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773.じゃあ俺が行くよ!!

「どうしてそう思うんだよ?」

「だってこれ、四階建ての建物とほぼ同じ大きさだって話だったでしょ。だったらこんなに目立つ様な物を「面倒臭いから」って言う理由だけで放置するとは思えないのよね」


 それに水面に浮かび上がって来た土台についてもアレットが言及する。


「しかもさ、あの土台って明らかにこの金属の塊を置いていた場所としか思えないのよ。大きさと言い形と言い、ピッタリと当てはまりそうだし」

「……だから?」

「だから、あの土台にこの金属の塊を乗せた方が早いんじゃないかって思ってね」


 アレットから出て来たもう一つの提案。

 それを聞いたレウスは、一緒に今の話を聞いていたラグリスにこんな質問をする。


「ラグリス大公、あの土台については調べてみましたか?」

「ああ、調べたよ。あの土台はどうやらこの湖の底にあったらしいね。それからこの金属の塊に全てのゴミを投げ入れたらあれが浮かび上がって来たみたいだけど、それとの関係も分かった。どうやらこの金属の塊にあの土台が反応して、浮遊力がついたみたいだ」

「は、反応ですか?」

「そうらしいね。となると……あの土台ごとここにこの金属の塊を捨てた可能性が高くなって来たな」


 ますます複雑になって来る、この金属の塊にまつわる話。

 そうなるとまだまだこの金属の塊には謎が多いのだろうと考えていた矢先、アーシアの持っている魔晶石が熱を帯びて反応し始めた。


「あら、誰かからの連絡ね……ええと……はい?」


 その連絡に応答してみると、通話をして来たのは何とさっき話していたエンヴィルーク……では無くて、まさかの人物からであった。


「あれっ!? ルリスウェン王国のジーク大公!?」

『よう。今のお前達はエレデラムにまだ居るんだよな?』

「あ、はい……居ますけど……」

『だったらこれから俺とクリスピンでそっちに向かうわ』

「え? え?」

『だからこれから俺とクリスピンでそっちに行くの。面白いもんが見つかったって話をエンヴィルークから聞いたから、わざわざこっちに運ぶよりも俺とこっちの科学研究員達がそっちに向かって、現地で調査した方が早いだろ?』


 その提案をするジークの声は、工学に秀でた国の大公と言うだけあってまるで新しい玩具を与えられた子供の様に興奮していた。

 しかし自分だけでは話を決められないので、とりあえずこのエレデラム公国の大公であるラグリスに通話相手を代わって貰って話を進める。


「はい……ああ、ジーク大公。そちらはどうですか?」

『こっちは特に変わりねえよ。でも、これから色々と忙しくなりそうだなって思ってさ。エンヴィルークから金属の塊について話を聞いた時は、こっちに運ばれるのを楽しみにしたんだけど……そんなにでっけえなら俺達がそっちに向かって、それで色々と調べた方が良いと思ってな』


 そのジークの提案に対し、急な話の筈なのにラグリスは乗り気らしい。


「ああ、それは良い提案ではないですか。化学に秀でた我が国と、工学に秀でたルリスウェンが手を組んで研究と解析を進めれば、きっとこの大きな金属の塊の謎も解けるでしょう」

『だよな、だよなぁ!? だったら俺達がそっちに向かうから、適度に泊まれそうな野営地とかの準備をしておいてくれや!!』


 その会話だけで、結局ルリスウェンにこの金属の塊を運ぶ事はせずに逆にジーク達がこっちに来ると言う話になった。

 何にせよ、この二か国が手を組んでこの大きな金属の塊を調べると言う話になったので、必然的にレウス達もカシュラーゼに乗り込む前に研究と調査の協力をする事になってしまったのだった。


「……何か、話がやたら大きくなって来ていないか?」

「私も貴様と同意見だ、レウス。カシュラーゼの連中が何を企んでいるか分からない以上、適度な所で切り上げて私達はカシュラーゼに向かうべきだと考えているんだが……」


 エルザからそう切り出され、レウスは小さく頷いて返答する。


「それは俺も考えている。しかし、俺もこの金属の塊が気になるのはジーク大公と同じさ」

「私も気になるのよ。魔術師の一人として、これがどう言う原理で動いているのかがね!!」

「はぁ……全く、どうしてこうなったんだか」


 エルザはその二人の反応にやれやれと首を横に振る。

 とりあえず、この調査と研究をしている間にカシュラーゼの連中がおかしな事を仕出かさなければ良いのだが……と懸念してしまう。

 せっかく捕らえたそれぞれの盗賊団を逃がしてしまったり、思わぬ場所からカシュラーゼの襲撃がある事も想定されるこの状況で、余りのんきに構えては居られないからだ。

 そんなこの先の展開を心配するエルザの背中を見ながら、さっきまでエンヴィルーク関係で心配する素振りを見せていたコルネールが目立たない場所まで移動し、かなりの小声でギリギリ相手に聞こえる様に通話用の魔晶石で誰かと通話をしていた。


「……はい、こっちはその金属の塊を発見してこれから調査をします。詳細は調査結果が判明次第また連絡します。……え? あの人ならもう既に捕まってます。……はい、ああ、はい……分かりました。それじゃそっちはその方法で……」

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