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535.女同士の激しいバトル

登場人物紹介にエルマン・マイヤールを追加。

https://ncode.syosetu.com/n0050fz/2/

「な、何だあれは!?」

「くっ……さっきの光の正体はあれか!」


 レウスとエルザはワイバーンを飛ばし、上空からその光の正体をようやく確認出来た。

 森の中の広場に、遠目で見ても分かる程に巨大な大砲が置かれている。恐らくその大砲が先程の光を生み出したのだろうと言うのは容易に想像がついたのだが、問題は誰が何の目的でそれをやったのかである。

 また先程の光が生み出される前に色々と確認しなければいけないので、レウスはイルダーと共にワイバーンを森の中の広場へと着陸させようとした……のだが。


「うおっ!?」

「危ない!!」


 咄嗟に緊急回避を強いられるレウスと、その緊急回避の唐突な動きにワイバーンの背中から落ちそうになるのを何とかギリギリで踏ん張って難を逃れたエルザ。

 何が飛んで来たのかと言えば、それはあの魔術都市イズラルザで自分達を背中から吹っ飛ばした謎の筒の弾丸に間違い無かった。

 と言う事は、その筒の持ち主は……。


「私が先に飛び下りる!!」

「お、おい……高所恐怖症はどうしたんだよ!?」

「この状況で四の五の言っていられるか!! はああっ!!」


 自分の恐怖症を一旦感情の中から排除し、再び広場に接近したワイバーンの背中からその広場に向かってバトルアックスを構えながらエルザが飛び下りた。

 そして飛び下りた先でエルザが対峙したのは、やはりあのイズラルザで謎の筒を使ってレウスとエルザを吹っ飛ばした二人だったのだ。


「やはり貴様等か……こんな大きな物を造って、一体何を企んでいる?」

「別に何でも良いじゃない。それよりも、こうやって何時までもしつこく追い掛け回していると嫌われちゃうわよ?」

「なら、貴様等が妙な事をしないのがまず先だ。こうやって妙な事をしているのだから追い掛け回すんだ」


 その一方で、レウスは接近したイルダーにワイバーンの上から指示を出す。


「おい、お前は王都に向かってくれ!」

「ええっ、僕が!?」

「そうだ。俺達に協力したいと言うのなら連絡係になってくれ! 王都に居る俺達の仲間達に連絡がつかないから、頼めるのはお前しか居ないんだ!!」


 本当は戦いで加勢したかったのだが、この状況ではそれもそうか……とイルダーは自分を納得させて頷いた。


「分かった! それじゃあんた達の仲間の恰好とか特徴を教えてくれ!」

「えーっと、それはな……」


 レウスがイルダーにパーティーメンバーの特徴を説明し始めた一方で、ヨハンナとエルザの二人はそれぞれ愛用の武器を手にして向かい合う。


「ふふふ……私と師匠を止める事が出来るかしら?」

「止めなければならないんだ。これ以上、貴様等の好きにさせる訳にはいかないからな!」

「そう……じゃあこっちから行くわよ!」


 ヨハンナの声で、赤いコートの女と赤毛の女のバトルがスタート。

 先に踏み込むのはヨハンナ。

 辻斬りとして活躍していた過去を持つ彼女の剣術は、こうして対峙した時にはとにかく短期決着を目論む「押し」のスタイルである。

 エルザは逆に余り前に出ないスタイルで、バトルアックスを両手に握って反撃のチャンスを窺う。

 割と大振りなヨハンナの攻撃をブロックし、避け、そのモーションから次にどんな攻撃をして来るのかを予想して身体を動かす。


(ショートソードを使っている割には思っていたよりもスピードも遅いし、攻撃も大振りだが……)


 まだ彼女は本気を出していない。

 わざと大振りな攻撃を繰り出す事で自分の様子を窺って、どう言う戦い方をするのかを調べているのだろう、とエルザは判断した。

 実力で言えば向こうの方が上かも知れないと考えたエルザは、真っ向勝負では勝てないと悟る。そんな彼女に、反撃のチャンスがやって来たのはすぐの事だった。


「ふんっ!」


 横薙ぎのモーションを利用して左の回し蹴りを繰り出すエルザだが、隙が明らかに大きい。

 その回し蹴りを上半身を屈めて回避し、一気にタックルでマウントポジションを取りに行くヨハンナ。

 しかし。


「……!?」


 マウントポジションを取られた筈のエルザの口に、それと分かる大きな笑みが浮かんだ。

 ヨハンナが戸惑いと驚き、そして少しの恐怖に一瞬動きが止まったのを見逃さず、エルザはヨハンナに強烈な頭突き。


「ぐへ!」


 思わず反射的に後ろに飛び退くヨハンナは、そのまま頭突きの痛みを逃がそうとショートソードを持っていない左手で頭を押さえる。

 そんな彼女の両肩に自分の手を置き、エルザは自ら後ろに転がりながら足をヨハンナの腹部に押し付け、勢いをつけて彼女を投げ飛ばした。


「ぬあっ……」


 一瞬の浮遊感を身体に感じた直後、背中から地面に叩き付けられる形になったヨハンナは、余りの衝撃に呼吸が少し止まったのが分かった。


「がはっ!?」


 息苦しさに身悶えしつつも何とか目を開け、辺りを見渡したヨハンナの目に映ったものは、自分の首筋に向かってバトルアックスの切っ先を突き付けているエルザの姿だった。

 本来であれば殺す所まで行くものだが、まだこの女には聞かなければならない事があるのでここで殺してしまったらこのバトルに勝った意味が無くなってしまう。

 そう考えていた矢先、エルザは何かがヨハンナの懐から転がり落ちているのに気が付いた。

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