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729.対決! ドラゴン編隊

「ま、麻薬ぅ!?」

「ちょっと、まさかそれってレウス達が疑われているって話の……!?」

「正確には、麻薬の原料になる葉が大量に栽培されているみたいだ。以前そうした麻薬の摘発に当たった団員が、ここに来ている奴等の中に何人か居るみたいでな」


 麻薬云々の犯人に仕立て上げられているレウスにとっては、悪い事が目の前で起こっているのに自分にとっては良い事だと思っている。

 もしかしたら、これで自分の疑いが晴れるのでは無いのかと思っているからだ。

 とにかくここで麻薬が栽培されている事が分かったので、レウス達はラニサヴ達と一緒にこの栽培されている麻薬を全て回収する事にした。

 しかし、そこに恐ろしい邪魔者が現われるのはこの後すぐの話だった。


「……ん?」

「えっ、この音は一体……」


 何処からか、バッサバッサと複数の翼が羽ばたく音が聞こえて来る。

 それを最初に耳にしたアレットとドリスが、音の聞こえる方向に顔を向けてみると、そこにはコルネールとアーシアが証言していた通りの……。


「あっ、あのドラゴンは……!?」

「ちょっと、もしかしてあれって私とコルネールがすれ違ったドラゴンじゃないかしら!?」


 この平原に来る切っ掛けになった、編隊飛行をしている複数のドラゴン。

 それはコルネールとアーシアが言っていた通り、大きなドラゴンが一匹に小さなドラゴンが複数の構成になっており、小さい方のドラゴンは数えてみると全部で四匹である。

 親子の亡骸を使って生み出されたものなのかと思いつつも、そのドラゴンがこの麻薬畑の調査と開発を邪魔するのなら絶対にそうはさせない。

 レウスが仲間達に出来る限りの魔術防壁を掛けて、戦闘態勢を取るその気迫がドラゴン達にも通じたのだろうか、レウス達の囲んでいる麻薬畑に向かって大きいドラゴンがまず一直線に突っ込んで来た。


「良し、全員回避して攻撃だっ!!」


 レウスの指示で一斉に全員が散開し、突っ込んで来たドラゴン達に向かって攻撃を開始する。

 しかし、かつてイーディクト帝国で戦ったボスドラゴンとその配下の四属性のドラゴンでこうした複数のドラゴンへの対処には慣れている筈だったレウス達だったが、どうやらそうも行かないらしいと言うのが戦い始めて分かったのだ。


「す、素早い……!!」

「ちょっと待ってよ、明らかに今まで戦って来たドラゴンよりも素早いじゃないのよ!?」


 大きなドラゴンも小さなドラゴンも、それぞれ関係無しにかなり素早いのだ。

 弓を使っても矢をヒラリと回避し、魔術で攻撃しようとしても上手い具合に避けられてしまう。

 それで居て疲れる様子が全然見えないこのドラゴン達を相手にして、なかなか攻撃が当たらずにイライラし始めたレウス達。


「くそっ、どうしてあんなに動きが速いんだよ!?」

「落ち着けコルネール!!」


 イライラから地面を足で蹴りつけるコルネールを、そばで戦っているソランジュが落ち着かせる。

 そしてその様子を見ていたアニータが、弓の狙いを定めながらコルネールとアーシアの会話を思い出していた。


(そう言えばこのドラゴン達って、普通の息の荒さじゃなかったって話をしていたわね。もしかするとこの異常なパフォーマンスの高さは、その息の荒さと何かしらの関係があるんじゃ……?)


 あのカシュラーゼが開発したドラゴンなだけあって、普通のドラゴンを相手にするのと同じ様に考えてはいけない。

 そもそも空中をメインに戦っているドラゴンと、地上をメインに戦う人間や獣人達では、空に逃げられてしまえば完全にドラゴンのペースに乗せられてしまう。

 勿論レウス達だってせっかくワイバーンに乗ってここまでやって来たので、ヒルトン姉妹を中心にして空中戦が得意な騎士団員達で応戦している訳だが、そのワイバーン部隊をもってしても明らかに勝負にならないのだ。


(くそっ、このままじゃあ俺達全員が先に力尽きて殺されてしまう!!)


 相手は全く力尽きる様子が無いので、これは間違い無く何か秘密がある筈だ。

 そう考えてその秘密を探ろうと考えていたレウスだったが、その時ドラゴンの小さい方の一匹が地面に着陸して妙な事を始めたのに気が付いた。


(あ、あれ……もしかして麻薬を食ってる?)


 その瞬間、コルネールとアーシアが言っていた話と頭の中で線が繋がった。

 何故なら、その麻薬の原料である葉を食べた事によって小さいドラゴンの活力がアップしているのが見て分かったからだ。

 正確に言えば麻薬そのものでは無いにせよ、あのドラゴンが原料となる葉を食べて活力を増しているのは事実なので、こうなったらまずこの麻薬畑を焼き払ってしまえば良いと判断するレウス。


(こんな物があるから、このドラゴン達が元気をつけてしまうんだ!!)


 そして、それと同時にこの暴れ回る元気一杯のドラゴン達をどう仕留めるかも一瞬で閃いたレウスは、すぐにそれをパーティーメンバー達に伝えて行動に移す。


「ええっ、これを全部燃やすの!?」

「そうだ。今話した通り、これがあるからあいつ等が元気なんだ!!」

「魔術が使える部下は全て燃やす方に回す!!」


 魔術師であるアレットを中心にメンバーに話を伝え、ラニサヴの部下達にも手伝って貰って畑を燃やすチームとドラゴン迎撃のチームに分ける。

 そして、レウスはレウスでアークトゥルス時代の魔術を久々に発動し始める。


(素早い動きで攻撃が当たらないなら、攻撃が確実に当たる方法で攻撃すれば良いんだ!!)

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