続き11
「ぉぉぉおおぉぉぉぉおぉぉぉおぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおお! 」
まるで地獄の底から聞こえるようにな叫びがした。
そして、向こうの方が灼熱のように真っ赤になる。
そこから、大量の煙があたりを漂いだす。
「なんじゃ、こりゃ? あいつなのか? 」
目玉さんがそう呻いた。
「何が一体動いているんだ? 」
慧光さんが五鈷杵の本来の刀の部分がぐいっと伸びた形のものに変えた。
元々はインドの武器である。
それを相手を攻撃する武器としてさらに進化させたようなかたちにかえている。
「おいおい、マジかよ」
目玉さんが呻く。
煙と共に大量の人間の顔をして長い髪をしたイナゴが現れる。
「それはサソリの尾と獅子の歯を持っており、頭には王冠を持っているって奴か」
「ヨハネの黙示録の五番目の災厄に出てくるイナゴに似ている。ただサソリの尾と頭には王冠は被っていない。そもそも、地獄の主のアバドンが関係してくるとは思えんのだが。あれは本来は地獄のルシファーとかを見張るものだからな」
「じゃあ、偽物と言う事か? 」
「分からん。少なくとも黙示録に出てくるイナゴとは違うと思う」
そう深刻そうに慧光さんと目玉さんが話し込む。
「いやいや、全部焼いてくださいよ」
大神さんが刀を振るいながら叫んだ。
「仕方あるまい」
「おい、不動明王の火界呪を使うなら、こちらに当てるなよ」
そう目玉さんが念を押した。
「ノウマク・サラバタタ・ギャティビャク・サラバボッケイビャク・サラバタタラタ・センダマカロシャダ・ケンギャキギャキ・サラバビギナン・ウンタラタ・カンマン」
そう慧光さんが唱えながら印を結んで五鈷杵をかざす。
それと同時にこちらに飛んでくるイナゴは全て火にまみれて燃えた。
凄まじい火炎が目の前を焼き払っていた。
それはフクロウの人間の顔の連中も焼き払っていた。




