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737.これは盲点ですね

 何とかメイベルとその部下達を倒したレウス達は、彼女達を拘束してこのエレデラム公国での話も一件落着……とまではまだ行かない。

 何故なら、こうして冤罪が晴れた事によってやっとの思いでエレインの話が大公のラグリスからもたらされる条件をクリアしたからだ。


「裏切られたのはショックだけど、こうやって冤罪も晴れた事だし早くオーレミー城に戻ろう!!」

「ああ、そうだな」


 と言う訳で、ここの後始末をこの周辺の警備を担当している騎士団員達に任せた一行は、早速大公のラグリスにこの事を報告するべく騎士団長のラニサヴやコルネールとアーシアと一緒に、都のバルナルドにあるオーレミー城へと帰還した。

 しかし、ここでもまた幸運があったのをレウス達が知る事になった。


「……分かった。そなた達の無実を信じよう。疑って悪かった」

「はい。……あの、それよりも気になる事があるんですけど」


 ラニサヴを通じて大公のラグリスにやっとの事で無実を証明する事が出来たレウス達は、これでようやく国外に出る許可が与えられたのと、エレインの情報を与えられる事になった。

 しかし、この城の中の状況は一体何なんだと疑わざるを得ないレウス達。そもそもここに帰還した時、どうして城の中がまるで台風が通過した後の様にメチャクチャに荒らされているのだろうか?

 それについての理由をまず聞かない事には、レウス達はエレインの情報を見せて貰う気にはなれそうに無かった。


「ここに俺達が戻って来た時の状況なんですけど、一体何があったんですか?」

「あー……それか? 実はここに襲撃があったんだ」

「はい?」


 いきなり物騒な話を言い出したラグリスに対し、レウス達は目が点になる。

 ここに襲撃があった? 一体誰が? 何の為に?

 そこをもう少し突っ込んでいかない事には、納得出来ないままこのエレデラム公国での話が終わってしまう。

 誰が何の目的で襲撃を仕掛けたのかを問うレウス達に対して、大公のラグリスは更に衝撃的な襲撃の内容を告白し始める。


「そなた達がその麻薬畑の方に向かった後、このオーレミー城に入り込んで来た武装集団が居たんだ。余りにも突然の事で私はびっくりしたのだが、残存勢力で何とか対抗したんだ」

「武装集団……ですか?」

「ああ。しかし、何処かの騎士団みたいな動きをする様な集団では無かった。戦闘訓練を受けていたみたいだが、何処と無く泥臭いと言うか粗削りと言うか……あの動きは独特だったな」

「良く分かんないですね、その集団」


 その時に乗り込んで来た武装集団の話を始めるラグリスだが、レウス達が聞きたいのはそこでは無くてもっと別の話である。

 なので、レウスに代わってアレットがそれについて聞いてみる。


「あのー、それでその集団の狙いって何だったんですか?」

「え?」

「だってこの城に乗り込んで来たって事は、この城に乗り込むだけの目的があったって事ですよね? だったらそれも分かったんじゃないですか?」

「ああ、それもそうだな。どうやらその集団の狙いはそなた達に授けようとしていた、エレインの情報だったらしい」

「えっ!?」

「エレインの情報……?」


 レウスとアレットを始めとして、パーティーメンバーの全員もコルネールとアーシアも、そして騎士団長のラニサヴも驚く。

 まさか、レウス達が必要としていた物をピンポイントで狙っていたなんて……と考えるだけでも非常に衝撃的だった。

 その衝撃を受けているレウス達に対して、事の顛末を大公のラグリスは説明し始める。


「襲撃を受けたこの城の中にある、エレインの情報。それを狙っていると知ったのは、この城だけを狙って来たからだって分かったからだ」

「え?」

「その武装集団の何人かを捕まえて尋問させて吐かせた事で分かったんだが、そなた達が必要としているエレインの情報をやっぱり狙っていたらしい。善意の第三者による連絡でこの城の中にエレインの情報があるって分かったらしいんだが、それが誰なのかまでは分からなかった」

「善意の第三者って……悪意しか無いだろ」

「それもそうだな。しかし、結果的に私はこのエレインの情報を守り抜いた。私達の城に突然ドラゴンがやって来たおかげでな」

「え? え? え?」

「ど……ドラゴンですか?」


 突然、何の脈絡も無しに「ドラゴン」と言う単語が出て来て混乱するレウス達。

 それについてもしっかりとラグリスから説明が入る。


「ああ、えーと……私にも良く分からないのだが、オレンジ色の様な……茶色の様な何とも表現しがたい色のドラゴンが突然襲来してな。当初はそのドラゴンも武装集団の仲間かと思ったのだが、どうやら違ったらしい」

「どうして分かったんです?」

「だって、そのドラゴンは武装集団だけを蹴散らしてこっちの味方になってくれたんだ。そしてそのドラゴンに驚いている我々を尻目に、鳴き声をあげてから何処かへと飛び去ってしまったよ」

「あ、そう……ですか……」


 話が色々とぶっ飛び過ぎていて、もはやレウス達では理解が追い付きそうに無い。

 しかし、エレインの情報をその武装集団とやらに持って行かれなくて済んだと言う結末を知る事が出来ただけでも、胸を撫で下ろして安心出来る話だった。

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