第二話 「アルク」
「お前達には今際での生を捨て、この世界で使命を全うしてもらうンゴね」
龍がそう語った。
「使命、、?」
すると我々人間の中の1人の少女が笑いながら言った。
「意味わかんないし笑 ンゴとかいつの時代の言葉よ 死語ぢゃん笑」「使命とか何それ笑 ていうか何この夢初めて見るタイプの夢すぎてウケんだけど笑」
どこか記憶にあるような学校の制服を来たJK(これも死語なのだろうか)ぐらいの少女は、どうやらこの世界を全く受け入れていないみたいで、夢だと思い込んでいた。
しかし夢の可能性はあるとは少し思っていた。
だって龍いるもん。なんかいっぱいドラゴンもいるもん。ファンタジーだよ。と、そんなことを考えていると
龍は自分の指でその美麗な髭をいじりながら言った。
『残念ながら夢ではない』
その瞬間、ジビビバッ!!と肌を逆撫でされたように震えた。この言葉は耳で聞こえたのではない。魂というものがあるなら、あの龍はそこに直接語りかけたきた。頭では理解が追いつかない、しかし心が「魂」が強制的に言葉を受け入れる。目の前にいるどデカい龍や、こちらを見て嘲笑ってるドラゴンたちがいるこの光景を「夢」ではなく、「現実」だということを突きつけられる。
「チミ達はわしの名を持ってこの世界に召喚した転生者やで。」
「転生者だ...と?」
あの若者が読むという小説のありがちな設定と言われているものではないか。巷で流行っているとは聞いていたがそれが自分自信に起きるとは。。。
あの少女も魂に直接語りかけられたようで、動揺が目に見える。そして言葉を失っていた。俺だってそうだ。「夢」だと思いたかった。今、目の前のこの神々しい光景はまるで御伽噺のようだ。鼓動が早くなる。そしてお互いの緊張が胸の鼓動を伝って来る。他の人たちも俺と同様、ただ立ち尽くし、龍の言葉を黙って聞く。聞く事しか出来なかった。偽りでない事が「わかる」のだから。
そして龍は話し始めた。
『この世界はね.........』
そこで俺の記憶は途切れた。
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目を覚ますと大きな木々に囲まれた緑豊かな土地にいた。至る所に幹の太い大木が生えていた。その木と木の間から淡い光が差し込んでいる。そして、そこら中に綺麗な緑色の苔のようなものが生い茂っていた。
しかしどうも目線が低く感じる。色んなものがすごく大きく感じる。自分の置かれた状況がいまいちよく分からない。記憶が曖昧になっている。
また上手く歩けないというか、歩行が上手くできない。手と足が両方、地につき、立ち上がるといった動作ができない。感覚的にではあるが、どうやら俺は四足歩行のナニカになってしまったみたいだ。落ちた枯葉や土の上をなんとか歩こうとするが、手と足のバランスがよく分からない。手と言っても前足だが上手く物が掴めもしない。後ろの両足は前足と比べえらく長い。なんだこれは。どうしてこうなった。
そうして、小一時間ほど俺はこのナニカわからない体を動かす練習をしていた。 何度かしているうちに、どうやら後ろ足で強く地面を蹴ると上手く進めることに気づいた。そうして緑の道を進んでいると、大きくそして透き通った水たまり場を見つけた。喉が乾いていたので水を飲もうとすると、その水面を見てゲココっ!?と声を上げた。
カエルになっていた。
カエルに、なって、いた。
目はギョロっとし水色ベースのカエルである。
自然界にはない、蛍光色のようで、それでいて漆器のような質感でもあった。
サイズはおよそ人の掌くらいだろうか。比較的にカエルとして大きいと思えるが、この世界の木々たちの大きさによって俺はちっぽけな存在だと感じてしまう。まるでこの森が世界の全てであるようにまで感じる。
実は薄々勘づいていた。歩く練習をしていた時、なんかカエルっぽくねとは思ってはいたのだ。しかしまたどうしてカエルの姿になったのだ。俺は確かに人間だった。人間の時の記憶だってある。昔付き合ってたあの子の事も思い出せる。どうゆうことだ? 息が荒くなる。これは現実なのか??
そもそもここは一体なんなんだ。よく見ると日本では見た事のない植物が生えている。もしかして、海外にカエルとして転移したのだろうか。
というかまずはオタマジャクシからではないのか? 意識が戻った時から恐らくカエルだったはず。なんでカエルから?この世界にいたカエルの魂をのっとり、転移したのか? でもカエルの事実はカエルようがない、、、 もしかして今のオヤジギャグ?冗談キツいっすよ~~
好きなオヤジギャグを考えながら
「ゲー。コー。」
と深呼吸をし、とりあえずこの事実を受け止めるしかなかった。なぜだか分からないが、現実だと心が肯定をしていたのだ。
時間が経ち、落ち着くと視野が広がった気がした。
ここは熱帯雨林のようにもとれる。たくさんの植物が生えている。
あれはラフレシア、ヤシ、メタセコイア、マンドラゴラ
そしてバカでかワーム。 ゲコっ!!??
え!?マンドラゴラ!?!?!?んんんっ!!??ワーム!?
「ピギー!!!」マンドラゴラが鳴いた。
「ワムゥ!!!」ワームが鳴いた。
しかしそのマンドラゴラ(急すぎんだろ)は突如
そのワーム(でかすぎんだろ)の餌食となった。
すると地面がドグググドガガと鳴りながら揺れたのが脚に伝わってきた。そう思ったのも束の間。人間の大人ぐらいあるであろう、更にでっっけぇ(マジででけえ)ワームが地面から身体をうねらせながら表れた。
そしてその2匹のワームは「ワムゥ。」とこちらを見た。
夢であってくれ。どうやら私は本当に異世界に来てしまったのかもしれない。
ワームは緑の液体を口から垂らし、こちらも様子を伺っている。冷や汗がとまらない。緊張感が走る。オジサンこんなん聞いてない。。。ワームで犯そうたってそうはいかないんだからねッ! くっ殺、、
脚が動かない。さしずめヘビに睨まれたカエルのようだ。
この場合はワームやが、、。くっ、ふざけている場合ではないっ。
そこで頭をフル回転で起動し俺がとった手は
死んだフリである。
死んだフリ。
『死んだフリ』
『擬死は、外敵に襲われた動物が行う行動ないし反応の一つの類型で、動かなくなってしまうことを指す。俗にいう死んだふり、死にまね。一種の防御行動と考えられる。(geko調べ)』
息を殺し「死んだフリ」をしながら2匹のワームを見ていると分かったことがある。ワームには目がなかった。しかしワームはギッチリとこちらを向いていた。まるでこちらの位置がわかっているかのように。ヘビに備わっているピット器官のような機能が、こいつらデカブツに備わっているのだろうか。
もし仮に熱感知でこちらの動きを把握している上で、襲ってこないのならば そりゃあ悪手じゃろう、、ワムん子、、
てかアイツら、ワシよりでかくね??
ネフェルピット器官でも着いてんのかよ!
さてと。
俺は逃げる覚悟を決めた。
主人公の一人称がまだ定まっていません。
構想が定まり次第順次訂正していきます。