続き11
俺が大神さんに言われて洒落た四階建てマンションの二階の部屋に入った。
3LDkで三鈴さんも住む前提なのか思ったより広かった。
だが、リビングには玄関から見えるくらい段ボールはそのままで積み上げてあった。
玄関横の部屋を開けるとこれまた段ボールだらけでテレビも出ていないし、服もどこにあるか分からない。
その部屋に俺のベットもあったが横に倒されて、そこに大量の段ボールが積んであるので出せそうにない。
「これ、ここで寝れるんですか? 」
俺が大神さんに聞いた。
「寝ようと思えば寝れるでしょ」
「いや、明日は仕事なんですが」
「そんな事よりまずは三鈴様を狙う呪者を倒すのが大切でしょうが」
「いや、こちらにも生活があるんです」
「貴方は三鈴様より生活を取ると言うのですか? 」
「どちらも大切でしょうが」
俺と大神さんがののしり合う。
腹が立って残りの部屋も開けたら、そこに首吊り死体があった。
二十歳くらいでTシャツにジーパンで若い男のようだ。
「は? 」
俺が凄く驚いた。
「あ、どうも」
その首吊り死体は首を上げると俺に挨拶をした。
「ほう、なるほど。呪者の式神と顔合わせしたせいで貴方の霊能が開いたんですな。素晴らしい。全くの素質無しでは無かったようだ。普通は十八までに見えたらずっと見えたり話せたりするままになるとか言いますが、貴方は遅咲きのようだ」
大神さんが笑った。
「いや、笑い事じゃ無いでしょう! あれは何なんです? 」
「私の式神です」
俺が慌てて聞くと大神さんは笑った。
「いや、どう見ても首吊り死体と言うか首吊りした幽霊じゃ無いですか! 」
「当たりです。俺、昔、ここに住んでていろいろあって首を吊っちゃって」
首吊り死体の幽霊は笑った。
「ほら、首吊り死したって言ってるじゃ無いですか」
「それを貴方の敵と戦うために、私が式神にしたのです」
「いや、首吊ったままで戦えるんですか? 」
俺が首吊りの幽霊に聞いた。
「戦えないけど応援は出来ますよ」
首吊りの幽霊がにっと笑って親指を立てた。
何故か凄く明るい首吊り自殺した霊だった。