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第四話 「一撃を」

 

 《龍アストロビスタより、スキル『超跳躍』『刺し脚』の申請が受諾されました。》


 その言葉が頭に響いた。


 「スキル『超跳躍』『刺し脚』の申請が受諾された??」


 何だか知らないが、俺は突然スキルというものを手に入れたみたいだ。かなり異世界っぽい展開だな。漫画みたいでもある。かっこいい。少年の頃のようなワクワク感で溢れる。


 おじさんは、そういう系の類をあまり見ず、知識は疎いほうだが、マルクエとかファイナルファンタジスタとか、そういう王道ゲームならやったことはある。湧き上がる万能感が抑えられない。魔法とかも、いつか使えるようになるのな。


 恐らく先程のスライムを倒したと同時にスキルを龍?から授かったと推測する。本当にファンタジー的展開だ。スライムが言っていたドラゴンと龍とでは、何か違うのか?分からないことが増える。


 しかしまぁ、俺が思ってた形とは少し違うな。スキルや能力は、自分の意思や経験で手に入れるものだと考えていたが、この世界ではまずナニカが俺のスキルを申請し、そして『龍』がそれを許し、スキルの所得を許諾され、そこから授かると言った形だ。まるでクレジットカードの申請みたいだな。


『豪脚』というスキルは、受理されなかった点を見ると、俺にはまだ、それを使う権利がなかったということになるのだろうか。


 この世界の設定が何となくわかってきた。


 しかし、新しいスキルを手に入れたとて、使い方が分からないと、赤子に知恵の輪を渡すのようなものだ。スキルを授かったとは言えど、どのようなものかはまだ分からない。無知とは無力に等しい。まず、授かったスキルを確認していこう。




 1つ目の『超跳躍』これはまぁ言葉通りめっちゃジャンプできるとかそんなんだろうか。とりあえずジャンプしてみよう。


 俺は後ろ足に力を込め上へ飛んでみた。


「·····っ。」


 二度とするものか。あーびっくりした。心臓がもげたかと思った。この超跳躍というスキル。「超」がついているだけはある。やばい。。


 俺は2.30mはあるであろう木々の上のさらに上を跳んだ。すごい勢いで青い天空の頂点に達し、一瞬そこで静止したと思えば、そこからジェットコースターの最終局面クライマックスのようなスピードを出しながら地面に直滑降した。


 驚いたのはそこからである。


 差し迫る地面に恐怖し目を瞑り死を悟ったのも束の間、難なく俺の手足はなんの襲撃も受けず、何事も無かったかのように、カエルの手足は地面にストッと着地した。


 いやはや、ビックリした。心臓がバクバクと鳴り響く。なんというジャンプ力。それにおかしい。着地がすんなり行き過ぎている。


 カエルの好奇心は恐怖心を上回る。もう一度試す。


 俺はは全神経を集中させ、もう一度先程よりかは軽く、ふわっ、と上空へ跳ねる。しかしそれでも思った以上に飛ぶ。


 また静止した空中で考える


「調整が難しい。練習が必要だ。」


 と決意したと同時に落下が始まった。フテッと難なく着地。なるほどこの『超跳躍』もしかして離陸と着地までがセットであるのか?飛びすぎて、着地で死ぬとなるとバカみたいなものだからな。


「いやはやスキル『超跳躍』末恐ろしや。」


 カエルは1人、自分の授かった力に驚嘆する。


 するとある事が俺の頭によぎった。照準を空から物体に変える。


 遠く離れた木目に向けてジャンプをする。


 俺の予想通りのことが起きた。

 木には激突せず体をくるりと半回転させ、木目に容易に着地。


 やはりな。確信に変わった。この『超跳躍』は絶対的にどこであろうが容易に着地する。ここでは着木であるが。思う存分飛んでも怖くない!

 このスキルは当たりだ。授かった行き過ぎた能力は、俺に優しいじゃん!


