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800.まずはエレデラムから!!

『へ、へ、へ……流石だぜ。これなら文句無え』

「そ、それじゃあ……」

『ああ、操縦訓練は合格だよ。だったらこれから砲台を全て破壊しに行こうぜ。俺様も万が一の際のバックアップとしてついて行くからよ』


 こうしてゼフィードのテストを兼ねた手合わせも終了し、レウスは色々な条件付きとは言えども「神をも制した男」と認識されたらしい。

 そしてそのゼフィードの飛行能力を使って、まずはエレデラムの砲台があると言われている南の森の中へと向かう事にした一行。

 飛行トレーニングも兼ねて、エンヴィルークの先導で山を越える事にしたのだったがここでもレウスは奇妙な適応能力を発揮する。


『おーい、この先は雲が多いから見通しが利き難いぞ。気をつけろよー』

「分かった」


 しかし、その見通しが利かない中でも画面に見えるエンヴィルークの尻尾を参考にしながら、必死になって後ろをついて行くレウス。

 少しずつではあるが、このゼフィードをコントロールしている彼はその山を一気に横断して森のそばへとやって来た。


『よっしゃ、そろそろここで降りるぜ。ここから先はそのデカブツじゃ無理だからな』

「分かったよ」


 事前にラニサヴからここの砲台の位置を聞いていたレウス達は、一緒に後ろからついて来ていたそのラニサヴを始めとする各国のトップ達にこのゼフィードの管理と監視を任せる。

 実際に飛んでいるのを見たエレデラムとルリスウェンの研究員達は、こんなに長距離を何事も無く飛べるなんて、一体どんな技術でこれが造られているのか改めて調べたいと言う欲求で頭が一杯であった。

 その欲求に支配されている一行を尻目に、レウス達パーティーメンバーはこの場所を知っているラニサヴに先導して貰い、クリスピンも引き連れて砲台のある森の奥地へと向かう。


「この森は地図で見ても分かると思うが、かなり広い。しかもここはあの湖がある森とは違って都から離れているからまだまだ道が造られていないんだ」

「迷ったら終わりだって事か?」

「そうだ。こうして地図を持って来ているが、それこそ空でも飛べない限りはどうしようも無いな」


 その話を聞いていたソランジュが、それだったらこのエンヴィルークに任せれば良いんじゃないのか? と提案する。

 しかし、それに対してもラニサヴが首を横に振った。


「いいや、この森の中を調べた時にはかなりうっそうとしていて、木々も多くて変身出来る様な場所が無いんだ」

「えっ、それじゃあ狭い場所で戦わなければならないって事なのか?」

「そうなるな。まぁ、おかげで大型の魔物もこの森じゃあ生活出来ないから小型の魔物しか出て来ないって言う調査報告が上がっていて、その点だけが救いか」


 だが、その話に違和感を覚えたのがドリスだった。


「ちょっと待ってよ。それだったらこの森の中にあんなに大きな砲台を造るのも無理なんじゃない?」

「って言われてもな。俺だってアンフェレイア様から聞いた話とあのトリスティ陛下から聞いた話しか無いから、同じ気持ちで今こうやって案内しているんだよ」


 この手に持っている地図だって、アンフェレイア様とトリスティ陛下が描いた物だし……と言いながら右手でピラピラと振ってアピールしてみせる。

 本来であれば大型の魔物が入れない様な場所なので、せっかくのゼフィードも役に立たない状態である。

 これじゃあ何の為にこんな場所までやって来たのか意味が分からないじゃないか、と心の中で愚痴を呟くレウスだったが、その前方を進んでいたラニサヴがあるものを発見した。


「あ……」

「どうした?」

「誰かの足跡がある。しかもまだ新しい足跡だ」

「えっ、どれどれ?」


 クリスピンがその足跡の前に出て、しげしげと地面の土に残っているその靴の跡を調べてみる。


「このついている跡の深さからすると、普通に歩いたんじゃ私の様に武装していたとしてもこんなに深くはならないな。しかも見ての通り、この足跡以外にも他数の足跡がある」

「でも、どうしてここからクッキリと残っているんでしょうかね?」

「見落としやすいからだろう。このラニサヴ騎士団長が言っていた通り、この森は深いからな。おまけに木々が生い茂っているし土だって剥き出しの場所が少ないみたいだし」


 だからこうして跡がしっかり残っているのを見つけられて、自分達は幸運だったとクリスピンが呟く。

 だが、今しがた彼に質問してそれを聞いたティーナは違和感を覚えた。


「……にしては、余りにもしっかりと残り過ぎていると思いませんか?」

「そうか?」

「ええ。まるで見つけてくれと言わんばかりに大量の足跡がハッキリと残っている。重い物を運んでいる途中に立ち止まって、こうして見つけてくれって言っているみたいですわ……」

「それは考えすぎじゃない? 姉様」


 変に疑り深いのも進軍の妨げになるわよ、と言い出した妹のドリス。

 しかし、その一方でエンヴィルークが険しい表情で呟いた。


『いや……どうやら間違いでも無いみたいだぜ』

「えっ?」

『感じるんだよ……そこかしこから俺の気配探知にビンビン引っ掛かる連中がな!』


 その言葉と同時。

 何の前触れも無く突然、武装した多数の敵が左右と後ろから現われたのだ!!

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