868.神の協力が必要なんだ
しかし、この作戦を成功させる為には協力が必要なんだと言う事をパーティーメンバー達に伝えるレウス。
しかもあのエヴィル・ワンを相手にするには、世界に影響が出ない程度に神の力も借りなければならない。
「……と言う訳だから、俺がこの装置を起動する間にお前達はそうやってくれ!」
「ええっ、でもレウスは!?」
「この状況だからここに残って俺が魔力を注入するしか無いんだよ! あいつが上で暴れているとなれば、ルルトゼルの村だけの被害じゃ済まなくなる。だから何としてでもここでこれを使って、あいつとディルクを止めるしか無いんだよ!!」
「う……わ、分かった!」
この五百年の時を経てもう一度蘇ったエヴィル・ワンを今度こそ、確実にこの世界の中から消滅させる手段。
それを実行するべく、パーティーメンバーである七人の女達はリーダーであるレウスの指示に従って一旦地上へ出る。
「とりあえず役割分担だ。私はあのエヴィル・ワンを引き付ける!」
「そんな、エルザだけじゃ無理よ! 私達もやるわ!」
「それじゃあ全員でかく乱しよう。その方があのディルクもかく乱出来るから一石二鳥よ!」
「一石二鳥の意味が良く分からないのですが……とりあえず、そう言う事なら私達で何とかしましょう」
今、レアナが神の二匹にテレパシーを使って連絡を取っている。
本当であればカシュラーゼの女王なのだからカシュラーゼに居ないといけないのだが、エヴィル・ワンを復活させるのを止められなかった自分にも責任があると思ってここまでついて来てしまったのだ。
その結果、レウスの話を聞いてエンヴィルークとアンフェレイアに連絡を取り始めたのだ。
「ですから、そのエヴィル・ワンを止める為に協力して欲しいんです!」
『それは分かるんだけど、俺様達も前から言っている通り大した協力は出来ないぜ』
「それでも良いのです! エヴィル・ワンを止めなければ、世界はもっともっと大変な事になるのですよ! この世界の監視者としての使命を背負っているあなた達なら、エヴィル・ワンを止める協力が出来る筈です!」
『分かったわよ。それで……具体的には何をすれば良いのかしら?』
出来る範囲での協力をする、と言い出したエンヴィルークとアンフェレイアに対し、レアナはエヴィル・ワンを止める為の第一歩を伝える。
「でしたら、まずはエヴィル・ワンを引き付けて下さい。それはエンヴィルーク様にお願いします」
『えっ、俺様だけなのか?』
「そうです! アンフェレイア様にはレウス様のお手伝いをして頂きたいのです。エンヴィルーク様もアンフェレイア様も強大な魔力をお持ちですが、エヴィル・ワンを止める為にはその魔力の多さが重要な鍵になるのです!」
『んー……まぁ、良いけど……あの五百年前の勇者の生まれ変わりも魔力を使っているって事なのかしら?』
「はい。なのでアンフェレイア様の魔力があれば、もっとエヴィル・ワンを止めるのが早くなるかと思います。ですのでどうかその力をお貸し下さい。お願いします!」
必死に懇願するレアナの声に対して、エンヴィルークもアンフェレイアもそこまで言うなら……と協力する道を選ぶ。
そもそも、あんなドラゴンを野放しにしておいてこの世界が滅亡する等と言う事態にでもなったりしたら、それこそ世界の監視者として失格なのだから協力しない訳が無かった。
『分かったよ。だったらエヴィル・ワンを引き付けておくのは良いんだが、何処に引き付けるんだ?』
「最低限でも、ルルトゼルの村の中から出さない様にお願いします。他の国に被害を出すのは避けたいですから……そうですね、レウスさんから聞いたお話によれば村の中でも住民が全くと言って良い程居ない、ライオネルの石碑の周辺に引き付けて下さい」
『分かった。任せろ!』
『私はレウスの手伝いをすれば良いのね?』
「はい。以前、地下通路の一部を埋めていたとお聞きしましたが……その地下通路にレウスさんがいらっしゃいます。そこでアンフェレイア様が一緒に、魔力を使って準備を進めて欲しいのです!」
『と言う事は、私が人間の姿になる必要があるのね』
レアナの指示通り、レウスと合流するには地下通路を通らなければならない。
となれば人間のレメクの姿になる必要があるので、彼女はルルトゼルの村に入ってからエヴィル・ワンに悟られない場所で人間の姿になって地下通路へと進入した。
そしてレウスと合流した場所で、エヴィル・ワンを止められる唯一の方法を知ったのだ。
『あ、これを使うの……?』
「そうなんだ。レアナ女王からテレパシーで話は聞いたと思うし、あんたが協力するってのも既に俺は聞いている。だからあんたもここに魔力を注ぎ込んでくれ!!」