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738.乗り込んで来た武装集団

 そして最後に、その乗り込んで来た武装集団の中に特徴的な人物が居なかったかを聞いてみるレウス。

 もし今までの旅の中で出会って来た人物達が居たら、それは十中八九カシュラーゼの手先だと思えるからだ。

 だからこそ誰か居なかったかを聞いてみると、ちょっと意外な人物が浮かび上がって来た。


「特徴的な人物か……そう言えば乗り込んで来た武装集団を率いていたのは、女だったな」

「女?」

「ああ。黒い髪の毛をこうやって後ろで一本に束ねている、シャムシール使いの女だったよ」


 それを聞き、レウスよりも先にその女の正体に気が付いたのはエルザだった。


「その女ってもしかして、足に特徴的な防具を着けていませんでしたか?」

「ああ、何だか包帯みたいな防具を着けていたよ」

「……そうですか。だったらその武装集団のリーダーの正体とかが大体分かりましたよ」

「おいおい、本当かよ!?」


 エルザの発言に耳を疑うコルネール。

 大公のラグリスからもたらされた情報は決して多くは無いのだが、それだけの情報で分かってしまうレベルの話がこの二人の間にはあったらしい。

 そんな驚いている彼はさておき、エルザとラグリスの話は続く。


「そなたはそのリーダーの正体を知っているのか?」

「ええ。今の証言に間違いが無ければ、それは恐らく私達がシルヴェン王国で出会ったシンベリ盗賊団の女リーダーのウルリーカでしょう」

「シルヴェン王国……そなた達がドラゴンを倒した国であり、例の砲撃を受けたと言っていたあのアイクアル王国の中にある小さい国の話だな?」

「はい。そこで私達はそのシンベリ盗賊団に出会いました」


 そこで因縁が生まれたんです……とエルザが説明してみるのだが、そこでその話をラグリスと一緒に聞いていた騎士団長のラニサヴから疑問の声が上がる。


「ちょっと待ってくれ。その盗賊団はシルヴェン王国で出会ったんだろう?」

「ああ、そうだが」

「だったらどうして、シルヴェン王国で出会った盗賊団がわざわざこっちまで来たんだ? それもエレインの情報を狙いに来たらしいんだろう?」

「さぁな。私達はその盗賊団のメンバーじゃないから考えている事は分からないが、ある程度の予想は出来る」

「そうか。だったら話してみてくれ。そなたの予想とやらを」


 大公のラグリス直々に予想を尋ねられたエルザは、現時点で考えられるのは二つだと言い出した。


「まず一つ目ですが、これはあのシルヴェン王国で私達があのシンベリ盗賊団の邪魔をしたからでしょう。一度邪魔が入った上に、顔まで見られて名前まで知られてしまった。まぁ、これは向こうが勝手に自分の名前を名乗ったからでもありますが。それでテリトリーを一回変えて、他国に活動範囲を広げようと思ってこちらに進出して来たのではと思われます」

「そうかそうか。して、もう一つ考えられるのは?」


 もう一つの考えを尋ねられ、エルザはその表情を一瞬曇らせたがすぐに気を取り直して内容を述べ始めた。

 かなり失礼な内容だとは思いながらも。


「これは……個人的にはこっちの方が可能性が高いと思っているのですが、恐らくこの城の中にエレインの情報があるのを分かっていて、それでここに来た可能性があります」

「事前に何処かから情報を手に入れていたと言う話か?」

「その可能性は高いでしょう。そうでなかったとしたら、この城の中をピンポイントで狙う必要は無いと思います。城を狙うのは一国を敵に回すのと同じ事ですからリスクも高いですし」

「ふうむ……すると、そのウルリーカらしき黒髪の女達が率いている盗賊団はこの城の中にあるエレインの情報を狙って……か」

「はい。そしてそのエレインの情報を手に入れて得をするのは……カシュラーゼ。今回、レウスに罪を被せる為に麻薬畑を造っていたレウスの両親や、それを手伝っていたエドガー学院長とダウランド盗賊団達の事を考えると、決してあり得ない話とは言い切れません」


 勿論、これは全て推測にしか過ぎない話。

 しかし今までの事を考えると、カシュラーゼが盗賊団を自分の手先として雇い入れているのは事実らしい。ブローディ盗賊団だってダウランド盗賊団だってそうだった様に、今回のシンベリ盗賊団らしき連中だってカシュラーゼに雇われた可能性はかなり高い。

 だがそれよりも、エルザがもっと気になるのは突然何処かから現われて、その侵入者である武装集団を追い払ってくれたドラゴンの存在だった。


「ですが……あの、先程大公がおっしゃられていたドラゴンの話が良く分からないんです」

「ああ、例のオレンジの様な茶色い様なドラゴンか?」

「はい。少なくともそのドラゴンが居なかったら、もしかしたらエレインの情報を連中に奪われていたと言う認識でよろしいのでしょうか?」

「悔しいがそうなってしまうな。私達も強運の国だと言うのに何処かで何時の間にか甘えていたのかも知れないが、もしかしたらそのドラゴンも強運が呼び寄せてくれた戦力だったのかも知れん」


 武装集団を追い払ってくれたその謎のドラゴンの事についても気になるのだが、それよりも今はさっさとエレインの情報を見せて貰いたい。

 また、その情報を奪いに来る輩が来ないとも限らないからだ……。

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