続き1
「いや、貴方がそう言う態度だと困るんですけど」
「いや、勿論、このまま捕まったままで相手のとこに行くのはまずい。ここから逃げないといけない」
ヤタガラスさんの困惑した言葉に、俺が続けた。
すでに、グリフォンは海上を飛んでいた。
このまま向こうに向かうのは不味すぎる。
「安心してください。我々は木で出来てます。ここで落ちても大丈夫ですよ。浮きます」
海をじっと見ている俺に<おやっさん>の野崎君がそう説明した。
「いや、肘に鉄心を入れて無かった? 」
「あっ! 」
<おやっさん>の野崎君が自分に施された改造を思い出して、焦った声を出した。
攻撃力は増すけど、それだと沈んでしまうと言うこの現実。
「ふふふふふ、と言いつつ、準備は万端ですよ。緊急時に海に落ちた場合は背中のハッチが開いて浮きが出る予定です」
驚いていたものの、思い直したのか、そう<おやっさん>の野崎君が笑った。
「鉄芯が入ってても浮くと言う事ですか」
「多分」
<おやっさん>の野崎君がそう答える。
マジで鉄心を入れてたのを忘れていたな。
それにしても、最初から海に行く気満々じゃねぇか。
最初から準備してたとか、最悪だ。
「しかし、俺には何も無いが? 」
俺がそう呟いて身体を見回した。
「ふふふふ、大丈夫です。貴方が浮くのは中西君に確認してあります。用意は万全ですよ」
そう<おやっさん>の野崎君が笑った。
「つまり、最初から海に落ちる予定だったと……」
ヤタガラスさんの辛辣そうな言葉を<おやっさん>の野崎君は無視していた。
まあ、そんなとこだろうなと俺も思った。




