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759.関係無かったの?

 魔術防壁を掛け、用心しながら地下一階の各部屋を進んで行く一行。

 ここの地下にも墓石が建てられているが、上の階と違うのはかつてレウス達が酷い目に遭ったカナカナの中でもより町長に近い人物達の名前と役職が刻まれている事だった。


「あー、蹴り倒してやりてえ。すっげえ足がムズムズすんだよな。この墓石の数々を見てるとよぉ!!」

「ちょっとレウス、今はそれ所じゃないでしょ。私達はあのドラゴンの正体を探りに来たんだから」

「へいへい……」


 ドリスにたしなめられ、レウスは怒りを堪えて最深部にある気配を感じた部屋まで辿り着いた。

 その部屋の前で気配を探ってみると、確かに部屋の中には誰かが居る様だ。

 だがそれと同時に、部屋の中からは忙しない足音とドスンドスンと言う明らかな巨大生物の足音が聞こえて来る。かなり怪しい。


「何か、様子が変じゃないか?」

「だな。とりあえず中の様子を覗いてみるか」


 部屋の出入り口になっている大きな両開きの扉を少し開け、中の様子を覗いてみるレウス。

 しかし次の瞬間、彼はとんでもない光景を目の当たりにしてしまう。


「……!!」

「ど、どうしたんだ?」

「あ、あの……あいつが、ウルリーカの奴がドラゴンと戦ってるぞ!!」

「は?」


 レウスの報告に言葉を失うメンバー達だが、それでも先に進まないと話も進まないので一行はドアを開けて中へと入ってみる。

 するとそこには確かにレウスの言う通りで、やはりあの武器の取り引き現場から逃げ出していたウルリーカがドラゴンと戦っているのだ。

 だが、そのウルリーカの戦い方が変なのである。

 彼女の武器はシャムシールの筈なのだが、今の彼女は両手で構えるタイプの長い金属製の筒を構えてドラゴンに向かって発砲している。

 あれも恐らくハンドガンとやらの仲間なのだろうかと考えているレウス達だが、その金属の長い筒による攻撃がドラゴンに効いているとは到底思えなかった。


「このっ、この……このおおおっ!!」

「おいお前、何をしているっ!?」

「なっ……はっ、あんた何でこんな所に!?」

「質問しているのはこっちが先だ!!」

「あいにくだが、今の私にはあんたの質問に答えている余裕は無いんだよっ!!」


 青みがかっている黒いドラゴンを相手にしているウルリーカは、確かにそんな余裕は無さそうである。

 しかしここでレウスの後ろに控えていたアニータが、ポツリと気になる一言を呟いたのだ。


「ねえ……今の彼女が戦っているあのドラゴンって、カシュラーゼの生み出した生物兵器じゃないの?」

「多分そうだとは思う」

「ならどうして、今の彼女はカシュラーゼの手先の筈なのにあのドラゴンと戦っているの? 関係性が不思議じゃないかしら?」

「んん……そう言われてみるとそうだな」


 彼女とドラゴンがそれぞれカシュラーゼの手先として行動しているのであれば、本来はお互いに仲間の筈なのでこうしていがみ合う事も無い筈だ。

 なのにウルリーカは今、明らかにドラゴンに対して発砲を繰り返しているので敵と見て良いだろう。

 そこまでレウスが考えた時、戦況に変化が起こる。


「ぐほあっ!!」

「くっ、ウルリーカ!?」


 敵を助けるのには抵抗があるが、彼女にはあそこから逃げた理由や武器の密輸ルートの話を聞き出さなければならないので、ここでドラゴンにやられてしまうのは貴重な情報源を失う事になってしまう。

 なのでここは一旦ウルリーカを助ける事に決め、レウス達はドラゴンを討伐する事にしたのだが、先程からずっと見ている限りドラゴンに対して銃撃がまるで効いていないのだ。


「おいみんな、俺があのドラゴンに対して攻撃を反射する魔術を詠唱するから、それまで何とかあいつの気を引いてくれっ!!」

「うん!」

「ああ、分かった!!」


 ウルリーカの救出をするメンバー達と、ドラゴンの気を引くメンバー達にすっと分かれられるのも、今までの旅路で色々な敵と戦って来たチームワークが発揮されている証拠である。

 しかし問題なのはここからであった。

 先程の銃撃が効いていないのと同じ様に、レウスが魔術の準備をしている間に他のメンバーが物理攻撃を当ててみるのだが、さっぱり効果が無い。

 サイカとドリスの攻撃が駄目だと分かった以上、自分の魔術で何とかなるかも知れないと考えたアレットが攻撃魔術を繰り出す……が!!


「……んえっ!?」


 思わずそんな声が出てしまった程、驚くべき事態。

 アニータの弓が身体をすり抜け、物理攻撃も同じくすり抜け、そしてアレットの魔術による攻撃もすり抜けてしまった。

 これじゃあこのドラゴンに対しての攻撃手段が見つからない。

 この神殿の全てを見回って来てみたものの、あるのは墓石位の物でこのドラゴンに関する情報は何も無かったのだ。


(ジークのセリフからすると、このドラゴンが現われる様になったのはそう遠い昔の事じゃ無さそうだな。だったらやはりこのカナカナの神殿とこのドラゴンは関係無かったのか!!)


 やはりカシュラーゼの生物兵器であるドラゴンを相手にしているのだと確信したレウスは、全ての攻撃を吸収して無力化する上に、使用者を囲っているその闇のオーラに向かって繰り出された攻撃の二倍のダメージを、その攻撃を繰り出した相手に跳ね返す「ナイト・プロヴィデンス」の準備を整えてドラゴンの前に躍り出た。

 しかし次の瞬間、更に驚くべき事態がレウス達の目の前で巻き起こる!!

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