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817.しぶといなー

 アレットが爆弾を投げ込んだ事によって、シルヴェン王国騎士団の存在に気が付く砲台の周りの人物達。

 しかし、その中に一人見知った顔の人物が居るのを見つけてしまったアレット。


「ん……あ、あれってまさか……!?」


 何故、あの人物がここに居るのか?

 アレットがそれを理解する前に、その人物もアレットの存在に気が付いた。


「あっ……君はまさか!?」

「どうして貴方がここに居るのよ!? だって……貴方は確かあのヴァーンイレスの時に死んだ筈じゃない!!」

「死んだだと? 誰が何時そんな事を言ったんだ?」

「い、いや、言われていないけども!! でもあんな状況になっていたら、誰だって死んだと思うのが普通でしょうが!」


 アレットがこれだけ驚くのも無理は無かった。

 あの状況でなら絶対に死んでいる筈なのに、何故かこうして生きている状態で自分の前に姿を現わした。

 しかも周囲ではやって来た騎士団員達が戦いを繰り広げているのに、この二人はこうして話をしている何とも説明しがたい状況である。

 その状況、そしてアレットのその驚き様を見て傍らで騎士団長のレメディオスと彼に守られている国王のトリスティが、対峙している男の詳細を尋ねる。


「この男とは知り合いなのか?」

「知り合いって言うか……まぁ、知り合いと言えば知り合いですけど、友達とかそう言うんじゃないんですよ。完全に敵なんです」

「どう言う事なのかな?」

「そのままの意味ですよ。名前はコラード・モラッティ。二枚舌って言うあだ名がついている傭兵でして、カシュラーゼに雇われているんです」


 でも、とアレットはその再会したコラードから視線を外さないまま、隣国のヴァーンイレスで起こった出来事を話し始めた。


「この男とはイーディクト帝国で初めて出会ったんです。その時はまだ味方だったんですけど、敵だと発覚したのはその後……カシュラーゼに向かった時でした」

「カシュラーゼに?」

「ええ。その時はサイカが倒したんですけど……それで終わりじゃなかったんです。このシルヴェン王国の領土をスッポリ覆っているアイクアル王国の……隣のヴァーンイレスでまた私達が出会ったんです。丁度、今の状況と同じくこうやって大砲がある場所でね!!」

「何だって? それじゃあ……」


 まだこの男は諦めてなかったのか! と驚きを隠せないレメディオスとトリスティに対して、対峙しているコラードは一旦後ろに鎮座している砲台を振り向いてから再びアレット達の方を向いた。


「あの時……ギリギリで私はあの倒れて来る大砲の下敷きにならずに済んだ。しかしそれを確認せずにすぐに行ってしまうものだから、おかげでこうして再起する事が出来たんだ」

「もしかしてだけど、再起するまでにかなり時間が掛かったんじゃないかしら?」

「ああ。ディルク様が居なかったら私はもっと時間が掛かっていただろうな。ユフリーだって瀕死の重傷を負っていたんだが、それもディルク様のおかげで何とかなった。つまり倒されても倒されても私はこうして生き返るのさ」

「じゃあ……今度は完全に息の根を止めなければダメって事ですよね?」


 アレットは一歩下がってレメディオスとトリスティにそう聞いてみる。

 聞かれた方の二人は、それなら確かに……と頷いて自分達の考えを口に出した。


「このコラードと言う男がそれだけしぶといのであれば、私達としてもこれ以上良からぬ事を考えない様にする必要はあると思う」

「私もレメディオスと同じ意見だよ。特に我が国の中に何時の間にか製造されている砲台と、それに載せている大砲を破壊する為にこうしてやって来たんだし、その破壊の邪魔をするのであれば私達だって容赦はしないからな!」


 国王から直々にそう言われたコラードだが、だからと言ってここで引き下がる訳にはいかないのが現実だ。


「なら力尽くで止めてみれば良いんじゃないのか? もっとも、私だってここでやられたくはないのだがね」

「だそうです。陛下はお下がり下さい。ここは私が彼の相手を致します」


 ロングソードを構えて臨戦態勢に入っているレメディオスと、彼のその言葉を聞いてトリスティを片手で制しながら少しずつ後ろに下がるアレット。

 万が一にも、ここでコラードにトリスティがやられる様な事があってはならない。

 しかしそう考えていた二人と、護られているトリスティがコラードの方に驚くべき光景を目撃する。


「……!?」

「なっ……」

「ぐおあっ!?」


 コラードが後頭部に衝撃を受け、そのまま前のめりに倒れてしまった。

 一体何が起こったのかと言うと、コラードの後ろから気配を殺しつつ近づいて来たミネットが振り下ろした、太くて硬くて長い丸太が原因だったのだ。

 意識を完全にアレット達三人の方に向けていた上に、周囲の戦いの騒乱によって気配も足音も全く感じ取れなかったコラードの後頭部はノーガード状態。

 そのまま意識を失ってしまったコラードの生死確認をするべく動き出した三人だったが、その時ミネットの背後で大きな爆発が起こった!!

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