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771.二度手間じゃん?

 それを見た瞬間、レウスの中にとある記憶が蘇って来た。


(あれっ、でもちょっと待てよ……この形と位置からすると、これってもしかして!!)


 過去の記憶から何かに気が付いたレウスは、一旦二つのハシゴを使って外に出る。


「どうだったレウス、何か見つかった?」

「ああ、見つかったには見つかったけど……ちょっと持って来て欲しい物があるんだよ」

「何だ?」

「あのほら、前に見つけたって言っていた赤いレバーみたいな金属パーツと……それからこんな形になっている奇妙な金属パーツ。それがハマりそうな場所があったんだよ」

「金属パーツ……ああ、もしかするとあれの事かしら?」


 そこでソランジュとサイカも思い出した。

 まず一つ目が、先端に赤い塗料で色が塗られた丸い物体が付いている、小さくて短い銀色の棒の破片。

 そしてもう一つが、パーツの両端がそれぞれ何処かに刺さっていた様な左右対称の出っ張りがついている……例えて言うのであれば、ハンドバッグの持ち手をそのまま金属製にして固くした様な、楕円形のパーツである。

 もしかしたらあれが、自分が見つけた背中の奥のコントロールルームらしき場所にあるあそこにはまるのではないか、とレウスは考えた。

 なのでまずはそれをラニサヴに持って来て貰い、パーツを見つけた二人と一緒に背中の奥へと再びレウスが向かう。


「うわっ、かなり狭いわねここは」

「そもそもここは、一人で乗り込む為の場所としてしか考えられえていないみたいだな。それで……問題なのはここか?」


 この狭い場所で話をする事自体がまず無理なので、ソランジュとサイカが一人ずつ乗り込んでみてその実態を確認する。

 そして出た結論としては、この金属の塊の中から壊れたパーツが流れ出てソランジュとサイカが発見したのだろう……と言う事だった。

 だが、あいにく自分達の技術ではこの金属の塊を修理出来そうな気がしなかったので、だったら分かる場所に持って行って直して貰った方が良いだろう。

 そう考えたレウスは、とりあえずこの金属の塊をルリスウェン公国に運んで修理して貰おうとラグリスに提案した。

 そこまでは良かったのだが……。


「そなた達の言いたい事は分かったのだが、こんなに大きな物をどうやって運べば良いのだ?」

「ワイバーンでそれぞれ紐に括り付けて運ぶってのはどうだ?」

「それじゃ駄目よソランジュ。これはかなりの重さがありそうだから、途中で切れて落ちちゃう可能性があるわよ」


 しかもその場合、ワイバーンが暴走してバラバラに動いて上手く運べない可能性もある。

 それこそ自らの意思を持たない機械の空を飛ぶ乗り物があれば良いのだろうが、あいにくこの世界ではそんな物は実用されていない。

 だとすれば、やはりそれぞれのワイバーンを暴走させない様にしながら慎重に運ぶしか無いらしい。

 事実、この湖の周りに広がっている森が邪魔をしているので地上のルートではここから動かせない以上、ワイバーンを使って運搬するのが一番の得策だろう。

 そう考えたレウスは、アニータの切れて落ちてしまう可能性と言う反対意見を押し切って、もっと太いロープを用意して貰う事にした。


「いや……アニータ、それしか無いだろう。太いロープでしっかりと固定して、それから落とした場合に備えてなるべく低空飛行を心掛けて都まで運ぶんだよ」

「やっぱりそれか……何か他に良い方法は無いかしらね?」


 まだ何か他の運び方がありそうな気がするんだけど、と思いながら腕を組んで考えるアニータだったが、ここで意外な人物が意外な方法を提案する。


「あっ、じゃあさ……あのエンヴィルークにここまで来て貰うって言うのはどう?」

「エンヴィルーク?」

「あのー、オーレミー城に来たっていうオレンジっぽい赤いドラゴンですよ大公。そのドラゴンと連絡が取れる様になったので、そのドラゴンに頼むのはどうかと思いまして」

「何、そうなのか!?」


 まさか、オーレミー城で盗賊団の連中を追い払ってくれた赤いドラゴンと関係を持つ様になったなんて……とアーシアの提案に驚きを隠せないラグリス。

 しかし、その彼女の提案に難色を示したのはコルネールだった。


「でもよぉ、あのドラゴンって今ルルトゼルに行ってんだろ? あのドラゴンがここまで来てくれるかな?」


 明らかに二度手間じゃん? とコルネールがあのドラゴンの性格を考えてみた。

 面倒臭い事が嫌いな性格かも知れないし、この金属の塊に対して神だからと言ってぶち壊してしまう可能性だってある。

 だが、それをアーシアは冷静な口調で押し切った。


「細かい事は考えないで、とにかく魔晶石で話をしてみましょう。何時もの貴方らしくないわよコルネール」

「お、おう……」


 確かにこの展開になると、普通はコルネールがイケイケでアーシアが難色を示す筈である。

 それが今こうして逆の立場で会話をしているのは、何だか不自然だな……と不信感を隠せないレウスとそのパーティーメンバー達。

 それでも確かにアーシアの言う通りだと考えたレウスは、今のエンヴィルークが何処に居るか分からないので、とりあえず村長のボルドに魔晶石で連絡を入れてみた。

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