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757.ドラゴンの秘密を探れ!!

 当たった筈の矢がその胴体をすり抜けて、遥か彼方まで飛んで行ってしまった。

 その光景を見ていたアレットとエルザは、かつてサィードのヴァーンイレス王国の地下通路を我が物顔で闊歩していたあのドラゴンを同時に思い出した。


「ま、まさかあのヴァーンイレスの地下で私達を追い掛けて来た、あのドラゴンの仲間!?」

「その可能性は大いにあるな。だけど……あれを見る限りはどうやら違うらしいぞ」

「え……ええええええええええええっ!?」


 アニータの矢がすり抜けて行ってしまった事よりも、更に驚くべき事が一行の目の前で起こる。

 レウスはそれを五百年前の冒険の経験から何処か冷めた目付きで見ているが、アレットは冒険の経験が今回しか無いのでかなり驚いている。

 それもその筈で、矢がすり抜けて行ったドラゴンの身体がまるで砂の様にサラサラと左から右に向かって徐々に消えて行くのだから。

 レウスを始めとするパーティー一行は、そのドラゴンの様子に誰も何も言えないままその場に立ち尽くして呆然とするしか無かったのである。

 そしてようやくドラゴンの姿が全て消えた時、ハッとして我に返ったのが一番速かったのがアーシアだった。


「な、何だったの……あれは?」

「俺に聞かれても困るが……少なくともあれは普通のドラゴンじゃないな。大公のジークが言っていた通り、まるで蜃気楼の様にぼやけているドラゴン。しかも今の俺達がハッキリと見た、サラサラと消える身体……」


 これは恐らく、あのカシュラーゼが生み出したのであろう残りの二体のドラゴンの内の一体だろうと言う結論を出すレウス。

 しかし、まだ他にも何処からかドラゴンの鳴き声が聞こえて来るのはもう一匹が居ると言う証拠なのだろうか?


「とりあえずまだ鳴き声が聞こえて来るんだけど、そっちの方に行ってみたらどうかしら?」

「そ……そうね。さっきのドラゴンの事は凄い気になるけど、それよりも他にドラゴンが居るんだったらそっちも見てみましょうよ」


 ドリスとティ-ナのこの一言で、その他の鳴き声が聞こえる場所に足を進めるレウス達。

 するとそこにも、まさかの同じドラゴンが居たのだから驚きを隠せない。


「くっ、こっちにも居たぞ!!」

「まさかこのドラゴンも、矢が通用しないんじゃ……?」


 再び現われたそのドラゴンに対して真っ先に身構えるソランジュと、怪訝そうな表情でドラゴンに対して弓を発射するアニータ。

 その結果は予想通りであり、確かに放った矢がドラゴンの身体をすり抜けて行ってしまった。

 それと同時にドラゴンがまたもや、砂漠の砂嵐の如くスーッと細かい砂の状態になって姿を消して行くのだ!!


「さっきのあれと言い、今回のと言い一体何なんだ、あのドラゴンは……?」

「まさかあのドラゴンって、カシュラーゼに何の関係も無いんじゃないの?」

「え?」


 突然予想外の事を言い出したサイカに対し、横で悔しそうに呟いたコルネールを始めとして他のメンバー達の視線が一気に彼女に向けられる。


「カシュラーゼと関係無い?」

「まあ、予想でしか無いんだけどさ。ここってカナカナの神殿じゃん。で、そのカナカナの神殿が建てられる前には歴史書でも触れられている通り、この地で魔物の大行進と町の麻薬騒動があったじゃん?」

「ああ、俺が話したあの話な。それとさっきのドラゴンが関係あるってのか?」


 レウスの疑問にサイカが頷く。


「うん。だって世の中じゃあ良く言われて居るのよ。亡くなった生物の怨念がこの世に残って、そして亡霊として蘇るって。あなた達も魔物としてスケルトンだったりって言う、ゴーストタイプの魔物の話を知らない訳じゃないでしょ?」

「まあ、そりゃあ確かにあるけどさ……でもあのドラゴンって幽霊なのかよ?」

「それが分からないから調査してみるべきよ。この神殿の中をね!!」


 そう言いながら神殿の入り口を指差すサイカに対して、特に異論は無いレウス達。

 ここの存在は知っていても、その立地条件から観光客は来ないわ手入れにもなかなか骨が折れるわで、大公のジークの話を聞く限りではこの神殿に秘密があっても不思議では無さそうである。

 なのでワイバーンを使ってここまで飛んで来た一行は、そのワイバーンが暑さで弱らない内にこの神殿の調査を済ませてしまう事にしたのだが、そこで思い掛けない事態に陥ってしまう!!

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