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846.地下の動き

「はぁ、はぁ、はぁ……終わったわね……」

「ええ、何とかこれでゴーシュは倒したけど、肝心のこれの破壊がまだよね」

「だったらこれをありったけここにバラ撒いて、私の合図とともに逃げるのよ!! 行くわよ!!」


 アレットはすぐさま行動! とばかりに残っている魔晶石爆弾を全て部屋中にバラ撒く。

 それもメインコントロールシステムの周囲に念入りに撒く事で、より確実な破壊を可能にする念の入れ様だ。


「さぁ、これで準備完了! 脱出よっ!!」

「うわあああああっ!!」


 全速力でコントロールルームの中から外へと出て、そのままわき目も振らずに通路を走り抜ける二人の背後で、先程ゴーシュを爆死させた規模とは比べ物にならない大爆発が巻き起こった。

 それは魔術防壁を消し去ってこの城のフロア全体を揺さぶる位の大爆発であると同時に、地下世界にも異変をもたらすものでもあった。



 ◇



「……ん?」

「あれっ、鍵が開いたのではありませんか?」

「そうみたいですわね」


 カチリと出入り口のドアの方から音が聞こえたので、地下のガラス張りの牢屋に閉じ込められているティーナとレアナはお互いに顔を見合わせてその音の正体を確認する。

 すると、今までビクともしなかったそのドアが今は簡単に開いてしまった。


「やっぱりドアが開いていますね。何があったのかは分かりませんが、まだ警報が鳴り響いているのを見る限りでは何か異変があったのは間違い無いですね」

「ええ。見張りの方もいらっしゃいませんし……とりあえずこの地下世界からの脱出を目指しましょう」

「そうですね。と言っても私のレイピアも貴女のロングソードも没収されてしまっていますから、何処かで武器を調達しなければいけませんわね」

「はい!」


 徒手格闘で戦わなければならない時は勿論存在するのだが、ティーナがレアナに聞いてみた所、彼女は格闘戦に関してはズブの素人らしいのだ。

 レイピアの扱いには長けているものの、それが無ければ戦えない一般人と同じである。

 なのでここはティーナが先頭に立ち、自分達以外に誰も居なくなってしまったこの地下世界のクルシーズ城の中を用心しながら進んで行く。


「レアナ様は、この地下世界に来た事はありますか?」

「え、ええ……あります。ですがディルク様が色々と部屋を使っておりまして、私は彼の使っている部屋には基本的に入れさせて貰えません」

「ん~……でも、基本的な間取りとか地上に戻る為の階段の場所は分かりますか?」

「あ、はい。それは勿論です。しかしこの地下世界を行き来する手段は階段はあくまでも非常用でして、基本的にはエレベーターを使うのです」

「エレベーター?」


 レアナが説明するには、魔力の力を使って上下に動く箱の事である。ディルクやラスラットはそれを使用してここの地上世界と地下世界を行き来しているらしいのだが、そこに辿り着いたティーナとレアナは不気味さを隠せなかった。


「このエレベーターと言うもの自体には特に何も変哲はありませんが……レアナ様、今まで私達が通って来た道を見てどう思われましたか?」

「妙でした。どう考えても見張りの騎士団員達や魔術師達が誰も居ないのは不思議です。それからディルク様の行方も分かりませんし、警報は未だに鳴り響いていますから何がどうなっているのか……」

「さっきの妙な振動に関しても気になりますね。とにかく地上へと向かってみれば何がどうなっているのかが分かるでしょう。とにかくこのエレベーターに乗りたいんですけど、どうやら上の方で止まっちゃっているみたいですね……」

「でしたら、この昇降口の隣にあるレバーをこうやって下に下ろすのですわ」


 そう言いながらレアナが赤いレバーをグッと下に下げれば、それと同時にゴゴゴ……と音がしてエレベーターが下りて来た。

 結局それぞれの武器は途中に立ち寄った騎士団員の詰め所で回収したので、わざわざ奪い取る必要も無かったのだが、早速その回収した自分達の武器を使う時が来たらしい。

 何故なら、そのエレベーターには既に先客が居たのである。


「……ん!?」

「おうおうおうっ!? ひょほー……なーんだ、お前等逃げ出したのかよ!!」

「あ、貴方はマウデル騎士学院を裏切ったエドガー!? どうしてここに……!!」

「はっ、そんな事はお前等が知る必要なんてねえんだよ。それよりも邪魔だぜ、どきやがれっ!!」

「くっ!」

「きゃあっ!!」


 手に持っているロングソードを振りかざしてティーナとレアナを強引にどかしたエドガーは、そんな二人にはそれ以上目もくれずに何処かへ向かって走り去ろうとする。

 しかし、ティーナとレアナだって裏切り者とここで遭遇した以上は見逃す訳にはいかないので、当然彼を追い掛け始める。


「絶対に逃がしませんよ!!」

「勿論ですわ、ティーナさん!!」


 だが、この二人がエドガーに追いついた時にとんでもない事実を知ってしまう事になる……。

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