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第八話 「犬も食わない」

  マジファットと呼ばれた小太りの男は、頭にターバンを巻き、胡散臭そうな髭を蓄えていた。


  のそりとこちらに歩いてくる様は餌を与え続けられたさながら家畜の豚のようであった。



「おぉ…アウラ、お前生きていたのか」



  どうやらマジファットはキョロキョロと周りをうかがっている。

その額にはダラダラと汗が流れる。

  台詞だけ聞くと運命の再会、のようではあるがアウラの様子を見るとそうではないことは一目瞭然であった。


「どうやらどうやってかは知らんが、お前はゴブリンから逃れたみたいだな」

「無事でよかったぞ・・・ニヒヒッ。お前は“貴重“な商品だからなぁ」


  ニチャアと口角をあげ、下卑た笑みを浮かべながらマジファットはアウラに語りかけた。


「ッ!!」


  ビクリとアウラの肩が動く。


「...。マジファット様も、ごっ御無事で何よりで...す。」


「おいアウラやおいアウラ、アンキロまではまだちと遠い。」

「イヒヒっほれ向かうぞ。南だ。太陽が沈んでしまうと厄介だ。ほれ着いてこい」


  会話を聞く限りどうやらマジファットがアウラを縛っている例の奴隷商のようであった。


  奴隷として扱われてきた記憶が蘇ってきたのか。

  いつも笑顔を絶やさないアウラの表情がこわばり、身体をガタガタ震わせ始めた。


  カエルはぴょんと跳ねアウラの前に立つ。


「かえるさん…」


  アウラがカエルの背に、蛙の体よりより大きな体を隠す。



「嫌がってんじゃねえか、おじさんよ」



  さっきアウラが話していた通りならば、この男がアウラの隷属権を持っているに違いない。


「この子はお前の物じゃないぞ!!!アウラを解放しろ!!!」


  俺は力強くそう言い放った。


「・・・。」

「ん?」



  マジファットは目線をアウラから外しキョロキョロと周りを見渡した。


「おい。ここだ、ここ」


  マジファットは目線を下に向け、カエル...もとい、俺を見つけた。が、

  こんなカエルが話すわけないであろうと言う顔をした後

  またキョロキョロと声の主を探した。


「おい、ここだって言ってんだろ!」


  ゲッと声をはりあげるとマジファットはもう一度カエルに目を向け目をぱちくりさせていた。


「やっとこっちみやがったな」


「ほう貴様か。カエル。 」


マジファットは目を見開き、自分の眼球とカエルの眼球がくっつきそうなくらい顔を近ずけ、カエルを凝視する。


マジファットの眼球にカエルの姿が反射する。


「ほー。やしもそれなりに色んな所を見回ってきたつもりじゃが、こりゃ初めて見るなぁ!!珍しいな!」

喋る魔物ならチラホラいるが、それでもカエル如きが喋るわけなかろうて。ククッ。バハムートも乱心したか」


  クカカクッカッとマジファットが笑う。




なんかこいつ腹立つな。てかマジファットって名前はなんなんだよ!!

本当に太っているけれども! てか、一人称[やし]って初めて聞いたわっ!


てか汗もすごいし顔気持ち悪すぎてマジファックだわ。 懐かしいな 高校3年の時授業中に「月曜日マジfuck!!!」と叫んで停職処分になった先生がいた事をおもいだした。おじさんとなった今じゃ痛いほどわかるけどよ。にしてもこのデブムカつく


 マジファットマジファック。不快ドレミファソ、帰ってオ〇ニーでもしてろ。


  Lee!!!!!!



「ピギー!!」奴が鳴いた。

 こいつほんとどこにでもおるな。



「カエル風情が出しゃばる場ではないわ。この女はやしにこそ相応しい。さぁアウラー。やしの元に戻るのだ」



  何も言わず黙り動かないアウラ


「えーい、やしの手を煩わせるな」



  「「隷属魔法 足枷召喚」」


「さぁこっちへ来たれ」


  マジファットからすこし歪な赤黒い光が発しアウラがストストと

 マジファットの方へ歩き始めた。


「どうした!アウラ」


 俺の呼び掛けにアウラは反応しなかった。

「ボーッ」とした目でマジファットの方へ歩み寄って行く。

 足元に目をやると足枷がついていた。ジャラジャラと音を立て、その足枷からは禍々しいというよりは、酷く不快なオーラが伝わってくる。


「なんだこの足のやつは!?」カエルが問う


「これはだなぁカエル。わしは奴隷商人だ。魔法じゃあ!まーほぉ!」

「隷属魔法の1つ!足枷召喚だなぁ。ニヤニヤニヤニヤだ!」


「さぁおいでアウラー。」

「そもそもなんでカエルとなんかといる」


 アウラはマジファットの腕の中にそっと入る。


 そしてアウラを盾にするようにこの男は後ろにつき、ぐいとアウラの首をそーっと締め付けた。


「このカエルは、えらくお前に懐いているみたいだなぁ。なぁアウラぁ」

「あぁやしの手をー 煩わせてぇ!このガキがぁなぁ!!!」


 ゴッ!!!!!


