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523.we made it!

登場人物紹介にクラリッサ・セネットを追加。

https://ncode.syosetu.com/n0050fz/2/

「はぁ、はぁ……やっと着いたぜ……」

「全くだ、貴様は飛ばし過ぎだぞ……!!」

「仕方が無いだろう、こっちは二人も乗っていて重かったんだからさ……」

「な、何だとぉっ!?」


 ワイバーンを飛ばし過ぎたせいで疲れたレウスは、言ってはいけない一言をポロリと漏らしてしまった。

 それを聞き逃さなかったエルザは疲れも忘れて激昂するが、そんな二人に声を掛けたのがイルダーだった。


「おい、喧嘩なら何時でも出来るだろう。それよりも僕にここまで案内させておいて、何も用事が無いなんて話は無いよな?」

「あ、ああそう言えばそうだな。とにかくこの町であの二人の情報を集めなければならないな。ここまで先導して貰って君には本当に感謝する。もう帰っても大丈夫だ」


 そう言いながら手持ちの金を少し手渡そうとするレウスだが、イルダーはそんなレウスに対して一つの質問があった。


「いや、僕がここで帰ってしまったら帰り道が分からないんじゃないのか?」

「それはそうだが、元々こっちには来る予定は無かったんだ。それに王都以外にも色々と見回ってみたい場所があるし、探し物もあるからな」


 しかし、そのやり取りを横で聞いていたエルザは違う考えを持っているらしい。


「おい、レウス。せっかくだから案内して貰わないか?」

「案内?」

「そうだ。貴様と私はあいにくこのシルヴェンの人間じゃないし、当然土地勘も無い。この男がこの町の場所を知っているのなら、この町の事も知っていると思う。だからあの二人をやみくもに捜し回るよりは、なかなか効率の良い捜索が出来ると思うのだがな」

「まあ、確かにそれは俺も考えてはいるんだが……無関係の人間をあの二人に会わせる訳にもいかないだろう。あいつ等は目的達成の為なら殺人も厭わないから、彼を巻き込んでしまう危険性がある」


 だが、目の前の外国人達の話題にされている当の本人は、レウスのその発言に何か思う所があったらしい。


「もしかして、僕が弱いとでも思っているのか?」

「いや、そうは言っていない。しかし俺達が捜している二人の人間は、君が思うよりずっと強大な相手だ」

「だったらそんな人間達に、僕の国で好き勝手させる訳にはいかないだろう。もしかしてその二人は、国境の城門を破壊したって言う人間と同一人物か?」

「それはまだ分からないが、その可能性は恐ろしく高い。だからここは潔く帰った方が身の為だぞ」


 レウスはイルダーの身を案じて忠告するのだが、その忠告を受け入れる気はイルダーには更々無いらしい。


「だったら尚更だ。その二人がこの国で何をしようとしているのか知らないが、変な事をされる前に止める責任が僕にはあるからな」

「えっ、おい待て。貴様はもしかしてこの国の有力者なのか?」

「まぁ、そんな所だよ。分かったらさっさと行くぞ。怪しい奴が変な目的の為に動いているのであれば、早速聞き込み開始だ!」

「あっ、おい……全く」


 自分の忠告を聞かなかったばかりに後悔する様な事になっても知らないぞ、と思いつつも結局そのイルダーも含めた三人でこのイズラルザでの聞き込みがスタート。

 イズラルザの名物でもある魔術研究所を始め、酒場や宿屋、スラム街や魔術学院と言ったありとあらゆる場所で聞き込みをする三人。

 しかしイルダー曰く、魔術師は捻くれている人種らしいのでコミュニケーション能力が異常に低かったり、変人が多くてその聞き込みは難航していた。

 元々引きこもって魔術の研究に没頭するタイプが多いからか、魔術師達からの目撃情報は全然得られなかったのだ。

 スラム街の荒くれ者達には余所者と言う事で絡まれてしまうし、宿屋や飲食店でも特に目撃情報は得られない。


「おいレウス、そっちはどうだった?」

「全然だ。スラム街では荒くれ者達に絡まれて無駄に体力と魔力を消費しただけで終わった。エルザは?」

「私もさっぱりだ。魔術師達は全然相手にしてくれない。ブツブツ言いながらこっちの質問なんて全然聞いていないのが居たり、研究の邪魔をされて怒り心頭の研究員に変な液体を浴びせられかけたり、もう散々だ」


 となると残りはイルダーの情報収集結果だけが頼りだ。

 ワラにもすがる様な目付きで二人の外国人に見受けられるイルダーは、苦笑いを浮かべながら自分の成果報告をする。


「赤毛の二人だが、どうやら郊外の廃墟で何かをしているらしい」

「何っ、それは本当か貴様!?」

「ああ。この町で露店の商売をしている猫獣人が、自分の買い物帰りに赤毛の二人を見掛けたらしいんだ。その場所も地図で記して貰ったから、早速行ってみないか?」

「そうだな、それが良い!!」

「助かったぞ。やはり貴様が一緒に行動する事になったのは間違いでは無かったのだな!」


 イルダーからもたらされたその目撃情報に従って、三人はようやくその赤毛の二人に再会する事が出来た。

 それもまさにギリギリ。

 何故かと言えば、アイクアルでの目撃情報と一致する物であろう筒状の物体を肩に担いで持ち、今まさに何処かへ行こうとその廃墟となっている民家を出た所だったのだから。

 レウス達は三人でその二人の進路に立ち塞がり、行く手を妨害する。しかし相手も相手なだけに、勿論それで大人しくしてくれそうには無かった。

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