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72.貴重な情報

 それがもし事実だとしたら貴重な情報だ。

 エルザが集めた情報の内容……赤毛の男女とセバクターが一緒に目撃されたと言う話と一致するし、このベルフォルテの町で何をしようとしていたのかも大体見当がつく。

 今までの無茶苦茶な話からまだレウスはこのソランジュの事を信用しきれないのだが、赤毛の男女となればもっと詳しく踏み込んで話を聞かなければならない、と気を取り直して根掘り葉掘り聞き始める。


「ど、どうしたんだそんなに血相変えて……」

「あ、いや……ええとだな、その赤毛の男女ってのがちょっと気になったもんだから、良ければその男女についてもっと詳しく教えて貰えないか? と言っても覚えている範囲で構わないから」

「それは結構覚えているぞ。なんせ私はその二人と勝負したからな」

「本当か~?」

「本当だ。ちゃんと話すから聞いてくれ」

「分かった、聞くだけ聞いてやる」

「……何か腹立つな、お主」


 色々事情はあるのだが、今までの言動を考えると信用されていないのもそれはそうか……と思い直しつつ、ソランジュはその赤毛の男女の容姿や武器、戦い方の記憶を思い出しながら伝え始める。


「あの二人はそれぞれ上手い具合に、お互いの死角をカバーしながら戦っていた。男の方がロングソードを使っていて、女の方がショートソードを使って、男が自分の方に私の意識を向けている間に女の方が死角に回り込み、まるで辻斬りの様にいきなり現れるんだ」

「そりゃそうだろうな。その女は辻斬りだろうからな」

「ん? お主はその赤毛の二人組を知っているのか?」

「ああ。ちょっと心当たりがあるからな。たぶん俺の知っている奴等と同じだろう。それは最後に照らし合わせるからまずは続けてくれ」


 反射的に口走ってしまったレウスに対してソランジュが反応するが、レウスは先を促してまずは話を最後まで聞く事にする。


「あ、ああ……なら続けるぞ。その男女だが、男の方が短髪の赤毛に水色の瞳だった。赤毛と言ってもほぼ茶色か……いや、オレンジに近い赤毛だった。それから女の方は赤毛に緑の瞳で、生足を出していたから敵ながら心配してしまったよ。寒くないのかな、とか戦場であれで戦えているのかな、とか。あ……赤毛はショートカットでピンクに近い色をしていたぞ。恰好は二人とも黒を基調にした防具で武装していて、盗賊って言うよりも傭兵の様な装備だったよ」

「そうか。だったらそいつ等は俺と戦った事のある奴等で間違いないだろうな。確か名前はヴェラルと、それからヨハンナだった気がするが」

「戦った事があるのか?」

「そうなんだ。実はな……」


 自分がアークトゥルスだと言う事と、学院の中で戦ったと言うのは伏せて、レウスは自分が以前にその二人組と戦った経験を話した。

 それから名前や二人の素性等を騎士団のアンリから聞いたのも上手くぼかしつつ、全て話し終えたレウスに対してソランジュは真剣な表情で頷いた。


「……大体の話は分かった。お主と戦った赤毛の二人と、私が戦ったその二人は同一人物だろうな。で……男の方は世界各地で戦っている傭兵で女の方が辻斬りだったのか。だったらあの戦い方にも納得が行く。私もそれなりに戦えると自負していたが、あの二人は余裕たっぷりの顔つきだった。私はどんどん追い詰められて、そして負けた……」


 悔しそうに歯噛みするソランジュの戦い方について興味はあるものの、今はそれよりも赤毛の二人についてもっと聞き出したいレウスは、そちらの話をしてくれる様に促す。


「そうか、それは残念だったな。しかし気になるのは、その二人が屋敷に入り込んで何をしようとしていたのかが気になるな」

「それは恐らく……私の主人だったあの男が、ドラゴンの欠片の在り処を知っているからそれを聞き出すべく侵入したんじゃないか?」

「えっ?」


 何と、ここに来ていきなりドラゴンの身体の欠片の話が出て来るなんて思ってもみなかったレウスは目を丸くする。

 ソランジュの仕えていた屋敷の主人と、ドラゴンの身体の欠片と何の関係があるのだろうか?

 もしかしたらこの先の旅路を決める貴重な情報になるんじゃないかと、更に続きを促してソランジュの話の続きを聞くレウス。


「ドラゴンの身体の欠片ってどういう話だ?」

「ええと……私の主人だった男は美術商人で色々な美術品の取り引きを国内、国外問わずにしているんだが、その美術品の取り引きの経緯でドラゴンの身体の欠片の話を聞いて、独自に調査を進めていたらしい。取り引きのツテで情報源は沢山あるからな。それは危うくあの男と肉体関係になりそうになった時に聞いたんだ」

「じゃあ、その赤毛の二人はそれを知っていて屋敷に侵入したって事なのか?」

「恐らくはな。主人の部屋が盛大に荒らされていたのもその証拠だろう。しかし……今は主人が帝都のランダリルに長期出張に出かけているから命までは狙われなくて済んだんだ。主人とそれなりの関係になるに従って、特別だって言われて彼の部屋で色々と調査結果の書類を見せられた事があるから私は分かるんだ」

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