 っと鈍い音が森に響く。


マジファットはアウラの頬に1発殴りを入れた。


 しかし足枷を掛けられたアイラはその苦痛に顔を歪ませることなく、ただぼーっとした表情でマジファットの拳を受けていた。


 表情を変えずただ頬だけが青くなり腫れ上がっていく様を見せつけられ、俺はドス黒い感情に包まれた。


「てめぇ何してやがる!!!!」


 力を込めマジファットへ向けて構えた。カエルの足がメキメキと音を出す。


「何じゃカエル。このガキとヤシの事は貴様には関係なかろうて」


「ほうほうなんや、なんや、その足はー!?言葉を話すカエルか。カエルでも魔物。少しばかり「強み」があるんだろう」


さしずめあれかー?このカエルにゴブリンから助けて貰ったとかかぁ?なぁアウラぁ? カエルの王子様と言ったところかぁ!?」


 カエルがマジファットに飛びかかる。



 するとマジファットは「グフフ」と不快な笑みを浮かべ



「ほれ、盾になれアウラ」


 するとアウラがマジファットの腕の中からするりと抜けてカエルの軌道上に立ち塞がった。


「くそっ!」


 このままではアウラに蹴りを喰らわしてしまう


 咄嗟に身体をケルリと傾け、なんとか間一髪のところ、アウラに当たらないように()けた


「節操がないのぉこれだから畜生はぁ!!クカカカクカカカだ!」


シュッシュ


マジファットはその体型のわりに、とんでもないスピードでなんども屈伸を行い、カエルを煽りに煽る。


「クソッ…この野郎・・・。マジファットてめぇマジでムカつくぜてめぇ」


 アウラを人質に取られてはカエルには、なすすべがなかった。



 またマジファットは、ニチャアと笑み浮かべ


「ニッチャーアッ」

 ふんっカエル風情がニーチャアッ!」


 こいつカスだ。カスすぎる。

 でもアウラを盾にされてしまったら、なにもできねぇ


 大きな大森林の中 小さな緊張が走る

 睨むカエルと、ニヒッヒ嘲笑うマジファット


「くッ・・・」



「ガサガササ」



 すると茂みからナニカが飛び出してきた。

 ソレは赤い毛を身にまとい、牙をむき出しにして俺たちの前に現れた。


 犬……イッヌ……赤いイッヌ……アカイヌ……(圧倒的正義じゃけぇ)


「レッドウルフだと?」


 マジファットが驚いた表情を見せた。

「何故このような所に紅のレッドウルフが……」


 マジファットの発言から見るにこのレッドウルフは本来なら出会うことの無い魔物なのか?確かにここまで来る道中、オオカミの鳴き声を聞いたことは無かったし、それこそ出会った事もなかった。


 しかしそのオオカミは俺が知っているオオカミとは違っていた。


 名前の通り体毛は赤く、体はマジファットより少し大きかった。噛まれたらちょー痛そうな牙を持ち、爪はとてもするどい。


 よく見ると舌なめずりをしながらこちらの様子を伺っている。このアカイッヌ!(イヌ科じゃけぇ)


「ガルルルガワッ!!!!」


 奴が吠えた。


「なんでレッドウルフがおるんじゃぁ!!」


 デブも吠える。



 ギャリリと歯を削り合わせ、

 アウラとマジファット目掛けてレッドウルフが飛びかかった。するとマジファットはアウラを突き飛ばし


「ヒィイッ、お前が囮になれ!!」


 と言い放ち、アウラが前に出る


 マジファットはズレるズボンを持ち上げながらドスドスと足を持ち上げて逃げていく。


 まずいっ。アウラが危ない。


「超跳躍」「刺し足」 発動。


 カエルの足がミロッと太くなり、その一瞬アウラを狙う赤犬を目掛け、カエルの足がジャックナイフのようにスハッと飛ぶ。


「ザキッ」


 ドギュルと紅の狼(レッドウルフ)の横っ腹に足が突き刺さった。

「キャヒフン」と情けない声を出し

 紅の狼(レッドウルフ)はジタバタと悶えている。


 今まさに息絶えようとしている敗北者は、(まなこ)を閉じる最後の時までこちらを睨みつけていた。



「大丈夫かっアウラ。怪我はないか!」


 アウラのところに駆け寄る。


 しかしアウラの目はまだ虚ろのまま。




「フンッフンッハッハッ」

「クソがっなんでこんな所にレッドウルフなんかいやがるんだっ、やしの奴隷も無くなっしもうたじゃないか、今日は散々だっ。 なんでこんなやったらめったら魔物が多いんだ今日はっ」


「んっ!?」

「イヒィィ!!」


 マジファットは立ち止まる


 マジファットが逃げた先には、また別の2匹の紅の狼(レッドウルフ)が待ち構えていた。


「イヒィ。くるな!くるな!くるんじゃない。来ないでっ。来ないでくださいッ。。」

 逃げるマジファット


2匹の紅の狼(レッドウルフ)は互いに一定の距離を保ち、マジファットが逃げいるルートを消しながら追う。


その行動から知能があり、技術があるように見える


 マジファットにジリリと2匹の紅の狼(レッドウルフ)近づく。


「ガブッ」「ギャリッ」


 1匹は頭。もう1匹は腹に噛み付いた。


「ググッチャ」

 と身体を噛みちぎられた。


 赤犬達は眉間にしわを寄せ、直ぐにブベッと吐き出した。

やつはもう人の形をしていなかった。


ていうか……


 あいつ、不味いんだな。

今回 マジファット死す★デュエルスタンバイ★

次回 赤犬(圧倒的正義) VS カエル(ペコポン侵略)

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