続き22
「で、お客さんが少ないと……。それはあんたの行動が問題じゃ無いのか? 」
俺が呆れ果てたように大御門大地さんに突っ込んだ。
「いやいや、本当にそうになんですよね。それで私が亡くなった後に必死に頑張ってた妻とかが可哀そうでやめたんですが……」
大御門大地さんがしょげた顔で呟いた。
「結局、それでも、やっちゃったとか言う話ならいらんのだけど……」
俺が冷やかに突っ込んだ。
「いや、違うんです。あちこちで幽霊が出るホテルってんで話題になったのも問題なんだけど、本当に変な霊が居ついちゃいまして……」
大御門大地さんが震える顔で俺を見た。
「なんで? 」
「分かりません。そういう怖いのが好きな連中が集まって来たんで、それに引き寄せられて、こちらに入って来たのかもしんないですが……」
「あーあーあー、そう言うパターンだと正直、そう言う専門家に任せないと」
俺の想定してたのは、お客さんを脅かすのが辞めれないと言うどうしょうも無い問題なのかと思ってたのだが、その手の話では俺には手の施しようが無いし。
「それで、三鈴さんにですね? 」
大御門大地さんが上目遣いで俺を見た。
「いや、他の人を探してよ。俺からは頼めないよ」
俺がきっぱりと断った。
なんだかんだ言っても警察すらコントロール出来る土御門家と冥婚の相手の婿程度の普通のサラリーマンではどうにも頼める状態ではない。
そもそも、まだ冥婚すらしてないのだ。
「そ、そんなぁ……」
大御門大地さんが途方に暮れた顔をした。
「いやいや、正直、私も土御門家とは縁のない人間で、たまたまこの街で就職しただけだしね。土御門家は名家だとは思っていたが、あれほどの力がある家だとは思って無かったんだ」
俺がそう自問自答するように呟いた。
だって、弁護士が来るまで黙秘していた大神さんが弁護士が来て話をした途端、マグロを捌く練習をしていたって言いだして、それを何と警察側が受け入れてしまうと思わなかった。
たまたま、練習で振り回したマグロ包丁が相手に当たって怪我をさせたって、理由として無茶苦茶だろ。
袈裟にマグロを斬るわけないじゃん。
しかも、警察のえらいさんの……では、そう言う事にしときましょうかって、警察側が腰が低いのは何?
そう言うのってありなん?
「何かあったんですか? 」
俺がぶつぶつ話していると大御門大地さんが聞いてきた。
「ああ、土御門家の隠然とした力と言うかそれを見た。警察もそれで話を合わせてくるし」
「ああ、そう言うやばい霊相手に国家の依頼で戦ってる一族ですからね。そりゃ、警察もいろいろと頼んでるからそう言う風に話を合わせてくれるでしょう」
大御門大地さんが信じられない事を話した。
「え? 」
俺が絶句して言葉が続かなかった。
そう言う事は知らなかったのだ。