続き17
「くらぇぇぇぇ! 」
そう言って、その土砂加持の砂を中に入れて鋼鉄でくるんだ弾を<黄泉の王>にぶち込んだ。
だが、すぱんっと<黄泉の王>の手首を抜けるだけだった。
「何で? 」
「いや、土砂加持の砂が鋼鉄にくるまれているせいで、相手に当たらないのでは? 」
俺の動揺に<おやっさん>の野崎君が冷やかに答えた。
「よし、ならば、ばら撒くか? 」
「注射みたいに差し込んだら良いんじゃないですか? 」
柚原さんがそう提案してくれた。
「むう、そうするか? 」
俺が巨大な注射器をイメージするとベキベキとそれが出来る。
「これを使ってください」
そう追儺の実働部隊の人が水をくれた。
「何、これ? 」
「土御門の儀式に使われる土御門の閼伽水です。神仏に供える清浄な水のことで、土御門家は呪符を書いたり、水を加持したりしてもらって、相手を浄化するのに使ったりします」
そう追儺の実働部隊の人が説明してくれた。
それを金属製で自分の力で作った注射器の中に土砂加持の砂を混ぜて<黄泉の王>とやらの腕に差し込んで注入した。
「おおおおおっ! 無茶苦茶やるな! 相変わらず! 」
そう目玉さんが笑った。
そうしたら、効果が出た。
「ええええええええええ? 」
俺がドン引き。
皆もドン引き。
<黄泉の王>の手がバラバラと妖に戻って崩れていく。
「おぉおおおぉぉぉおおぉぉおおおぉぉぉお! 」
<黄泉の王>なのだろうが、雲の上で絶叫をあげた。
「効くじゃん! 」
「本当に行き当たりばったりですな? 」
俺の喜びの声を冷やかに<おやっさん>の野崎君が苦笑した。
「なるようになるだ! 」
そう俺が小さな俺を見てやけくそ気味に笑った。




