続き13
「悪いが、その男は大切な大切な我らの贄であり<呼ぶもの>だ。お前らに返すわけにはいかん」
そう近くの陸橋の上に<老公>と呼ばれる闇とともにある人形師が現れた。
「おおおおおおっ! 何というセオリーどうりの登場だっ! 」
<おやっさん>の野崎君が凄く興奮していた。
だが、俺は流石に元気が無かった。
俺は三鈴さんの役に立ちたい一心だったのだが、それは逆に大変な迷惑をかけてしまったと言う。
確かに、三鈴さんが戦いに専念していて、こちらに来ない。
昔なら、何においてもここに来たはずなのに。
それどころか、霊体になっているせいか、かなり悲壮な感じで三鈴さんが戦っているのが分かった。
それが分かってしまうのが、辛い。
「ど、どうしたんです? ノリが悪いですね? 」
「いや、三鈴さんに迷惑をかけてしまった……」
俺がしょげたように呟いた。
確かに地味な俺が愛する人を助けるなんて、こんな事はあり得ない。
「いやいや、何を言っているんです? 愛とは後悔しない事ですよ! 」
そう<おやっさん>の野崎君が断言した。
「いや、それ、お前ストーカーだ」
中西君が横から突っ込んできた。
「他人が何だと言うんです! 貴方の三鈴さんに思っている気持ちと言うのはそんな他人に言われたから揺らぐものなんですか? 」
<おやっさん>の野崎君がびしりと叫んだ。
「いや、そんなんだから元彼女がやせ細るんだ! 」
中西君がそう横から突っ込んだが、俺には耳に入ってこなかった。
「貴方が何をするかじゃ無いんですか? 」
そう<おやっさん>の野崎君が断言した。




