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797.まずは何処から破壊……の前に?

 グレートファルシオンと、まさかのハンドガン使いであるトリスティ。

 しかしカシュラーゼの手先しか持っているのを見た事が無いそのハンドガンを、何故このトリスティが持っているのか?

 まさかこのトリスティもまた、コルネールとアーシアと同じ様に裏でカシュラーゼと繋がっているのではないか?

 そんな思いがグルグルと頭の中を駆け巡るティーナだが、そんな彼女よりも前にレウスが尋ねてくれた。


「お見事でした、陛下。……それと、一つ聞いてもよろしいでしょうか?」

「何かな?」

「その変わった武器……それは何処で入手された物なのですか?」

「ああ、これ? これは砲台の一つの近くでカシュラーゼの連中に出会った時に、その中の一人が持っていたんで奪い取ったんだ。それもご丁寧に使い方の説明書と一緒にな」

「えっ……」


 カシュラーゼの連中と出会った? そしてその連中から奪い取った?

 そうなって来るといよいよ、この危険なハンドガンと言うものを始めとした次世代の開発兵器が静かに、しかし確実に世の中に出回り始めようとしている。

 テクノロジーが進化すればする程、人々の暮らしが便利になると同時に戦争に関しても変化があるのは分かるのだが、このハンドガンは今までの戦い方の常識を根底から覆してしまう物になりかねないのである。

 そしてハンドガンの存在を知っているのはカシュラーゼの息が掛かっている連中だけなので、その連中がそんなに恐ろしい兵器を出回らせるのは正直に言えば避けたいのが事実だ、とレウスは考えている。


「陛下はハンドガンをまさか、量産させようとかって考えてたりしますか……?」

「いやいや、それは考えていないさ。多分こんな物があるからまた余計な争いが生まれるんだろう。それにハンドガンだけじゃなくて奴等はもっと大きな物を開発しているんだから、それだって破壊しなければならない」


 今回はこの手合わせで使ってしまった物ではあるが、本来であればこんな物が出回っていてはならないのだと改めて実感したトリスティは、目の前でそのハンドガンを地面に叩き付けてブーツで踏みつぶした。

 ……のだが、地面が土だったので大したダメージも受けずにハンドガンはその土の中に少し埋まっただけに過ぎなかった。

 それを見ていたレメクの姿のアンフェレイアが、溜め息を吐いてからそのハンドガンを拾い上げる。


『だったら私がこれを引き取ります。そして手の届かない所で処分する。それで良いですね?』

「あ、ああ……それならそれでよろしく頼むよ。さて……それじゃあ手合わせも終了した事だし、改めてその砲台とやらを全て破壊しに向かおう」


 こうして約束通りにトリスティが同行する事になってしまったのだが、その時あのコルネールとアーシアを拷問場所に連行して行った筈のガレディが再びここにやって来た。


「村長~っ!! みんな~っ!!」

「あれっ? あれってガレディじゃないか。一体どうしたんだ?」


 まさかコルネールとアーシアに逃げられてしまったんじゃないだろうな、と前回拷問に掛けていた連中に逃げられてしまった時の話がレウス達の脳裏を過ぎるが、そんな話では無かった。

 だが、大事な話なのは間違い無いらしい。


「どうした、ガレディ?」

「あ……あのですね、エレデラム公国から連絡がありまして、至急あの金属の塊が引き揚げられた場所に戻って来て欲しいと!!」

「えっ、それって俺達にか?」

「そーだよ、あんた達しか居ねえよ。通信があって凄く急いでたみたいで、それだけ伝えてすぐに切られちまったんだよ。だから急いで行った方が良いんじゃないのか?」

「え、あー……分かった」


 せっかく砲台を破壊しに向かう筈だったのに、その前にやらなければならない事がまた出来てしまったらしい。


「そう言う事だから、俺達はまたちょっと行かなければならない」

「勿論分かっているさ。それじゃ砲台の始末は全て任せるよ。私達としても、君達だけが頼りなのだからね」

「ああ、その事なんだけど……ちょっと準備して欲しい事があるんだ」

「えっ、準備?」


 いきなり何を言い出すんだ? と首を傾げる村長のボルドに対し、レウスは前にこの村で見つけた()()を準備する様に頼んだのだ。


「前にこの村に来た時に見つけた、地下通路の中にある床に埋め込まれた巨大な扉があっただろう?」

「ああ、あの吸引力が凄いものだね?」

「そうだ。カシュラーゼの連中が何処まで研究を進めているのかは分からないが、もしかしたら万が一にもエヴィル・ワンを復活させてしまうかも知れない。あり得ないとは思いたいが、連中のエヴィル・ワンへの執着心には恐ろしいものがあるからな」


 だからこそ、もしそのエヴィル・ワンが復活してしまったらその時にはあの扉を使って、強制的にあそこに吸い込ませなければならないだろう。


「分かった。それじゃあこちらは君達から連絡があり次第何時でもそのエヴィル・ワンを吸い込ませる事が出来る様に準備をしておくよ。それとあの二人のスパイから何か新しい情報が聞き出せた時も、すぐに連絡する」

「よろしく頼む。俺の連絡先は分かるか?」

「知ってるよ。それじゃあ行ってらっしゃい」

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