「超跳躍ちゃんちゅき♡」


 心の中でカエルこの新体験に恋をする。シンプルに楽しいのだ。トランポリンのようにテンションが上がる。カエルの中のオタマジャクシもまた心の中で跳ねる跳ねる。


 しかし俺には確認していない、もう1つのスキルがある。

 カエルは心を落ち着かせる。オタマジャクシも落ち着く。


「さてと。2つ目のスキルの確認だ。『刺し脚』か、どんなスキルだろう」


 これは音を消して歩くといったもんかな? 『超跳躍』と比べれば、恐らく現実離れをした能力では無いなと私は考える。


 このスキルを獲得する前から俺はそんなことは出来ると思った。ゆっくり歩けばええんでそ?


 まぁ何が起きるかわからなさ過ぎるこの世界では、息を殺して行動することは大切であるだろうしな。まぁ使えない訳では無いだろう。


 しかしそれは思い違いだった。試しに『刺し脚』を発動してみた。それはゆっくり歩くとかそういう概念ではなかった。


 俺の後ろの片足が恐ろしい程に鋭く変化した。


「ええええ。これ、は。。。」

「え、もしかして足で刺すの?」


 モノホンの殺傷スキルだった。


 試しに横にある大木に照準を合わせ『刺し脚』を発動した。すると俺の体は脚に引っ張られるかのように加速し、その大木を貫く。そして素早く足が引っこ抜かれる。


 どうやらこのスキル『刺し脚』は、鋭利な形に変したカエルの後ろ足がその対象を突き破るスキル。字のごとく「刺し」脚だった。しかもまたハッピーセットときた。


 このスキルもまた、抜くまでがセットであるみたいだ。

 バトル物の漫画で、木から勢いよく刺した剣がなかなか抜けない間抜けな剣士のような描写はよくあるが、このスキルはそうもいかない。


 刺してそして瞬時に抜くのだ。


 俺が最初に授かった2つのスキルは、事の後始末までしてくれるみたいだ。優しい。


「刺し脚くん。かっこいい♡」


 カエルはまた自分のスキルに惚れ惚れする。俺の心の中の少年もニヤニヤと妄想を膨らましている。気がつくと俺の周りは不自然に穴が空いた木々で溢れていた。


 あの時のでっけぇワーム(マジでデケェ)も倒せるのではないかという気がしてきた。


 あのデケェは体がそこまで硬そうではなかった。上手く行けば刺し殺せるるんじゃないか?しかしまぁこの世界に来てから俺は物騒な考えもするようになったな。この弱肉強食の森で生きて行くには必要なことだが。


「慢心はよくない。」


 そもそもあのワーム(ほんとでかい)と俺のレベル差がどれほどのものかも、わからない。レベル差の分からない相手とは敵対しない方がいいに決まっている。なるべくワームとは関わらないほうがいいとカエルは最終的に結論付けた。


 となると、これからどうしようか。


 ふと、先程倒したスライムが話していた、この世界の人間の存在を思い出した。人が居るということは恐らく集落があるだろうか。もし、あるとするのならば、そこで何らかの情報が得られるかもしれない。


 というか、シンプルに人間に会いたい。

 おじさんこんな殺伐と環境がずっと続くのは嫌だ。


 俺は言葉を話せるし、人と久しぶりにあって会話をしたい。この姿で受け入れられるかは別だが…。


 俺は人間に会いにいくことを現時点での目標に決めた。






 気づけば夕方だった。カラスが鳴いている。この世界にもカラスいるんだな。カアカアとなくところは元いた世界と変わらないな。


 カラスと夕方。なんかいいよね。 と、夕陽にふけっていると、


「ゲルル」とお腹がなった。 そうかこの世界に来て俺はまだ何も口にしていなかった。そもそもカエルって何食べるんだっけ。虫?草? バッタやコオロギなんかを食べるのはあまり気が進まないな。。。


 何が喉を通るかは分からないが、植物で覆われているこの地では、恐らく虫もいるし木の実もなっているだろう。


 虫と木の実を天秤にかけた時、無論木の実が勝つ。


「木の実探すか。」


 思い立ってからのカエルは早かった。テクテクと四足で歩き出す。ギョロギョロと目を動かしながら木の実を探す。


 コツンっと脚に何かがあたった。


 どんぐりによく似た木の実がそこにあった。これ食えるかな。どうしよう。確か、どんぐりはアクがあると本で読んだことがある。苦そうだな。俺はこんな状況に置かれても心は裕福でありたい。カエルそのどんぐりを食べる気にはならなかった。


