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825.生家

 その諦めの感情を抱きつつ、自分の二度目の人生の生まれ故郷である田舎町ヴァレリアへと向かったレウスは、ギルベルト達が砲台を壊す為の下準備をしている間に自分の生家を色々と家探ししていた。

 商家で成り上がった為に金を持ってそうだと良く言われていたのだが、実際はそもそもが一般人であった為か至って普通の木造二階建ての家である。

 なので間取りも一階が玄関、リビング、台所、そして物置。それから二階がゴーシュの部屋にファラリアの部屋、それから夫婦の寝室にレウスの部屋。

 こんな間取りの家で暮らしていたレウスだが、今回は既に無人の状態なので様々な所を探り放題見放題である。


(考えてみれば、俺がこの家の中をこうやって隅々まで調べて回るのって初めてかも知れないな)


 そもそもよっぽどの詮索好きでも無い限り、例え自分の家だろうがこうして隅々まで調べるなんて事はしないだろうとレウスは苦笑いしてしまう。

 しかし、こうしてゴーシュやファラリアの部屋を探してみても何も見つからない。

 やはり二人とも、転生した人物だとは言え今まで十七年間こうして自分の両親としてやって来たからなのか、はたまたカシュラーゼから「証拠は残すな」と言われているのか、手掛かりになりそうな書類や痕跡等は何も見つからなかったのである。


(うーん、やっぱりこうして見てみるとカシュラーゼの手先になるだけの用心深さはあるって事か。何かカシュラーゼの弱点でもあればって思ったんだけど、やっぱりそんなに都合良くは行かねえか……)


 結局、自分の部屋から物置まで全ての場所を探してみたレウスだったが何も得るものは無く、魔晶石による通話機能でそれをギルベルトに報告する。


「……って訳で、何も無しだった」

『分かったよ。だったら俺達に合流してくれ』


 ギルベルトもその報告を分かっていたかの様な口調で返答をして来たので、レウスは「あー、大体分かってたんだなぁ」とゴーシュとファラリアの警戒心の高さを何となく彼も分かっていたのだと察した。

 その後、レウスは自分が働いていた食堂に顔を出して情報収集を始める。

 ある日突然「この食堂を辞めます。今までお世話になりました」と言う書き置きを残して消えてしまった彼が、世界を一周して突然戻って来た事に対して元同僚達は驚きを隠せなかった。

 しかし、それ以上にこの食堂の従業員も良く知っているゴーシュとファラリアが、今の世間を騒がせているカシュラーゼの仲間になってしまったと言う事が知られているらしい。


(その知られた切っ掛けが、ドゥドゥカス陛下が王国中にお触れを出したからなのか……)


 これであの夫婦も、それからマウデル騎士学院の学院長であるエドガーもリーフォセリア王国には戻って来られない様になっているのだと食堂の従業員達から伝えられた。

 だが、その食堂の従業員もお触れが出るまでカシュラーゼとアーヴィン商会が繋がっていたと知らなかったので、結局何も有益な情報は得られなかった。

 と言うか、こんな時こそ来て欲しいのがエンヴィルークやカシュラーゼの女王レアナが使っているテレパシーである。あのテレパシーによって次の目的地が分かったりしていたので何気に役立っていたのだが、こんなに行き詰まっている時に限って何も無い。

 やっぱりそんなに都合良くは行かないと再認識した所で、レウスはヴァレリアの町の出入り口に待たせておいた自分のワイバーンを使って、少し離れた場所にあると言うリーフォセリアの砲台に向かって飛び立った。


(そう言えば何も連絡が無いけど、他のメンバーはちゃんとやってんのかな?)


 何かあればすぐに連絡を入れる様にと言ってあるし、自分の方もそれを約束したので何かあれば連絡を入れるつもりなのだが、何も無い以上こちらから入れる連絡は無い。

 なので目的地に着くまでの間、レウスはこのリーフォセリアの砲台の情報を思い返してみる。


(確かこのヴァレリアから少し北へと向かった森の中だったな。俺は北の方へと向かった事が無いから良く分からないけど、そこはギルベルトに任せるとしようか……)

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