表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

563/875

560.一人にさせてくれ

 衝撃の発言が次々と飛び出して来る現実に、レウス達は驚きを隠せない。

 その傍らで、気絶から回復したイルダーが別の話題を出して来た。


「そう言えば、気絶から回復した時にレウスとアレットから聞いたけど、あのウルリーカって女はここにも居たんだって?」

「ああ、そうだ」

「そうか……確かあいつは盗賊団の頭目だったな。今頃は多分、何処かに逃げてしまったんだろう。少なくともこの国内にはもう居ないかも知れないな」

「何故分かる?」

「そりゃあ、ガルレリッヒ村にも時折り盗賊の注意喚起が近隣の村や町から回って来るから分かるさ。それで盗賊の行動について興味を持って、色々と調べた事があったんだが……盗賊は盗みを犯した場所からすぐに離れるのは基本中の基本だろう?」

「それは確かにそうだな。だったら俺があの東の方で出会った赤い髪の盗賊団の男も、あのウルリーカって女も既にこの国を離れたって事か?」


 レウスの疑問にイルダーは頷く。

「そうとしか考えられないね。あのウルリーカって女が率いている盗賊団はこの坑道だけじゃなくて、東のあそこでも騎士団の物資を狙って行動していた。つまり自分達が段々と騎士団に目をつけられる可能性が高くなるって事さ」


 だから国外に逃げたのだろう。

 そう考えるイルダーだが、そう言われた所でレウス達はウルリーカの盗賊団が何処に向かったのかを考える必要があるので、話はまたややこしくなって来た。

 だが、それを聞いていた他のパーティーメンバーの中からティーナがこう言い出したのだ。


「もしかしたら、そのウルリーカって女が率いている盗賊団と、エルザの叔父さんは繋がっていたのでは無いですか?」

「ちょ、ちょっと姉様……」


 さっきとは逆の立場で、エルザにショックを与える可能性が非常に高い発言をし始めたティーナを妹のドリスが止めに掛かる。

 これじゃ言っている事とやっている事に一貫性が無いじゃないか、と思われても仕方が無いティーナに対して、当のエルザはと言えば動揺が隠せないながらも先を促した。


「私は……大丈夫だ。だから教えて欲しい。何故貴様はそう思うんだ?」

「だってそのウルリーカって盗賊がここに来ていた。そしてこの広場でこうして息絶えている自分の部下達や魔物達が、この扉を開けたその叔父さんに対して何もしようとしていなかったのでしょう。それはあの高台の上から、私達も望遠鏡でその姿を確認していますからね」


 エドガーがその盗賊団と何の関わりも無かったとしたら、普通は扉を開けようとしているエドガーに対して、自分達が狙っているお宝を先に狙う存在として排除しに掛かる筈だとティーナは指摘する。


「でも、あの高台の上から見た時からそのイルダーさんが近付くまで、彼はこの扉の前から動いていなかった。となればそんなにじっくりと扉を開けようと奮戦するだけの余裕があった。それにここに倒れている人間や獣人、そして魔物達も彼を攻撃しようとしていなかった事を踏まえますと、そのウルリーカって女がその叔父さんに攻撃をしない様に指示を出していた、と言うのが一番妥当な考えかと」


 ティーナのその推理に対して、納得が行った一行は何も言えなかった。

 しかし、それは同時にエルザに対して大きなショックをもたらす事にもなる。


「そうすると……叔父さんはカシュラーゼと繋がりがあって、更に盗賊団とも繋がりを持っていて……この中にあるお宝を狙っていたのか。何があったかまでは分からないがな……」

「エルザ……」

「すまないが、今はちょっと一人にさせて貰えないか。出発の時になったら声を掛けてくれ」

「えっ、でも……」

「サイカ、ああ言っているんだからお主も察しろ」

「え、あ……うん、そうね」


 エルザの気持ちを尊重して彼女を一人にするが、何処かへ行ってしまわない様に見張りとして少し離れた場所にイルダーが残り、他の全員は気を取り直して扉の奥にある箱の中を調べ始める。

 明かりが灯っていたであろう壁掛けランプは既に消えており、暗闇の中では何も見えないのでレウスが手の中にエネルギーボールを生み出して明かり代わりにする。

 だが、肝心の箱の中身は空だった。


「うーん、これだと既に持ち出されたっぽいわね」

「そうだな。お主はこの箱の中を見てどう思う? レウス」

「この箱の大きさからすると、そこまで大きな物は入っていなかったみたいだな。それから臭いもしない」

「臭い?」

「ああ。俺がアークトゥルスの墓の下で見つけたあのエヴィル・ワンの身体の欠片は、およそ五百年前に保存されただけあって臭かっただろう。それこそ、布で包まれていても分かる位にな。だけどそんな物がここに入っていたとしたら、持ち出されたとしてもそれなりの臭いは残っている筈だからな」

「だけどそれがしないって事は、ここには何も入っていなかったって話になる……か」

「そう。だからそれ以外の何かが入っていた話になる。エルザがさっき言っていた、エドガーがこの扉を開ける為に石像を使っただけじゃなく、自分の魔力をかなり消耗してまで魔力を使い続けたって。そうしてまで、エドガーはここにある物を何としてでも取り出したかったんだろうな」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お気に召しましたら、ブックマークや評価等をぜひよろしくお願い致します。
小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