続き15
「いや、お前は三鈴のもの。そこにもう一人お前が居る。一人余るじゃ無いか」
そう目玉さんが喜んでいるように俺と小さな俺を見て話す。
「いやいや、それはおかしいですよ」
そう薫子さんが話す。
「何で? 一人余るじゃん」
そう目玉さんがずばずばと突っ込んできた。
「いや、その一人は加茂さんから分離されたもので、加茂さんが元に戻すと……」
「そうですよ。そもそも、三鈴さんを本当に助けたのはこの小さい俺さんらしいですから」
薫子さんの言葉に<おやっさん>の野崎君が続けた。
少し、俺がぐさりと来た。
自分なのに自分ではないと言う矛盾は辛い。
「じゃあ、あっちを貰え。これは三鈴に渡せばよかろう」
そう目玉さんはあっさりと結婚相手を変えた。
「えええええええ? 」
「いや、それはどうなんです? 」
薫子さんだけでなく小さい俺も突っ込んだ。
「いやいや、二つもあるなら活用すれば良いだろう。いちいち、せっかく別れたのに一つに戻ってどうする」
「いや、そう言う問題ですか? 」
目玉さんの言葉に流石に黙って入れなくなって山本さんが突っ込んだ。
これが普通の状況ならともかく、背後では常務や部長が狂乱状態で、ヘッドバンキングを続けていた。
それがヘビメタの会場のように狂騒的な雰囲気で異様なバックミュージックのように聞こえた。
「人間は難しく考えすぎだと思うぞ。一つより二つ。二つより三つ。増えたんだから良かったじゃ無いか」
そう目玉さんが異様な雰囲気の中で無茶苦茶言うが、逆にそれが妙に説得力を感じるのが困る。
「人間が子をなし続いて行くのは、未来への永続性だけでなく、仲間を増やす意味があるはずだ。それを考えれば二つに増えたんだ。当然、選択肢も増えた。薫子は余っていたが、これで相手が出来た。良い事では無いか」
そう目玉さんが嬉しそうだ。
「いやいや、余っていたって失礼じゃありませんか? 」
薫子さんはそっちっですか? って話で怒っていた。
 




