表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

861/875

858.想定外の実力

「でもちょっと待ってよ。もしかしてそれって、私達がここに残るのをディルクが予想していたって事?」

「いいや、それはちょっと違うな。お前等がここに来た時から「見つけ次第殺せ」との指令が入ったのさ」

「じゃあ貴方がここに来たのは……」

「ああ、お前等の始末の為さ。でもあのアークトゥルスの生まれ変わりは居ねえみてえだな?」


 大げさ気味に周りをキョロキョロと見渡して、ラスラットはレウスが居ない事を確認する。

 それを見たエルザ達もそれぞれの武器を構えた。


「あいにくだが、ここには私達しか居ないんだ」

「ほう……だったらまずはお前達から始末してやるよ」

「それは良いけどそっちは一人でこっちは四人なのよ? 分が悪い事は分かるでしょ?」


 人数差を指摘するサイカだが、それ位の脅しで引き下がる様な凶悪魔術師の弟子では無い。


「はっ、そんな事を言われたからって俺が引き下がると思うのか? それにこっちは大勢で待ち構えていたんだし、そもそもここは俺達のホームグラウンド、魔術王国カシュラーゼだぜ。だからまずは俺じゃなくてこいつ等が相手だ!」

「はっ!?」


 勝手に話を進められて、気が付いてみれば四人はカシュラーゼの残党、もしくは増援部隊に囲まれてしまっている状況だった。

 そしてラスラットはその騎士団員達や魔術師達に四人の相手を任せ、自分は高みの見物と決め込む。


「さってと、まずはお前等の成長した実力を見せて貰おうかな?」

「くっ……だったら早くこの連中を片付けてしまうわよ!!」

「言われなくても分かっていますわよ!」


 四人はまず、ラスラットの周囲に集まって来たカシュラーゼ王国軍を倒して行く。

 やはりこんな国の所属でも正規の騎士団だけあってなかなか実力は高いのだが、今まで世界中を巡って来たエルザを始めとするこの四人の実力の前には歯が立たなかった。


「く……意外とやるじゃねえかよ!」


 次々と倒されてしまう部下達を見て、ラスラットは自分の魔術を使おうと特大のエネルギーボールの準備をし始める。

 しかしそれよりも先に、レウスに何度も倒されてから成長して来たエルザがラスラットに斬り掛かった。


「はああああっ!!」

「ぐっ!」


 エルザ以外の他の三人は、まだラスラットの部下達や他の部隊の増援と戦いを繰り広げている。

 実質エルザとの一対一になった状態だが、エネルギーボールを最小限にしてけん制で投げれば良いと思ってももう遅いラスラットは、仕方無しにロングソードでそのエルザのバトルアックスを受け止める。


「このっ、お前は確かあのアークトゥルスの生まれ変わりに何回も負けているくせに生意気に俺とやるつもりか!?」

「何処からその情報を……!? ふん、そのアークトゥルスの生まれ変わりには負けたが、貴様だって負けて敗走したくせに偉そうに!!」

「だったらこの場で決着つけようぜ。俺達のどっちが強いかをよぉ!!」

「望む所だ……うわあっ!?」


 だが、ラスラットの部下がまだ大勢残っているので代わりにエルザの相手をするべく割り込んで来た。

 そのハプニングに乗じて、一旦体勢を立て直す為にクルシーズ城の中へと逃げ込むラスラット。


(くっそ、まさか俺の部下達が次々に倒されるとは結構想定外だったぜ。こうなったら一旦地下世界に潜って、そこで色々と兵器を調達して……そこから一気にぶっ潰してやんぜ!!)


 この場で決着をつける、と言うのは何も城の外で決着をつけるのでは無い。

 カシュラーゼの中でなら何処でも良いんだからな……と自分に都合良く解釈しているラスラットは、地下世界に向かう為のエレベーターを目指す。

 しかし、途中でまだ生き残っている騎士団員の一人から想定外の事を聞いた。


「何だってぇ!? 地下通路が爆破されただぁ!?」


 騎士団員の話によれば、エドガーが先程のエルザ達を巻き込んで自爆をする為にあのエヴィル・ワンの復活をする為の自爆スイッチを押して、そして地下通路を爆破してしまったのだとか。

 となればそちらのルートは使えないので、ラスラットは残っているもう一つのエレベーターを使って地下世界に向かう。


(確か、あのアークトゥルスの生まれ変わり達が最初に来たのは地下世界だって言っていたな。爆破された地下通路よりも更に深い場所に造られているのがあいつ等の行った地下通路だから、そっちに行ってしまえばますます俺が有利になるぜ!!)


 そう考えるラスラットは、クルシーズ城の奥地にある倉庫から乗って行ける二人乗りの小さなエレベーターで地下世界へと向かう……筈だった。

 だが、そんな彼の横をヒュンヒュンと音を立てながらバトルアックスが掠めて行き、エレベーター横の呼び出しボタンのすぐ横に突き刺さったのだ。

 そのバトルアックスをブン投げて来たのは勿論……。


「ちっ、しつこい女は嫌われるぜ!?」

「しつこくて結構。私は貴様を逃がす訳にはいかないんだよ、ラスラット!!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お気に召しましたら、ブックマークや評価等をぜひよろしくお願い致します。
小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