続き13
「奴等と話し合うなと言っただろうに」
そう背後の電柱のてっぺんに立って話しかけてきた男が居た。
着ているもの全部が真っ黒に染められた修験者の格好をしていた。
「あ、あれは……」
「いつぞやの厨二のまま人生を続けてしまった。恥ずかしい人だ」
<おやっさん>の野崎君と俺が衝撃を受けた。
「待て待てっ! 人をそう言う風に覚えるなっ! 」
その真っ黒に染められた修験道の服を着た男が騒ぐ。
「あいつは、闇の修験者! 」
そう<角錐>さんが驚いた。
その瞬間に気恥ずかしさで俺と<おやっさん>の野崎君も震えが止まらない。
あの柚原さんですら震えていた。
「まさか、ここであの真面目な<角錐>さんから闇の修験者などと言う言葉が出るとはっ! 」
俺が全身のサブイボのような震えを抑えて叫ぶ。
「いやいや、だってずっとそう皆が呼んでるし、自分でも名乗ってるんだぞ? 」
「いや、それは止めてあげないと」
<角錐>さんの言葉に俺が反論した。
「奴は五十年前くらいから、そう名乗っているはずだ」
「えええええ? 五十年前もこんな事を? 」
「何ですとぉぉ! 」
<おやっさん>の野崎君と俺が衝撃を受けた。
「ふふふふふふふふふふ、その通り、貴様と違いぽっと出では無いのだ……山に籠り人に触れず修行を続ける事で開眼したのだ……」
そう闇の修験者が笑った。
「五十年もこんな事に捧げるなんて……」
そう、俺が囁いた。
「ま、まさかっ! 童貞を三十年すると魔法使いになれると言います! それを応用した力と言う事では! 」
声を殺したように、<おやっさん>の野崎君が叫んだ。
「いや! ふざけんな! 何なんだっ? お前らっ! 」
闇の修験者が絶叫した。
そう言えば、耳が良かったな。
「ケッキョク、キコウガハナシテイル」
そう<老公>の弟子の般若の面の操り人形が呟いた。




