第13部 終わり
「あんなものまで来るのかよ」
そうやって焼き払った慧光さんが呻く。
目の前の火界呪で出来た火炎が消えた後に、巨大な火でまみれた巨人が立っていた。
十五メートルくらいはあるそれはこちらをじっと見ていた。
「イーフリートか? 本来は火の精の魔神だが、悪魔とも言えなく無いんだがな。火界呪で逝かないとは? 」
目玉さんが驚いた。
「元元イスラム系の精霊とも見なされるからな。それでだろうか? 」
慧光さんも呻いた。
「まずいな。このままでは、こちらもやばい」
そう慧光さんが叫んだ。
「と言う事でこれですよ」
そう<おやっさん>の野崎君が笑った。
気が付いたら、俺の背中にドローンが取り付けられていた。
「二人乗りで行きますよ」
そうドローンの取り付け器具を<おやっさん>の野崎君がつける。
そして、離陸を始めた。
「いやいや、これは何の意味が? 」
「このままでは皆が焼き殺されるかもしれません。それならば我々がここを脱出して囮になって皆を守るのです」
俺の疑問に<おやっさん>の野崎君が全然気にせずに笑った。
「いや! お前! 守られる対象が囮って! 」
慧光さんが慌てて叫んだ。
それと同時にブルーシートが破れたところから飛び出した。
「いや、馬鹿なの? 」
目玉さんが流石に呆れて呟いた。
「ちょっと! お前っ! 馬鹿かっ! 」
大神さんが走って向かって来た。
しかし、それよりも早くブルーシートの外に出ると、ドローンで海の方へ向かいだした。
それと同時にまだ残っていた妖が俺達のドローンを追い出した。
「なるほど」
そう<角錐>さんはにやりと笑う姿が見えた。
それからはまだ生き残りの顔が人間のフクロウが次々と追ってきて、会社のビルは見えなくなった。
「えええ? 何、この展開? 」
そう俺が流石に苦笑した。




