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857.残っていた敵

「ええっ、レアナ様がワイバーンに連れ去られた!?」

「確証は無いけど恐らくそうなんだ。だが追おうとしてもエドガーに邪魔されて追えなかった、すまない!!」

「とりあえず、レウスがもうちょっと安全な場所にレアナ様を誘導していたらって思うけど……でもこうなっちゃった以上は仕方が無いわね。とりあえずエドガーはレウスによって倒されたし、私とエルザで偽レウスも倒したし、後はそのワイバーンと……それから培養器の中から逃げ出したとされるエヴィル・ワンの行方を追い掛けましょう!!」


 レアナが連れ去られてしまったかも知れない。いや、確実にそうだろう。

 何故ならその瞬間、ワイバーンによって上空に吊り上げられて行くレアナを助けるべく動き出そうとしたレウスをエドガーは邪魔したのだから。

 それにエドガーと戦ったあの部屋からエヴィル・ワンを逃がしたのは誰なのかも気になるが、十中八九ディルクに間違い無いだろうとの事なので、後は他のメンバーにも協力して貰う。

 しかし、地上へと戻って来たレウス達は残りのパーティーメンバー達の一部の姿が無い事に気が付いた。


「おーい、サイカ!」

「ああっ、レウス!! ちょっと大変な事になっちゃったわよ!」

「え?」


 再会早々、血相を変えて駆け寄って来たサイカに対して一体何があったのかと首を傾げるレウスだが、その内容は先程まで自分達が話していた事だと分かった。


「あっ、あの……レアナ女王が連れ去られたの!! ヴェラルとヨハンナのコンビに!!」

「なっ……レアナ女王をさらったのはあの二人なのか!?」

「そうなのよ! しかもそのさらった二人を追い掛けて、アレットとソランジュとアニータが敵のワイバーンを奪って追い掛けて行っちゃったの!! だから早く追い掛けないと!」

「くっそ……どうしてこうも次から次へと!!」


 一難去ってまた一難とはまさにこの事なのだろう、とレウスは実感していた。

 追い掛けて行ったその三人でヴェラルとヨハンナに打ち勝てるかどうかは正直に言って厳しいので、レウスはその三人を追い掛ける事にした。

 一緒に地下から脱出して来たメンバー達は今までの戦いで疲れている事、それからまだカシュラーゼの残党が居るのでそっちを片づけて欲しい事を告げて、近くに降りて来ていた敵のワイバーンを奪い取ってヴェラルとヨハンナが飛んで行った方向へと向かった。

 残されたメンバーであるヒルトン姉妹とエルザ、そしてサイカの四人はそれぞれ情報交換をする。


「アレットが謎のワイバーンを見つけて、更にそれを持っていた望遠鏡で乗っているのが誰なのかを教えてくれなかったら、うっかり見逃しちゃっていたわよ。だからアレットには感謝しないといけないけど、それでまさかソランジュとアニータと一緒に追い掛けて行っちゃうとはちょっと予想外だったわね」

「そうだったのね。それでアレットは、そのワイバーンを追い掛けて行ったんだ」

「そうなのよ。でもそっちもそっちで大変だったらしいわね」

「ええ。エドガーはレウスの手によって死んだし、偽物のレウスまで開発していたみたいだし、ライマンドとドミンゴがまだ私達の行く手を遮って来たし……もう散々だったわよ」


 残党が何時何処から現われても良い様に、クルシーズ城に背中を向けて横並びで話をする四人。

 しかし、そんな四人の目の前に「あの男」が現われた。

 それはまず、何処からかバサッバサッとワイバーンが羽ばたく音が聞こえて来た事から始まった。


「……ん?」

「どうしたの? サイカ」

「ワイバーンの羽ばたく音が聞こえる。ええっと……ほら、あっち!!」

「あのワイバーンだな」


 サイカが指を差した方向を見て、エルザとヒルトン姉妹もそのワイバーンの接近に気が付く。

 視線の先にはまっすぐに四人の方を目掛けて飛んで来るワイバーンが一匹。そして近づいて来るにつれて、誰かが背中に乗っているのが分かる。

 だが、確認用の望遠鏡はアレットが持って行ってしまったのでここからでは肉眼でその存在が誰なのかを確認する事は出来ない。


「うーん、どなたかしら?」

「敵かも知れないから注意しろ、ティーナ!!」

「分かっていますわよ。しかし、こんな時にやって来るのはもしかしたら敵の増援……危ないっ!」


 この四人の中で最もワイバーンを注視していたティーナが、そのワイバーンが敵であると言うのを行動で示してくれた。

 横並びの一番左端に立っていた彼女が、エルザ達三人を巻き込んで全力で地面へと伏せたからだ。

 そしてそれから数秒遅れて、今まで四人が立っていた場所の後ろの城壁に紫色のエネルギーボールが当たったからだ。

 こうやって狙いを定めて攻撃をして来る敵、しかもエネルギーボールで……となると思い当たるのは何人かしか居なかった。

 そしてその敵は四人の近くにワイバーンを着陸させて、腰のロングソードを引き抜いてゆっくりと向かって来る。

 それは四人とも面識のある人物だった。


「貴方は……ディルクの弟子のラスラット!?」

「ふっ、こんな所にお前等四人が固まってくれているなんてな。おかげで一気にぶっ殺せそうだぜ」

「何でここに居るのよ?」

「何でだぁ? 俺だってここの責任者の一人だからだよ。そして俺はディルク師匠のサポート役でもある。つまり、お前等をここで足止めするって事さ」

「貴様……ディルクから頼まれたのか?」

「ああ。師匠が「あの連中を見つけ次第殺せ」って命令したからさ。だから師匠と一緒に着いて行かなくて正解だったぜ」


 ティーナ、ドリス、エルザとそんなやり取りをするラスラットだが、そのエルザへの答えに対して疑問を持ったサイカが質問をぶつけた。

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