続き9
「今時に、こんなミサイルとかでなくてダイナマイトだと? 」
俺が呆れたように呟いた。
何しろ、導線がついたダイナマイトなんて信じがたい時代錯誤だ。
昭和のヤクザみたいだ。
「いやいや、お前、噂通り、マジで鋼の腹の座り方だな」
慧光さんが俺を見てドン引きしていた。
「いやいや、いくら妖とか言っても、昭和のヤクザじゃ無いから今時ダイナマイトとかは無いと思うんですが? 」
「いや、お前、妖を馬鹿にすんな」
<角錐>さんがそう怒った。
その間にも、次々とダイナマイトが放り込まれる。
ブルーシートが八つ裂きになったせいで、どういう状況か分かる。
人間の頭のフクロウがダイナマイトを爪で掴んで飛んで放り込んでる。
仲間に松明を持って奴がいて、それが導線に火をつけているようだ。
「いやいや、ねぇわ。いくら何でもねぇわ。昭和の戦後すぐのヤクザの出入りみたいだ」
そう俺が呆れた。
なかなか、上手い事に松明で火をつけているが、たまに導線に変な火のつけ方をして爆発して下半分が吹き飛んだりしている。
「何という、ブラックな状況なのか」
そう<おやっさん>の野崎君が悲しそうに首を振った。
SPもやられっぱなしではなく、銃で反撃している。
しかし、そもそも密閉された場所ならダイナマイトも威力あるが、実は密閉された場所で無いと手で持ったまま爆発させても手が吹っ飛ぶとか言うまでは行かない。
意外とオープンな場所では威力が無いのだ。
「いやいや、何か拳銃で撃ち返しているし、昔のヤクザの抗争みたいですよ」
俺がしつこくそう話す。
「戦いなんて最終的にはそんなもんだ」
<角錐>さんがそう話す。
身体が大きいので、<角錐>さんもダイナマイトの爆発で飛んできたコンクリのかけらを受けているが、そのくらいの事は何でもないようだ。




