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839.特攻する手土産

 そのエンヴィルークとアンフェレイアによって空輸された「手土産」でクルシーズ城へと特攻するレウスは、文字通り立ち塞がるカシュラーゼ王国騎士団や魔術師を蹴散らして進む。

 そしてクルシーズ城に向かって体当たりをしてみたり、習得した蹴りを繰り出してみたりと特攻を繰り返す。

 勿論、それは城の中に居る人間や獣人だけではなくて地下世界へも伝わっている。


「くっそぉ、何が一体どうなっているんだ!?」

「突然赤い大きな金属の塊が襲来!! 恐らく、エレデラムの方で見つかったと報告のあった、あのゼフィードと言う古代兵器かとっ!!」

「くそっ、まさかそんなのを動かしてここに来るとは……迎え撃て! 僕はあれを起動しに掛かる!!」


 ドミンゴの報告に対してそう答えるディルクだが、その「あれ」が何なのか分かっているドミンゴは慌ててディルクを止めに掛かった。


「お、お待ち下さいディルク様っ!! あれはまだ未完成の状態なんですよ!?」

「うるさい! 実験の結果、完全体では無くても動く事が分かったんだ。それにあの連中の事だから、完全体にする為のパーツが何処にあるのかなんて大体想像がつくっ!!」


 そう言ってドミンゴを振り払って行こうとするが、ドミンゴも負けじとディルクを押さえ込みに掛かる。


「お、落ち着いて下さいディルク様っ!! 不完全な状態で動かしたらディルク様まで命の危険が……!!」

「黙れ! ただの魔術師が僕に指図をするなあっ!!」

「ぐあああああっ!?」


 ディルクの胸に手をかざし、バリバリと魔術で痺れさせてノックアウトさせる。

 そしてこう吐き捨てて、ディルクは「あれ」の保管場所へと走り出した。


「それにまだ、ドラゴンが一匹残っていただろう!! あれを使って奴等を食い止めろっ!!」

「ディルク……様……」


 その痺れているドミンゴに伝わったドラゴンが、今まさにそのゼフィードと対峙していた。


「これってもじかして、あのドゥドゥカス陛下が言っていた瞬間移動するドラゴン……!?」


 モニター越しに見えるそのドラゴンの姿を見て、レウスはドゥドゥカスから聞いた話を思い出していた。


『そ、そのドラゴンなんだけど……どうやら瞬間移動が可能らしいんだ』

『はい? 瞬間移動……ですか?』

『そうなんだ。投げ出されてあっと思った時にはもうドラゴンの姿は空には無かった。僕にぶつかったと同時にスッと煙の様に消えてしまったんだよ!!』

『それって単純に、あんたが体当たりされたドラゴンが黒い身体をしていたから、このドス黒い空の闇に紛れ込んで見えなくなっちまっただけじゃねえの?』

『いいや、僕はハッキリと見たんだよ。だって最初に体当たりされた時には、僕は何とかワイバーンをコントロールして落ちない様に踏みとどまったんだから』

『えっ? それじゃあ何回かぶつけられたって事か?』

『そう。でも回数で言えばそれを含めて二回だよ。その二回目の時に瞬間移動を見た。ドラゴンを振り切る為にそのドラゴンに背中を向けて一目散にワイバーンを加速させたつもりが、後ろに居た筈のドラゴンがパッと目の前に現われたんだからな!』

『それは普通のドラゴンでは無いな。俺様でもそんな瞬間移動は無理だ』

『だとすると、やっぱりカシュラーゼの生み出した生物兵器って話になるよな……』


 その話に聞いていたドラゴンが、先程からモニター越しに攻撃を仕掛けて来ているのだ。

 勿論レウスも反撃をしようとしているのだが、反撃をしようとすると残像を残して消えてしまうのだ。

 そして後ろから体当たりをされて、思いっ切り無様に倒されてしまう。


「くっそ~……なめやがってえええええええええ!!」


 それを何回も繰り返されていれば、流石にレウスも堪忍袋の緒が切れてしまう。

 まさかこんな瞬間移動をする様な敵に出会った事が今まで出会った無いので、流石に五百年前の勇者でも対処法がなかなか掴めなかった。


(どうする……どうする!?)


 先程から対処法を考えていたのだが、このドラゴンの行動パターンからあれしか無いと言う思考に辿り着いた。


(そうと決まれば……おりゃっ!!)


 レウスはレバーを操作して思いっ切り蹴り技を繰り出す。

 しかし、今までの単純な前蹴りと違って今回繰り出すのは回し蹴り。それも大きなモーションから振り出すものであり、誰がどう見ても大振り過ぎだろうと言わざるを得ない。

 だが、それこそレウスの作戦であった。

 今までと違う攻撃でありながらも、ドラゴンは自分の得意技である瞬間移動で避けた。

 そしてレウスの後ろに回り込み……繰り出されて後ろまで回されたその右足の回し蹴りで奇麗に吹っ飛ばされた。


『ギャウッ!?』

(さっきからこいつ、俺の後ろにしか回り込んでいなかったからな。だからその攻撃パターンをあれだけ見せられれば、こっちだって嫌でも覚えるってもんだ!!)


 その回し蹴りの一撃でよろけたドラゴンに、今度は先程から空振ってばかりだったレウスの前蹴りが炸裂する。

 しかし、今までの攻撃のお返しとばかりにドラゴンを叩きのめし始めたレウスに思い掛けない事態が襲い掛かった!!

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