出た。
本当にそう思う。
大好きな三鈴さんに会う事すらままならない。
もはや、俺は単なるドジョウ男になってしまった。
敵役にすらなれない。
何と言う事だ。
「加茂だと? 」
そうウィンディーネが俺をじろりと見た。
「あっ! 」
今頃になってヤタガラスさんが行ってはいけない事を口走ったのに気が付いたらしい。
「なるほど、<黄泉の王>たる気質が現れたか。そういう事か」
そうウィンディーネがにやりと笑った。
凄い美人が邪悪に笑うと本当に絵になるなぁ。
そう感心した。
そして、強く思った。
合体せねば。
ドジョウ男では終われない。
「合体ぃぃぃ! 」
俺が水の刃をキラキラとスクリューのようにウィンディーネに叩きつけるようにまき散らして攻撃した。
だが、流石は水の精霊で、ウィンディーネは自らの薄絹の服を切り裂かせるだけでそれを避けた。
その結果真っ裸になっていた。
それに俺が合体と叫んで水面を走って走り寄ったもんで、ヤタガラスさんが誤解した。
「加茂さん……」
そうして、俺は単なる変態にバージョンアップした。




