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781.呼び出し

 とにかく他のメンバーを起こして急いでリーフォセリア王国に向かおうと思ったものの、それじゃあ間に合わないとアンリが魔晶石の向こうから急かす。


『一秒でも早くこちらに来て下さい!! 陛下が本当に危ないんです!!』

「おい……それってドゥドゥカス陛下が何処に行ったか知ってんのか?」

『詳しくは分かりませんが、確か北の方に行かれるのを見たと言う目撃情報があります!!』

「捜索隊は出したのか?」

『勿論です!! ですがこの大雨で捜索が難航していまして……』

「え、大雨?」


 思わず窓の外を見てみるレウス。

 しかし、そこには夜の晴れ渡っている空が見えるだけだ。


「こっちは雨なんて降っていないんだが、リーフォセリアでは大雨なのか?」

『そうなんです! あの、レウスさんは今どちらに?』

「俺か? 俺は今エレデラム公国の都のバルナルドに居るよ」

『で、でしたらそのまま南に向かって下さい!! 普段はワイバーンか何かで移動されているのですか?』

「ああ、一応そうだけど」

『でしたらすぐにお願いします!! 陛下と連絡が取れなくなってからもう一日以上が経過しているんです!!』

「わ……分かったよ!!」


 仲間にも連絡する暇が無い程、そんなに急がなければならない事なのだろうか?

 とりあえず書き置きのメモを残して、レウスは自分のワイバーンを停めてある外へと向かった。

 しかし、そこで思わぬ人物と遭遇する事になる。


『あれっ、アークトゥルスの生まれ変わりじゃねえか?』

「あっ、ペーテルさん……じゃなかった。エンヴィルーク!?」


 ワイバーンの保管場所へと向かう途中の、回廊のある中庭で人間の姿になっているエンヴィルークに遭遇したレウス。

 一体彼がここで何をしているのかが気になったレウスだが、それは彼の方も同じだったらしい。


『こんな時間に何処へ行くんだ?』

「おっ、俺はワイバーンを取りに行って、そのまま南の海を経由してリーフォセリア王国に向かう!!」

『り……リーフォセリア?』

「そうだよ。とにかく急がなきゃならない。ドゥドゥカス陛下が大変らしいんだって連絡が騎士団の人間から入って、仲間に連絡している暇も無い。それで急がなきゃならないんだよ!!」


 すると、エンヴィルークは思いもよらない事を言い出した。


『なら俺様の背中に乗れ。ワイバーンよりずっと速いぞ』

「えっ、良いのか?」

『勿論だ。仲間には後で連絡すれば良いだろーが。ここなら十分に変身出来るしな』


 そう言いながら、エンヴィルークはズボンのポケットの中から一本の小さなビンを取り出した。

 そのフタを開けて中の液体をグイッと飲み干した途端、彼の身体が眩く光り出したのだ。


「うほっ……!?」

『ウググ……ガアアアッ!!』


 光が収まるとともに、その光の中から大きくて赤いドラゴンが姿を見せた。

 レウスは彼の意図を読み取り、槍を片手にそのドラゴンの背中に飛び乗った。

 そのまま中庭から夜空へと飛び立った神のドラゴンは、迷わずに南へと向かってバッサバッサと翼を動かして移動を始める。

 そのスピードは実際に彼も経験した事はあるものの、向かうルートが決まっている上に自分しか乗っていないので以前よりも何だか速く感じるレウス。


「うっは、速いなぁ!!」

『それはそうと、その陛下の危機的状況に関して何かもっと詳しい話は聞いてねえのか?』

「それがさっぱりなんだ。通話をして来たアンリってのはリーフォセリアの騎士団員なんだが、そいつは俺に対してドゥドゥカス陛下が大変らしいって事しか言ってなかったんだよ」

『ええっ、それじゃあ何も分かんねえじゃねえかよ!!』


 何じゃそりゃと思ってしまうエンヴィルークだが、レウス曰く「真剣な声だった」との話である。


「ただのイタズラだったら跡形も無くこの世から消し去ってやるつもりだけど、急に俺の元に通話をして来た上に、物凄く切羽詰まった状況の声だった。あれはふざけてなんかいないって思ったから、こうして行ってみる事にしたんだ」

『それは良いけど、結局何も分かんねえんじゃどうしようも無えよ』

「だからこれからもう一度通話するんだよ!!」


 妙にキレながらも、レウスはドゥドゥカスの居場所をもっと良く知りたいと思い、今度はこちらの方からアンリに対して通話を試みる。

 しかし、こんな時に限って向こうは出てくれないのだ。


「くそっ……あのキザ野郎は出やしねえ!!」

『だったら誰か別の知り合いは居ないのか?』

「別の知り合いは……あ!!」


 そうだ、自分にはもう一人リーフォセリア王国騎士団に知り合いが居るじゃないか。

 その人物を思い出したレウスは、彼が通話に出てくれる事を願って魔晶石を握り締めた。

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