「そうだ。良いアイデアがあるぞ。」


 ピンとカエルにいい考えが生まれた。


『超跳躍』を使って木のてっぺんまで行き、上になっている実をとればいいじゃないか。きっと熟れているし食べれるんじゃないだろうか。


 脚に力を込め私は『超跳躍』を使用した。ドピュンと音を立てカエルは木の上に降り立った。着地の対照を木の上にする事で、俺はそこに降り立つことができた。いやしかしホントどうなってんだ。遠く離れた地面に目をやる。すごいスキルだ。、


『超跳躍』好きぴ♡


 ふと目線を上げる。

 木の上から見る景色は周りに木しかないとは言えど絶景であった。


「綺麗だなぁ。」


 沈みかけているこの世界の太陽がなんとも美しい。紅く染め上がる太陽は心地の良い温かさを感じさせる。俺はニコニコとしながら何事も無かったかのように地面におりた。


「あ、木の実、、、みつけてないな。」


 感動して本来の目的を忘れていた。しかし幸運な事に着地した時に、どうやらリンゴのような木の実も一生に地面に落ちてきたいた。夕陽も見れて、木の実も手に入って。


「いいなぁ。棚ぼた棚ぼた。」


 リンゴのような木の実、いやもうリンゴでいいか。俺はリンゴにガブリと齧り付いた。


「うん、めぇ。。。」


 そのリンゴはみずみずしく、すいた腹と同時に乾いた喉も潤してくれた。こんなジューシーなリンゴなんてあるんだな。異世界も悪くないなと感じる。いやしかし初めての食事がバッタじゃなくてほんとよかった。


「よし腹も膨れたし、気を取り直して人間を探してみよう!!!」


 夢の第1ページが開かれた瞬間


「ゴブリンがあらわれた!」

 マルクエみたいなエンカじゃねえかよ!


 ゴブリンがあらわれた。漢字で書くと多分、小鬼(コキ)

 でも鬼のような顔ではなく、クシャッとした顔で、目だけはいっちょ前に鋭い。身体は小学生サイズぐらいだが列記としたモンスターだ。腕と足は貧相に細いが、お腹がたぷんと出っ張っている。ビール飲みすぎやで自分。


「ゴブルルル」


 とゴブリンが鳴いている。あの時のスライムと圧倒的に違うのは手足があるということだ。。実に厄介…。


 さらにゴブリンは棍棒を持っていた。


 ジリジリとお互いの間合いを測りながら俺はゴブリンがスライムよりは強い(こいつ、できるっ!!!)事を感じ取った。


 だけどもう俺は恐れることはない。スキル『刺し脚』で、ひと突きにしてやる。


「ゴブリンのこうげき!!」


 だからなんなんだよこのテロップ!


 ターン制????

 ゴブリンが棍棒を振り下ろしてきた。俺はゲココっとそれをよけ、次に備える。


 ブウン、ブウンと振り回される棍棒をカエル紙一重で避けていく。俺はこのカエルの体に順応してることに気づく。


 次と次と差し迫る棍棒をとゴブリンの動きに目が慣れていく。しかし避けるのは容易になってきたが、このままだと体力がもたない。


 俺は棍棒を振り回すゴブリンから、軽く後ろにジャンプして下がり、スキル『刺し脚』を発動。しきりに足をがシキッと鋭い刃物のように変化する。


 脚に力を入れてゴブリンの腹に目掛けて思いきり蹴りをいれようとする。


「刺す」という気持ちが強すぎたのだろうか。かつて競馬で幾度となく浴びせた歓声をあげていた。



「いけ”え”え”えええ!!!させえ”え”ええ!!!!」




早くたくさんの読者に読まれる世界線に行きたいところです。

これからも頑張ります。By木餅ニカ

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