表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

838/875

835.それぞれの行動

 そんな考え過ぎになっている一行を尻目に、レウスはコツを掴み始めていた。


『そうよ、そこで一瞬動力を切って……またすぐに繋ぐ!!』

「良し、こうだな!!」


 器用にレバーを動かして機体をコントロール。そして動力を動かすスイッチとなっているレバーを一旦切断する方に動かし、レバーをすぐ元に戻す。

 アンフェレイアの張っている魔術防壁を抜けたらまたすぐに動力を繋ぎ、そのままスパッとレバーを動かしてコントロール。

 背中に着いている大きな金属のパーツは、そこから魔力エネルギーを噴射してそれを使って空を飛ぶ事が出来る。

 操れば操るだけ上手くなって行くレウスは、アンフェレイアからも『これなら大丈夫ね』と言われるまでさほど時間は掛からなかった。


(中に入っている俺が魔術防壁に反応しないか心配だったけど、その心配はもう無いな)


 アンフェレイアの分析からすると、どうやらこのゼフィードの表面の金属には魔術を遮断する効果があるらしい。

 だから本来であれば魔力がどうのこうのと言うのは考えなくても良かったらしいのだが、中にレウスが乗っている事もあるし、念には念を入れてのこの飛行訓練と魔術防壁を超える為の実験だった。

 一通りのコツを掴み、レウスにも自信がついた所で今度は彼にも作戦を話す。


「……大体話は分かった。でもそれって考え過ぎなんじゃないのか?」

「いいや、カシュラーゼの考えている事なんて私達の予想を遥かに超えているものが大半なんだ。例えば人肉工場だったり、例えば人型爆弾だったり、例えばハンドガンやランチャーと言った新開発兵器だったりな。だからこそ、向こうが何かをしようとしている……それは出来るだけ色々な事を考えておかないとな」

「まぁ、そりゃそうだけどよ」


 とにかく、これで向こうへと向かう準備は整った。

 エヴィル・ワンの身体の欠片もしっかりとラッピングされ、実際にゼフィードに括り付けて飛ばしてみて問題が無い事をテストする。

 その結果、多少動きが重い事を確認したものの飛行には問題が無いので、後は向こうへと向かい交渉の材料にするだけだ。


「本当であれば、私はこのエヴィル・ワンの身体の欠片を全部ぶっ壊して、向こうに復活させない様にしたい。でも……ティーナがカシュラーゼに囚われているんだと知ったら、やっぱりそれは出来ないよな」

「俺だってその気持ちは同じさ。いっその事全部ぶっ壊して、カシュラーゼのディルク達をメチャクチャにするしか無いってさ。でも、向こうだってそう簡単に諦める様な奴等じゃないだろうし、スパイを送り込んで俺達を散々騙していたからな……」


 そう考えているレウスだが、これ以上ティーナをどうやって助けるかの判断は出来そうに無かった。

 なのでその日も、それから次の日もとにかく自分の飛行技術を磨くとともにソルイールとカシュラーゼ以外の各国にバックアップとして協力要請を依頼し、時間は過ぎて行った。



 ◇



「体調はいかがですか、レアナ様?」

「私は問題ございませんわ。ティーナ様こそいかがです?」

「お気遣い感謝致します。私も問題ありません。しかし……このまま助けが来るのを待っているのは何だか心細いですわね」


 ここに囚われているティーナとレアナは、どうにかしてこの地下世界のカシュラーゼから抜け出す方法を考えていた。

 レアナはこの状況を何とか伝えようとテレパシーを再度試みたものの、成功したのはここに囚われていると言うあの連絡一回だけであり、それ以降のテレパシーは全然繋がらなかったのであった。


「テレパシーを遮断する魔術でも開発したのでしょうか?」

「うーん……私も魔術には疎い方ですので何とも言えませんが、あのディルクが何かをしでかしたと言うのはあるでしょう。ここから出ようにも牢の前には見張りが居ますし、今までの地下牢と違って妙な音がする鍵を採用しているみたいですから脱獄も厳しそうですし」

「あれは……確か電子ロックとかって言っておりましたわ。何なのかはさっぱり分かりませんが、とにかくこの世界の常識で考えられる牢屋とは思えません」


 そもそも鉄格子の牢屋では無くてガラス張りになっている空間だし、そのガラスを割ろうにも特殊な材質でも使っているのかまるでビクともしなかったので、ティーナもレアナもこの場所からの脱獄は諦めていた。

 なので、レアナはティーナにこんな話をして気を紛らわせる様にする。


「そう言えば、エドガー様がこんな事をおっしゃっていましたわ」

「ああ、マウデル騎士学院を裏切ってカシュラーゼ側についた……」

「そうです。その方によると、カシュラーゼに協力するのは自分の復讐心からだと。元々自分から協力して、エヴィル・ワンの身体の欠片を使ってエヴィル・ワンを復活させるのが目的だったって」

「前にそんな話を何処かで聞いた様な……いや、もしかしたら誰かの話と記憶が混ざっているのかも知れませんわ。で……エドガーは自分から協力する事を望んでいたと?」

「そう言っていましたわ。ですので、彼が何を思ってこの復活計画に参加したのかは気になりますわね……きゃあっ!?」

「うわああっ!?」


 そのエドガーの話が気になっているティーナとレアナの身を、突然大きな衝撃が襲ったのはその時だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お気に召しましたら、ブックマークや評価等をぜひよろしくお願い致します。
小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