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588.盗賊団討伐に出発

登場人物紹介にオルエッタ・アルマ・ヒバネルを追加。

https://ncode.syosetu.com/n0050fz/2/

「さて、それじゃあチーム分けは俺達がこのロンダールで情報収集した時のチームで良いな?」

「……その前に、そのほっぺの腫れはどうしたのよ?」

「こ、これは……事故だよ、事故!!」


 一部分だけ丸く腫れ上がったレウスのほっぺ。

 と言っても一部分がまるで出来物が出来たかの様になっているのだが、これは決してレウスの体質でも虫に食われたからでも無い。

 その原因を作ったのは、昨日の夜に自分と一緒に寝ていたヒルトン姉妹の妹の方であるドリスが、変な寝言を呟きながらレウスの右のほっぺに吸い付いて来たからだった。


「うーん、このアイスおいしぃ~」

(あ、アイス!?)


 どうやらアイスを食べる夢を見ている様なのだが、あいにくレウスの肌はアイスでは無いので何とかドリスを引き剥がそうと身体をよじる。

 しかしその一方で、レウスの耳元でうなされながらささやくティーナの姿もあった。


「うう……そんなにされたら私……いけませんわ……」

(なんちゅー夢を見ているんだ、この金髪女は!?)


 こっちは一体何の夢を見ているのか想像もつかず、このままだと色々な意味で大変な事になりそうなので、レウスは姉妹の身体を無理やりに引き剥がした。


(全く、見知らぬ土地でこうやって一緒に寝るこっちの身にもなれって言うんだ!!)


 とりあえずティーナの身体を持ち上げ、ドリスと同じ様に一人ずつ寝る事が出来る様に隣のベッドへ移動させ、自分は更に隣の端のベッドへ移動したレウスは、ようやく広いダブルベッドでぐっすりと眠る事が出来る。

 そうして一夜を明かした彼だったが、なかなか眠れなかった為に睡眠時間が不足している事と、結局腫れが引かなかったほっぺのせいで他の女達からあらぬ疑いがまた掛かる事となる。


「昨晩は凄いお楽しみだったみたいねえ……」

「い、いや違うって!! これはドリスに吸い付かれたせいなんだよ!! ほらドリスも何か言ってくれって!!」

「あら~、昨日は私、とっても良い夢を見ていたから余り良く覚えていないのよね。でも凄く甘かったわよ」

「何を言っているんだお前は! ティーナからもちゃんと説明してくれ!」

「私もあいにく夢の中でしたから分からないんです。ですがかなり激しく責められていたのを覚えていますわ」


 その言葉に反応したソランジュが、愛用のロングソードの柄に手を掛ける。


「攻められていた……だと?」

「ええ。それでレウスがこんな寝不足になってしまったみたいで……私のせいですわ」

「姉様のせいだけじゃないわよ。昨日は抱き合っていた私とレウスも悪いのよ!」

「抱き合っていた? そうか……やはり貴様は二人同時に手を出したんだな!?」


 今にもバトルアックスで斬り掛かって来そうなエルザに対して冷や汗を流しながら、レウスはブンブンと首を激しく横に振る。


「違う違う違う! 手を出されたのは俺の方なんだ!!」

「どう言う意味よ?」

「だから二人に同時に抱き着かれて、ドリスにはほっぺを吸われて、ティーナは俺の耳元でそんなにしちゃいけませんとか呟いて……それだけなんだよ!」

「そのセリフが何よりの証拠だわ!! やっぱり貴方は変態よ!!」

「どうしてそうなるんだ!!」


 一向に誤解が解けそうに無い昨夜の晩の話。

 それを一言で制したのは、昨日と同じく自分以外のやり取りを傍観していたアニータだった。


「ねえ、その話よりも今は他にやるべき事があるんじゃないのかしら?」

「はっ?」

「そ……そうよ! ややこしい話ならまた何時でも出来るけど、今はブローディ盗賊団を討伐する為にこうやって出発するんでしょ? だから出るなら早く出るわよ!」


 アニータに続いてフェイハンからもそう促され、レウスと女達の奇妙な言い争いと誤解の連続はここで一旦中断となった。

 しかし、いずれまたこの言い争いは何処かで始まるだろう。

 心の中でおびえつつそう考えているレウスだが、ひとまずこの解けない誤解を抱えつつ出発するメンバーと地方を決める。


「それじゃ改めて、このブローディ盗賊団の作戦のメンバー分けを発表する。この王都ロンダールから西の方にある平原にドリスとアニータ、南の湖にサイカとエルザ、東の方にある砂漠地帯にソランジュとアレット、そして北に向かって国のほぼ中央にあるレイベルク山脈に再度向かい、現状調査をする俺とティーナとこの騎士団長フェイハンの三人の合計九人だ」

「皆さん、油断は禁物ですよ。何が起こるか分かりませんわ」

「そうね。それから私達三人の戦いが早めに済んだらそれぞれの場所に援護に向かうからね!!」


 そしてレウスは、昨日市場で出会ったあの二人組についても再度情報を共有しておく。


「後、出発する前に話しておきたいんだけど……実は昨日、例のコルネールとアーシアの二人に出会ったって話をしたと思うんだが」

「ええ、それは確かにしたわよ」

「その二人組なんだけど、何だか複雑そうな表情をしていたって言うのも話した筈だ。もしかしたらブローディ盗賊団と繋がりがあるかも知れない。万が一って事も考えられるが、もし俺達がこれから向かう拠点でその二人に出会ったら、生け捕りにして色々と情報を聞き出すんだ!」


 自分達の故郷ヴァーンイレスが完全解放に向かって動き出していると言うのに、あの表情には何か引っ掛かるものを感じたレウス。

 その二人は世界中を転々としていた事もあり、レウスはその関係を考えて何か嫌な感じがして仕方が無かったのだ。

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