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801.一つ目撃破

 その何の前触れも無しに現われた、黒を基調とした武装集団。

 山賊の類なのか何なのかは分からないが、少なくともこの森の中でいきなり現われたと言う事は例の砲台を守っている連中であろう。

 だが、ここまで幾多もの戦場を駆け抜けて来たレウス達や騎士団長達、そして神であるエンヴィルークの敵では無い。

 敵はそれぞれ様々な武器で襲い掛かって来るものの、歴戦の猛者達には敵う筈も無く一人、また一人と倒されてしまう。


「こっちは全て片付いたわよ!!」

「こちらも全部終わったぞ」

「良し、それじゃあ先に進むぞ」


 サイカとエルザの声を聞き、いきなり現われたこの謎の武装集団の正体を探るべくどんどん先へと進み始める一行。

 それと同時に、ラニサヴはその気配を察知したエンヴィルークに話を聞いてみる。


「気配があるって分かったのは良いが、どうしてあんなにギリギリで気が付いたんだ?」

『それなんだが、俺様にも分からない位に巧妙に隠していたらしいんだ。まさか人間や獣人の中にも、あれだけ気配を消すのが巧妙な奴等が居るとはな』

「そんなにですか?」

『ああ。でも……この連中の姿を見る限りではまだまだ下っ端って感じがする。武器も服装も統一されているけど、この中でリーダー格らしい人物は何となく居ない気がするんだ』


 何となくだけどな、とそこを強調して宣言するエンヴィルークを含めた一行を率いて、ラニサヴは更に獣道を通って森の中を進んで行く。

 所々に剣や斧で木々が切り倒されたり岩が砕かれた跡があるのを発見しているので、さっきの突然の襲撃をして来た人物達の存在とこの状況から考えると、人の手を入れてまでこの先で砲台を造っていると言うアンフェレイアとトリスティの話は間違い無いらしい。

 そしてその話が現実のものだったと言うのを、そのまま奥地に進んで行った場所に突然現われた、開けた場所で遭遇した一団を見てレウス達は確信した。

 しかもその一団のリーダーは、レウス達がかなり驚くのも無理は無い人物だったのである。


「あらあら、まずはここから来たって事ね?」

「おっ、お前は!?」

「嘘でしょ……あの時の爆発で死んだ筈じゃなかったの!?」


 ハンドガンの銃口をレウス達の方に向けながら、ニヤニヤと嫌らしい笑みを浮かべる一人の女。

 レウス達はその女と面識があった。

 何故ならその女は以前、あの人型爆弾の爆発に巻き込まれて死んだ筈の……。


「貴様、確かユフリーとか言ったな。何故こんな場所に居る!?」

「決まっているじゃない。この後ろにある砲台を造る為にリーダーとしてこの人達に指示を出す様にってディルク様から言われているの。そして砲台を壊しにやって来るであろうあなた達を迎え撃つ役目も、ここでキッチリとさせて貰うわよっ!!」


 そのセリフを言い終わると同時に、ユフリーの持っているハンドガンの銃口から魔力の弾丸が発射される。

 それはエンヴィルークの腹に命中したものの、神である彼の前には無力だった。


「……え!?」

『効かねえな。よっしゃ、お前達は後ろの砲台をぶっ壊せ。俺はこの女をぶっ飛ばして……』

「ちょっと待って。後ろの砲台は私達だけじゃ無理よ!」


 意気揚々とユフリーを倒す気満々のエンヴィルークだったが、その彼を後ろから止めたのがサイカだった。


「この女は私がやるわ」

「俺も加勢するよ」

『おー、そーかいそーかい。だったらお前ら二人に任せるぜ。でもまずはこれを食らえよっ!!』

「んなっ!?」


 サイカとともに、自分の横に歩み出て来たラニサヴを見て納得したエンヴィルークは挨拶代わりに手の中から生み出した特大のファイアーボールをユフリーに向かって投げつける。

 それをギリギリで回避したユフリーだったが、その隙に一斉に砲台を破壊しに向かうレウス達。

 勿論それを見たユフリーとその部下達も黙っている筈が無く、事前に待ち伏せをしていたのが失敗した悔しさもあって一斉に襲い掛かって来た。


「全員ここで皆殺しにするわよっ!!」

「こっちが返り討ちにするまでなのよ!!」

「我が国の中でこんな物騒な物を造るとは、絶対に許せない行為だからな!!」


 他のメンバーが砲台の破壊をしに行っている間に、この二人はハンドガンを手にしたユフリーを相手にして戦いを終わらせようとする。

 特にサイカの方は、このハンドガンとやらを自分達に認識させた人物でありカシュラーゼの手先でもある彼女に対して激しい恨みを抱いていたからだ。

 それもあって、普段の自分とはまた違った戦法で彼女を一気に倒そうと画策したサイカは、銃口を向けるユフリーに対してこう叫んだのだ。


「あっ、危ないっ!!」

「え?」


 自分の背後をサイカに指差されて、思わず振り返ってしまうユフリー。

 それが彼女の罠だと気が付いたのは、自分が背中に大きな衝撃を受けた時だった。


「ぐへえ!?」

「ふん、甘いのよ! 以前の私だと思ったら大間違いだからね!!」


 ユフリーの背中を蹴っ飛ばしたサイカだったが、その蹴られたユフリーは上手く地面を転がって起き上がる。

 そしてまた銃口を向けた筈なのだが、その銃口を持つハンドガンはラニサヴの横薙ぎ払いで吹っ飛ばされてしまった。


「うぞぉ!?」

「嘘じゃないわよっ!!」

「きゃあああっ!!」


 サイカの鋭いミドルキックが一閃し、仲間達の総攻撃によって燃え盛り始めた砲台に向かって彼女の身体が吹っ飛ばされて行った。

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