続き21
「いやいや、何を言ってんです? 」
「自分が無茶しといて」
追儺の実働部隊の人達がそう俺に突っ込んできたが、実際、ノリでやっただけだしな。
「お前、無茶苦茶するな」
そう、見張りで残っていたらしい小さな目玉さんが突っ込んできた。
そう陰陽道だと呪符とかがメインだが、俺は仏教の土砂加持だけでなく、大般若理趣分経とか所謂魔を払うありがたいお経も混ぜて、さらに神道のお砂やら、挙句はキリスト教の聖水とか全部積んでいたのだ。
「何でもかんでも、魔を払うものってんで集めてましたからね」
そう俺が壊れた窓際から向こうを覗いて苦笑した。
「大般若理趣分経とか、効いてんですかね? 」
大般若理趣分経は六百巻ある大般若経の578巻目で大般若経の特に重要な経巻で、高野山とか燃えた時にも、このお経だけ焼けずに残ったとか言われる故事があるお経だ。
その故事から黄色い紙で出来ている。
特別な十六善神が加護し、最強のお経で功徳が凄すぎて、御坊様以外はあまり開いてはいけないとか言われてたりする。
超強力な十六善神は真言も要らず、その御名前だけで来臨すると言われてる。
ぶっちゃけ、密教のお寺で転読と言ってバサバサ経文を全文見せるように祈祷を受けた人とかにするお経である。
「あれ、顕教でも密教でも最高の一番大事なお経の一つでもあるだろ? 」
目玉さんがそう話す。
悪魔がそう言うことを言うと言うのが凄くシュールだ。
「罰当たりな」
そう祖母がキレた。
「いや、あれ、祖母ちゃんが残してくれた名僧が開眼した大般若理趣分経だし。大事に持ってたんだけどなぁ」
そう俺は祖母が残してくれた開眼した大般若理趣分経を大切に毎日素人ながら拝んで大切にしていた。
本来は個人で持つべきでは無いのだが、祖母の遺恨整理で何故かそれだけが残ったのだ。
これは仏縁かもしれないと祖母の付き合いのあった御坊様に言われて大事にしていたんだが。
それがこれほどの事になるとか。




