続き3
内側から見ると窓に花火のように血が飛び散る。
「何だか、必死だな」
「そりゃ、ここ一番の大勝負ですし。貴方の厄介さは向こうに分かったから必死なんでしょう」
俺の呟きにヤタガラスさんがそう突っ込んできた。
「困りましたね。これだとやり過ごすの無理じゃないですか? 」
そう、<おやっさん>の野崎君が玄関のドアの方を見て呟いた。
あちらのドアにも体当たりをしているようで、血しぶきのような音がしている。
「なんで、いつもこうなるんだよっ! 」
中西君が騒いだ。
「いや、だから、中西君も土御門家の絶対防御の方に引っ越しするように言われてたでしょ」
「いや、怖いよ! あんな隠然たる力を持ったとこに一般市民が近寄り過ぎたら碌な事ないだろ? 」
「もうすでに遅いと思いますがね」
「いや、死んだ後まで俺に迷惑かけるなよっ! 」
「いやいや、好きで死んだわけでもないんですがね? 」
そう<おやっさん>の野崎君が苦笑した。
相変わらずの罵り合いで、外の激しい体当たりと相まって正直喧しいくらいだ。
「とにかく、ここで居ても時間の問題ですね」
「いや、他人事みたいに言うなよっ! 」
<おやっさん>の野崎君の冷静な分析が中西君に突っ込まれていた。
「まあ、安心してください。実はここの改装工事の時に設計図に追加して置いたんですよ」
そう自信満々に<おやっさん>の野崎君が言い放った。
そして、すたすたと台所の地下収納のハッチを開けた。
「ここです。ここの下に下の部屋に行く秘密通路が……」
「それ、設計図を見て他人の部屋に俺の部屋から入り込めるから、俺がおかしいなと思って修正して置いたが」
「なななななななななな! なんてことををををを! 」
いきなり落ち着いていた<おやっさん>の野崎君が叫び出した。
どうも、想定して無かったらしい。
困ったもんである。




