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841.再会とリベンジと

 本来であれば、このカシュラーゼには居ない筈のソルイールの皇帝バスティアン。

 その彼がこのカシュラーゼに、しかも王都エルヴァンにあるクルシーズ城のエントランスに居るので驚かない訳が無かったのだ。


「どっどどどうしてソルイールの皇帝がここに!?」

「何だ、俺様がここに居るのは変だってのかよ? ソルイールとカシュラーぜは友好関係を結んでいるんだよ。だから最近噂になっているてめえ等にどう対抗するかって事を、カシュラーゼの国王と会談して決めに来たんだよ!!」

「カシュラーゼのトップって……レアナ女王の事?」


 しかし、ドリスの質問に対してバスティアンは首を横に振って鼻で笑った。


「はっ、あんなひ弱な女がカシュラーゼのトップだぁ? 笑わせんじゃねえよ。今のカシュラーゼのトップはディルクなんだよ。それに……」


 バスティアンはそこで言葉を切り、背中に装備しているバスタードソードを引き抜いてパーティーメンバー達に向かって構える。


「こうしてこんな場所に全員揃って来てくれたってのは、俺様にとってあの時のリベンジをするチャンスってこった!!」

「何がリベンジよ! どうせ私達の事を邪魔するつもりなんでしょ!」

「それ以外に何があるってんだよ。悪いけどてめえ等の相手は俺様だけじゃねえぞ」

「は?」


 いきなり意味不明な事を言い出したバスティアンに対して、パーティーメンバーは一様に顔を見合わせて首を傾げる。

 そんな女達の目の前に、ガチャガチャと金属の装備の音を立てつつもう一人の男が現われた。


「まさかお前達とここで再会するとは思っていなかったが、ここでこうしてあったのも何かの縁だ。こうなったらトコトンあの時の恨みを晴らし、私が直々にお前達の墓標をソルイールの地に立ててやる!!」

「貴方は……ソルイール帝国騎士団の団長セレイザ!!」

「ふんっ、私はバスティアン陛下の護衛として着いて来ているのだよ。だから私がここに居るのは何も不思議では無い。外では大きな金属の塊が暴れている様だが、今ここに居るのはお前達だけのようだ。さぁて、誰から血祭りに上げてくれようか……?」

「うりゃあああっ!!」

「ぬおっ!?」


 セレイザがロングソードを抜く前に斬り掛かったのはドリス。

 そしてそれを見たバスティアンが動く前に斬り掛かったのは、彼と因縁がある内の一人であるエルザだった。


「くっ……!!」

「おい、貴様等は先に行け!! 私達はせっかくの多人数なんだから、ここで私達が足止めをしている間に早く!!」

「し、しかし……エルザ!!」

「心配するなソランジュ。私がこんな人間のクズを凝縮した様な男に負ける訳が無いだろう!!」

「そうよ。私だってこの人とは何の因縁も無いけど、足止めに出ちゃったからには私も全力で止めるわ。さぁ、だから早く先に進むのよっ!!」


 エルザとドリスの努力を無駄にする訳にはいかない。

 残りのパーティーメンバー達は顔を見合わせて頷き、サイカとアニータはティーナとレアナを助けに向かい、ソランジュとアレットは魔術防壁システムを止めに向かったのだった。


「行かせるか!!」

「おっと、貴方の相手はこの私よ騎士団長!!」

「ぐっ!!」


 リーチとパワーのあるハルバードを振り回すドリスは、セレイザにとっては初めて戦う相手である。

 しかし彼も騎士団長の地位に居るだけの実力と経験で、そう簡単にやられはしない。

 その一方で、以前はレウスに倒されてしまったバスティアンを相手にしているエルザの姿があった。


「前回はてめーのパーティーのリーダーにやられ、今回はクソ生意気な態度のてめーにやられるなんて事はあっちゃいけねえんだよ!!」

「いいや、今回も貴様は負ける運命なんだ。だから大人しく私にやられて道を開けるんだ!」

「それは無理だな!!」


 レアナとティーナを助けに来て、とんでもない相手に出会ってしまった。

 その二人とのバトルをエルザとドリスが繰り広げている一方で、二手に分かれたチームの内サイカとアニータは地下世界へと向かっていた。


「確かレアナ女王の話だと、以前脱走して私達の為に情報集めをしていたのが残っていた足跡からディルク達にバレてしまい、それで迂闊な行動を取れない様に地下の世界の牢屋に閉じ込められているって話だったわよね!?」

「そうよ。だから私達も地下世界へと向かう予定だけど、その地下世界って言うのを私は見た事が無いわ。案内は任せるわよ!」

「そ、そう言えばそうだったわね。よっしゃあ、だったら任せなさい。このサイカ・エステル・エリクソンが全責任を持って案内するわ!」


 しかし、そんな張り切っているサイカの目の前に現われたのは多数の敵。そしてあのカシュラーゼに寝返ったあの女だった。


「あら、何処へ行くのかしら?」

「……ん!?」

「あっ、貴女は確かエレデラムで……!?」


 二人も見覚えのある黒い長髪の女。

 それは間違い無く、国だけではなくて自分の息子まで裏切った内の一人であるファラリア・アーヴィンだった!!

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