続き24
俺が三鈴さんを助けたことがあったって?
剝き出しの憎悪を隠さずに黒い靄にポルターガイストのように右手を折られた痛みよりも、そちらが気になって仕方が無い。
全く思い出せないからだ。
そんな事があったっけ?
自分の記憶をたどる限り、あったような覚えがない。
一体、そんな出会いが何処であったと言うのか……。
「ふはははは、貴様の気持ちは手に通る様に分かるぞ。覚えておらぬようだな」
大御門大地さんだった黒い靄は楽しそうに笑った。
俺は折れた腕をもう一方の手で押さえながら床を這いつくばって逃げようとした。
「この国は死して祟るものを王として中心に作りし国。それに古神道をベースに密教のダキニ天の法を混ぜて現人神として、大地と御霊とを纏める事で作り上げた国。だが、明治維新で江戸時代まで綴られた、その魂の継承は儀式とともに消失した。後は、封印されたまつろわぬものを表に出すだけでこの国は怨嗟の海に変わる。昨今の天変地異と疫病はそれの証よ」
床を這いつくばっている俺の事はほったらかしで、酔ったように大御門大地さんだった黒い靄はそう囁くように話した。
「仏教も本来の滅罪の僧侶ではなく、金儲けの葬式仏教に成り下がった。神道も国家神道として再編されて本来の古神道の術は消失した。後は三鈴のいる土御門家がどうにか修験道と陰陽道の血脈を残すのみ。やっとかの三鈴を倒して魂を我らのものとするはずがお前が邪魔したのだ。それをお前は身を持って返さないといけない」
大御門大地さんだった黒い靄は俺を見て決めつけたように話す。
まるで歌っている様だ。
これ自体が呪詛なのかもしれない。
だからこそ、ここに三鈴さんが来ては駄目だ。
何か、彼らを困らすような事を俺がしたのは間違いない様だ。
ならば、思い出せ。
何かそれに繋がる意味のある思い出があるはずだ。
「ふははははははは、無駄な事を考えておるようだな」
大御門大地さんだった黒い靄がそれをあざ笑った。
思い出せ、こいつに負けてはいけない。
そうだ。
祖父が亡くなる時の思い出だ……。
もうボケていたはずの祖父が亡くなる前に元に戻った感じになって皆を集めて話をした事があった。
あれだ……。
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布団に寝ている祖父の周りに子供の時の俺をはじめ皆が集まっている。
「皆、揃ったな……。今から大事な話をする。……うちのご先祖様は……宇宙人だったんじゃ……」
そう、祖父が休み休みぽつりと話した。
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「ええええええええええええええええええええええええええええええええええ! 」
大御門大地さんだった黒い靄が激しい稲妻のようなものとともに叫んだ。
その思い出が、あからさまに想定外だったようで激しく動揺していた。
大御門大地さんだった黒い靄の頭のあたりに大きな瞳が二つ現れて、明らかに瞳孔が開いてる。
ううむ、違ったかな?
仕事が忙しくてすいません。
もう少しちゃんと投稿するようにいたします。
すいませんでした。




