続き9
「じゃあ、そっくりさんか? 人間、三人は自分にそっくりな人がいるとか言われるからな」
俺がそう答えた。
「でも、あれ、人間ですかね? 」
そう<おやっさん>の野崎君が首を傾げた。
その時、ドアをバンと開けて山本さんが入って来た。
手には呪符をカードのように持っていた。
「こ、これは……」
俺とそっくりの何かを見て山本さんが呻く。
「やあ、山本さん。お久しぶりです」
そう、その俺そっくりの小さいのは笑った。
「ま、まさか。あの時の激しい戦いで、加茂さんを襲って食ったのは……」
山本さんが凄い顔で動揺していた。
「ふふふふふふ、そう言うことらしいですね。どうしても<呼ぶもの>が欲しかったらしいです」
そう、俺そっくりの小さいのは笑った。
「糞っ! じゃあ、この百鬼夜行は……! 実験かっ! 」
山本さんがそう動揺した。
正直、俺は何が何だか訳が分からない。
「ええええ? どういう事です? じゃあ、あちらが本当の加茂さんなんですか? 」
<おやっさん>の野崎君がそう驚いたように話す。
「な、何だってぇぇぇ! 」
俺がそう叫ぶ。
まさかの展開。
自分が偽物だったとは?
「いや、違うっ! 禍々しい事を良くもっ! 」
そう山本さんが呻く。
「そう言う事みたいですね。残念ですが……」
少し寂しそうに俺の姿をしたものが呟いた。
ど、どういう事なんだ?
しかも、あの俺とそっくりの小型の奴の方が、まるで全てを知り尽くして戦うヒーローの憂いのようなものが見える。
「馬鹿なっ! まさか、俺がヒーローポジションでは無かったのか……」
俺が動揺して呻いた。
だが、それ以上にもう一人の俺がその言葉を聞いて動揺していた。




