続き1
「おかしい。これだと、俺が<黄泉の王>だと言う事になってしまう。どういう事なんだ? 」
俺が必死になって考え込んだ。
感覚を研ぎ澄まして周りを感じる。
まるで鼓動のような響きを感じた。
「<黄泉の王>とかがいるのか? だが、俺が<黄泉の王>だと言うのなら、あそこにいるのは何なんだ? 」
俺がそう思いながら、洞窟の中を手で壁を伝いながら歩く。
全く訳が分からん。
<黄泉の王>だと言うなら、もう少し<黄泉の王>らしくないといかんはずだが……。
そう呟いて身体を触った。
「肌触りが違う」
それは人形では無かった。
全身に鱗のようなものがある。
「はああああああああ? 」
流石に大きな声を出した。
いくら何でも鱗はおかしい。
どういう事なんだ?
大きな声をあげたせいか、何かが走ってこちらに向かって来る。
やってしまった。
「くそっ! 声をあげてしまった! 戦う武器もないのに! 」
俺が舌打ちをしながら前を見た。
そして、そこにはリザードマンが居た。
まるでファンタジー世界並みの無茶苦茶だ。
とはいえ、剣や防具をつけているわけでは無いが。
ただ、その体躯から相当な力を持っていると思われて、流石にこれと戦うのは無理だろとため息をつくくらいに状況が良くない。
「ああ、糞っ! 何も出来ないしっ! 」
俺がそう呟くと同時に、水がぴしゃぴしゃと集まりだして、目の前で渦を巻き始めた。
「えええっ? 」
そして、それは水で出来た刃のようになって、目の前のリザードマンをズタズタにした。
それは一瞬の出来事だった。
俺は衝撃を受けたようにそれを見ていた。




