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579.買収されたアイクアル王国騎士団

「で、その女王陛下は聞き慣れぬ声の男の話を聞いたから、それで俺達に依頼を?」

『そうだよ。だから俺様が直々にこうやってお前等にテレパシー送ってんじゃねーかよ』

「そう言われてみればそうだな……」


 レウス達はアイクアルの王都ロンダールに戻り、この国の騎士団員達に事の顛末を報告。

 その結果、オルエッタ女王陛下からのお言葉があると言う事で来賓室で待たされていた一行だったが、そこに突然エンヴィルークからのテレパシーが聞こえて来たものだから驚くのも仕方が無かった。

 ただし、来賓室に居ると言う事を伝えるとエンヴィルークの方も配慮してくれたらしく小声での受け答えとなった。

 パーティーメンバーの脳内だけに直接響いているその声は、部屋の外に居る騎士団員達には聞こえないので安心して受け答えが出来るのは良いのだが、余り大声を出したりすると怪しまれる可能性が高いのでそこに注意しながらテレパシーで会話を進める。

 その結果、レウス達はレアナが塔を抜け出してまで聞き出した会話の内容をエンヴィルークを通じて聞く事が出来た。

 勿論エンヴィルークの連絡内容だけで話は終わらず、レウス達も自分達がブローディ盗賊団と遭遇した事を伝えておく。


『それで、お前等の方は大砲を壊しただけで終わったってのか?』

「そうなんだ。別に争うつもりは無かったんで、大砲を壊してそれでしまいにする予定だったんだけど……そっちの話からすると、エドガーがそのブローディ盗賊団のリーダーと繋がっているってのは事実らしいな」

「叔父さんが……」

『エルザも辛いだろうけどよぉ、これは紛れも無く現実なんだ。だから受け止めなきゃ話が進まねえぜ』


 エドガーの更なる黒い話に対してショックを抑えられないエルザだが、そんな彼女に対してエンヴィルークはそう声を掛ける。


『それで、ブローディ盗賊団がまた動き出すつもりらしい。拠点が三つもあるって事と、大砲の再建造をするってのを考えるとあいつ等はまだ諦めちゃいねえだろうよ。それこそ、ブローディ盗賊団を壊滅させる位の気持ちで挑まなきゃな』

「そうだな。だがその三つの拠点の場所も分からないんじゃあ、どうすれば良いんだ? エドガーの話によるとこの国の騎士団は買収されてしまっているみたいだから、それを考えると騎士団に協力要請は出せないだろうしな」

「と言うよりも、出したら出したで騎士団に邪魔されちゃうのがオチでしょ」

「そうだな。だってレアナ女王からの話によると買収されているんだろう。それにお主がアークトゥルスの生まれ変わりだって言うのもそのフランコって言うあのリーダーの男に伝わってしまったのであれば、色々と考えて行動するべきだろうな」


 サイカとソランジュからそう突っ込みを入れられ、レウスは頭を抱える。

 自分の正体が、あのフランコと言う男が率いているブローディ盗賊団の連中に知られてしまったのも問題なのだが、それ以上に厄介なのはアイクアル王国騎士団が買収されてしまった事である。

 まさか一国の騎士団を買収するなんて、カシュラーゼには一体どれだけの経済力があるのだろうかと身震いする一行。

 まさかアイクアルの騎士団と同様に、これから自分達に合流する予定のリーフォセリアの騎士団長であるギルベルトも買収されているのではないか……と変な想像まで始まってしまった。


「いやいやいや、まさかあのギルベルト団長に限ってそれは無いでしょ。貴方はちょっと考え過ぎよ、レウス」

「いいや、分からないぞアレット……だって一国の騎士団を買収するのもそうだし、未知の兵器を開発したり大砲の実験で一国の王都を完膚無きまでに破壊したりって、カシュラーゼがやって来た事を考えると絶対に無いとは言い切れない」

「そうね……イーディクトで協力しに来てくれた時はまだそんな買収とかって素振りは無かったんでしょ?」


 一緒にイーディクトでレウスと行動していた時の事を思い出し、それをレウス自身に尋ねるサイカにレウスも頷いた。


「ああ。その時は全然そんな様子は無かったな。でも人は年月とともに変わってしまうものだ。それが良い方向であれ、悪い方向であれ……な。それにギルベルト団長は騎士団の繋がりで俺達よりもエドガーとの関わりが深い訳だし、用心するに越した事は無い」

「そう言うのは、エンヴィルーク様の方で探れたりってしないんですか?」


 今までの話をずっと黙って聞いていたアニータがエンヴィルークにそう質問する。

 だが、そもそもテレパシーを使えるレアナは直接応答が可能なのだが、例えばレウスの様な一般人には面識が無ければテレパシーを発動出来ない上に、エンヴィルークやレアナの様にテレパシーが使える存在からの一方通行のものになってしまう。


『俺様はその騎士団長のギルベルトって奴とは面識が無いから無理だぜ。面識がある奴の近くに居る奴だったらテレパシーの波動で繋げる事も出来っけどよぉ、流石に全く知らない奴にテレパシーは無理だから諦めてくれや』


 しかし、そのエンヴィルークの一言にレウスは違和感を覚えた。


「えっ、俺と面識ってあったっけ?」

『ああ。既に何処かで俺様と出会ってんぜ。それじゃ俺様も忙しいから、レアナの努力を無駄にすんじゃねえぞ』

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