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第一話 「もう一つの世界」

 


  ある日俺は少年をトラックで跳ねた。




 

  俺の名前は雨森和也アマモリカズヤ。運送会社で働いている40歳男性。彼女なし所謂いわゆるアラフォーだ。

 容姿は細身で背が平均より少し高い方。黒髪に少し白髪がちらほらとある。幸が薄そうな顔だと同僚によく言われた。


 趣味はランニング。山の麓まで舗装された道を走り込むのが朝の日課だった。


 彼女のような子は中学生の頃に居た。俺に話しかけてくれた女の子。絶対あの子俺の事好きだった。俺が消しゴムを無くした時にも貸してくれた優しい女の子。 ほぼ俺の彼女。思い出す綺麗な日々。。。




まぁしかしそれから女性と関わりを持ったことがない。


つまりは、独身貴族という訳だ。


 あっちの経験はある。嘘ではない。嘘じゃないって!!


「ザザーザー」


 その日は大雨だった。1滴1滴が鉛玉のようにトラックの屋根をガガガガ

と打つ。

湿気が高くジメジメする。空気が重い。


「んだよ。もうついてねぇな。」

「ザザーザー」


俺の呟きは雨でかき消される


俺は新人のミスで仕事を増やされイライラとしていた。

溜まった荷物を運びながらこの仕事を早く終わらせるためにアクセルを強く踏む。


「ゲンロゲンロ」「ゲンロウゲ」


 ふいに、カエル達が草むらでゲルゲルと鳴いてる幻聴が聞こえた。

 その時、


「ドッッ!!!!!!」 と音がした。


「え、」


鉄の塊の前に肉の塊が転がる。


 ガラス越しに俺は人を跳ねたと知る。

小さなその塊はピクリとも動かず目の先で丸い。


その小さな塊からドクドクと赤黒い液体が流れ、またそれが雨で色を薄くしながら排水溝に流れ落ちていた。



 トラックの扉を開け少年のところへよると。少年の四肢は脱いだ靴下のように散らばっていた。俺はずぶ濡れになりながら、カエルの嘲笑うかのような鳴き声をただ聞き、ボーー。と立ち尽くしていた。





「大丈夫ですか!!!!」


 横から女性の声がした。


「はやく救急車を手配しなくては!!あの!あのっ!!.......」



 しかし俺の意識は朦朧もうろうとし、彼女の声はどんどん離れていく。そのまま目の前が真っ暗になった。


 ........。



 俺は目を開けた。

 真っ白な世界に私は、ぽつんと1人立っていた。


「え、ここはどこだ?少年は?トラックは!?」


 だめだ。記憶が朦朧もうろうとしている。死んだのか?

 とふと一瞬思った。俺は混乱する世界で息を整えるようと、めいいっぱい息を吸い込んで吐き出した。


「俺は死んでない。少年を殺したんだ。」

 俺はあの少年の命を奪った。


 自分の過ちを思い出し、この白い世界とは裏腹に心はどす黒く、心から腐臭ふしゅうの漂うような絶望感で溢れて、自分を作る輪郭と白い世界の境界線が無くなるような感覚に陥っていた。



 ギゴッ

 激しい痛みが私の頭を刺した。

 俺は頭を抱え、目を開いた。




 目の前に龍がいた


  「」


 その存在を俺の脳は拒否した。

 突然現れた目の前にいるモノの理解が出来なかった。


 その龍は5階建てのビルのような大きさで、

 一つ一つの鱗に命がやどっているような極彩色ごくさいしきに彩られ、妖艶としたオーラが目に見えるようだった。牙が無数に並び、その口元から2本の長く硬いワイヤーのような髭がユラユラと揺れていた。



 龍の目は俺を見ていた。龍の目に自分の姿が映り、恐怖で息が詰まる。何も出来ない。その存在は生命としての活動を忘れさせるかのようであった。


 ギガキッ

 また頭痛がした。首の根元を抉るかのような激しい痛みが走る。次第に視界が拡がり視界の情報が少しずつ増えていく。


 1匹の龍と5匹のドラゴンそして俺を含めた5人の男女が

 この白い世界の中心にいた。


 俺たち男女は円になり、それぞれが龍を見ていた。


 5匹のドラゴンたちは1匹づつ人間の後ろに佇み俺の後ろにも1匹のドラゴンがいた。


 他のドラゴンはもやが、かかるかのようにうっすらとしか見えないが、3階建ての一軒家のような大きさで、一体一体が無秩序な妖気を帯びていた。

 俺の後ろにいるドラゴンは他のドラゴンと比べ、少しばかりか小柄だったが、そこから溢れる黒いオーラと剛腕たる丸太のような腕は、人間との強さのベクトルの違いを感じさせるには容易だった。




「あっあの子は、、」



俺は自分が跳ねてしまった少年がこの中にいることに気がついた。無くなっていたはずの手足があり、傷も、当然血もなく

 ただそこにいるだけ、のような「少年」がそこにいた。


 涙がこぼれそうになった。少年は生きていたのだ。俺は人をを轢いてなどいなかった!


「良かった。。。本当に良かった。。。」


 この意味のわからない世界に戸惑いつつも込み上げる安堵を俺は抑えられなかった。



「あ、あのっ」


 その少年に恐る恐る声をかけようとした瞬間

 龍が口を開いた。




「やってるー?」




 龍が喋った。その奇々怪々な見た目とは裏腹にとても陽気な声で語りかけてきた。


 私は言葉を失い唖然としていると、後ろにいる黒いドラゴンが口を開いて私に言った。


「主の御言葉を聞け」



 すると重い腰を上げたかのように龍が言葉を発した。


「お前達には今際いまわでの生を捨て、この世界で使命を全うしてもらうンゴね」


どうもはじめまして

木餅ニカと申します。

これからも頑張っていきますので、宜しければチャンネル登録と高評価♡お願いします。

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