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866.マウデル騎士学院の襲撃の犯人

「とうとう追い詰めたわよ……マウデル騎士学院の襲撃の犯人の一人!」

「レウスやこのアレットから話は聞いている。お主はこのアレット達が旅に出る前にマウデル騎士学院に潜入し、そしてエドガー達と組んで学院にまつわる一連の事件を引き起こした。全てはエヴィル・ワンの復活の為にな」


 アレットとソランジュがそう指摘するが、当の犯人であるヴェラルはふてぶてしい態度である。


「だったら何だって言うんだ? 俺をここで倒して、そのうっぷんでも晴らそうって言うのか?」

「うっぷんがどうこうじゃない。でも、私達が今まで貴方とカシュラーゼ達のせいで散々な目に遭って来たのよ。何度も何度も死にそうな目に遭って、そして今こうして貴方を追い詰めた。元はと言えば貴方が学院に乗り込んで来なかったら、今頃は普通の学生として過ごせていたのかも知れないのよ!」


 だが、ヴェラルはそんなアレットの主張を鼻で笑って一蹴した。


「はっ……」

「な、何がおかしいのよっ!?」

「おかしいも何も、俺のおかげだって褒めて貰いたいものだ。俺とヨハンナがあの時、ああやってマウデル騎士学院に乗り込まなかったらお前やあの茶髪に赤いコートの女を始めとした学生達は、エドガーが裏切ったって事が分からないまま学生生活を送ってたって事になるんだぜ?」

「そ……それは確かにそうだけど! でも貴方達が私達にやった事は忘れないわよ! 学院から誘拐をして、エヴィル・ワンの復活の為に散々世界中を駆け巡らせて、そして挙句の果てには大砲を造って砲撃で色々な場所をメチャクチャにしたんだからね!!」


 結果的にエドガーやアーヴィン商会の二人の裏切りが分かったが、だからと言って全ての元凶の一つは間違い無くこのヴェラルである。

 レウスもエルザも、そしてアレットも世界中を駆け巡ってこうしてここまで元凶を追い詰めたのだから、ここで決着をつけるべきだと考える。

 それはヴェラルにも分かっていたらしく、腰のロングソードを抜いて構えた。


「それもこれも、全ては俺達カシュラーゼの計画の一つだからな。それにお前達が巻き込まれたのはあのアークトゥルスの生まれ変わりに近い存在だったからだ。巻き込まれたって言った方が正しいか?」

「巻き込まれた……だと? お主……ここまで来てこの言い草をするとは、余程の見上げた根性らしいな。だったら覚悟は出来ているのだろうな?」

「ああ、出来ているとも。そんなに死に急ぐつもりか。だったら二人纏めて掛かって来るが良い。二人纏めて悪夢を見せてやる!」


 何処までもふてぶてしい態度のヴェラルに対して、ソランジュも怒り心頭である。

 これはやはりここで決着をつけるしか無いと考えた二人は、前衛をソランジュにして後衛をアレットのオーソドックスな組み合わせでヴェラルに向かう。

 対するヴェラルは数では不利なものの、今までの圧倒的な経験とレウスに勝った事がある自信の表われから、例え二人相手でも怯む様子を見せない。


「ええい、行くぞ!!」

「はっ!」


 先に斬り掛かるのはソランジュ。

 それに呼応してヴェラルも斬り掛かるが、やはり男女の体格差の違いや身長差、そして元々の経験の差からヴェラルが一気に押しに掛かる。

 しかし、この戦いにはアレットも参加している。

 タイミングを見計らってファイヤーボールを放ったり、ソランジュの体力を回復したりして援護するアレットだが、それをうっとうしく思ったヴェラルは先にアレットから片付ける事に決めた。


(まずは援護して来る奴から片付ける!!)

「くっ……私から狙うつもりね!?」


 かつて、カシュラーゼの地下世界でドミンゴを相手にエルザと一緒にバトルをした時の事を思い出したアレットは、その時と同じ様にソランジュと力を合わせようと思った。

 だが、今回の相手はドミンゴよりもかなり強い相手。世界中の騎士団で名前を売って来たその実力はかなり高い。

 ファイヤーボールを放って動きを止めようとしたものの、呆気無くそれをかわしたヴェラルはアレットに向かって全力の突きを繰り出した。


「ぐ……っ!!」

「死ねええっ!!」


 咄嗟に身体を捻りつつ横っ飛びで回避したものの、それを見越していたヴェラルは突き攻撃をかわされたと同時に急停止して、後ろを振り返りながらの横薙ぎを繰り出す。

 その攻撃によってアレットは斬られる……と思いきや、ヴェラルが着込んでいる赤いマントをグイっと後ろに引っ張られてそれを阻止された。

 勿論、それは相手を後回しにされたソランジュの仕業である。


「死ぬのはお主だ、ヴェラル!」

「んがっ!?」


 そのままマントを首にグルグルと巻き付けられ、顔を覆われた状態で全力で引っ張り上げられる。

 本来ならパワーの差で引っ張り返せばすぐに脱出出来たのだが、視界を奪われる恐怖心と言うのはなかなかに恐ろしいものだ。

 そしてその視界が奪われている中で、引っ張り上げられて首が上を向いている所にアレットが魔晶石の爆弾を押し込んだ。

 胸倉に入り込んだ固い物の正体を確かめたいヴェラルは、視界を奪われた中で全力でソランジュを突き飛ばしたのだが、マントで塞がった視界はまだ何も見えない。

 そこにアレットの杖がフルスイングされ、側頭部が殴り飛ばされる。


「ぐうぇ!?」

「アレット、伏せろ!」

「くっ!!」


 ソランジュがアレットを庇いつつ伏せた瞬間、ヴェラルの首を中心に大爆発が起こった。

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