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522.stop the redhead pairs,before city escape!

「そのドラゴンがあちこちで暴れ回っているせいで、私達は国境まで気が回らなかった。それだけは分かって貰いたい」

「あの、それって普通は国境専門の部隊とかって居なかったりしません? 国境警備隊とかそう言うのが居るんじゃないんですか?」

「ああ、居るぜ。だけどそいつ等が国境で殺されちまったんだろ? だったら連絡が遅れるのも仕方ねえよな」

(何、この他人事みたいな態度……)


 アレットを始めとして、アニータでさえもこのレメディオスとロルフの態度には内心でムッとしてしまう。

 この国の危機だと言うのにまるでそんなムードが感じられないので、自分がもし学生では無くて正式な冒険者の立場だったらガツンと一言言ってやりたい所である。

 そう考えていた矢先、アレットのその気持ちを代弁してくれたのがドリスだった。


「ちょっと、さっきから聞いていたら一体何なんですか?」

「何だって何だよ?」

「だって、管轄が違うとは言ったって貴方達は王国騎士団の人間なんですよね。だったらもっと危機感を持った方が良いと私は思いますけどね」

「そうですわ。ドラゴンへの対処も確かに大事ですが、国境を何者かに突破されたんですよ。しかもあんな大きな穴まで開けられて。なのにその他人事の態度は一体何なんですか。まだその赤毛の二人組が国内をウロついているかも知れないんですよ!?」


 姉のティーナも加勢してヒルトン姉妹がアレットの心の中を代弁したのだが、それでもレメディオスとロルフは態度を変えようとはしない。


「だから俺達もこれからその赤毛の奴等を捜したり、変な筒を探したり国境の惨状を調べたりするんだろうが」

「そうだ。こっちにはこっちの事情があるのだし、私達のやり方とお前達のやり方は違うんだ。これ以上、我がシルヴェン王国騎士団のやり方に口を挟まないで貰いたいものだな」

「なっ、何よそれぇ!」

「まぁまぁ、落ち着けドリス!」


 ドリスより一つ年上のソランジュが彼女をなだめ、そこで取り調べは終了して一行はボーセン城の中で待機を命じられた。

 その騎士団二人の発言にイライラしつつ部屋まで連れて行かれる一方で、ワイバーンに乗って飛び立って行ったレウスとエルザの身を案じるサイカが廊下の窓から見える青空を見上げた。


(二人とも、赤毛の二人をしっかり見つけてよね……!!)



 ◇



 王国領の北東に位置している、山の麓の魔術都市イズラルザ。そこに辿り着くべく、風を切ってワイバーンを進ませるレウスとドリス。

 イルダー曰く、そのイズラルザの外観は一言で言えば派手。出入り口の大きくて高い門から始まって、内部の家や施設のほぼ全てがカラフルな色合いをしている。

 その最大のシンボルとも言えるのが、門から一番遠く離れた町の奥に存在している魔術研究所である。王都シロッコの魔術研究所よりも、明らかに建物の大きさが縦にも横にもあり、出入りする人々も引っ切り無しなのだと教えてくれた。

 だからそれだけ派手で人の出入りも激しい町ならば、目印として分かりやすいので一目散に迷い無くワイバーンをぶっ飛ばすイルダー。


(くそ、速いな……)


 彼が乗っているワイバーンと、自分達が乗っているワイバーンとの飛行能力に差があるのか、全力で飛ばしているのにジリジリと離されて行く。

 いや、もしかすると自分の他にエルザが背中に乗っているので重いんだろうなと思い直すレウス。

 それを口に出したら何をされるか分からないのが怖い……と思いつつも、ここでスピードアップの為にワイバーンに向かって魔力を注ぎ込む。

 以前、ヴァーンイレス王国でメイベルを追い掛けてリリヴィスの町へワイバーンを飛ばした時に、彼女の操るワイバーンに追いつくべく使ったあれをまた使うのだ。


(だがやはり、ワイバーンへの負担も考えて余り多くは使用出来ないから……今だけ踏ん張ってくれよな)


 ワイバーンの運動能力をアップさせるべく、再び魔力を注ぎ込むレウス。

 スピードが上がれば上がる程コントロールは難しくなるが、持続時間はそこまで長いものでは無いのでエルザにしっかり捕まっていて貰えれば問題無いだろう。


「おいエルザ、今からこのワイバーンを魔力で加速させるからしっかり掴まっていろよ!」

「えっ……ちょ、きゃあああああっ!!」

(お、追いついて来た!?)


 そう言いながら魔力を入れ終わった途端、二人を乗せたワイバーンが一気に加速する。

 イルダーは後ろから一気に追いついて来たレウスのワイバーンに驚きを隠せないながらも、トップスピードで飛ばせるだけ飛ばしてくれと頼まれている以上は手を抜けないので、再び前を向いてワイバーンを北東に向けて飛行させる。


「急げ、急げ、行けえええええっ!!」


 メイベルを追い掛けていた時の様に空中でのドッグファイトをしている訳では無いのだが、急がなければならないのに変わりは無い。

 はたから見れば異常なスピードで大空を駆け抜けるワイバーンは、かなり気合いが入っていると思われてもおかしくない。

 空を駆け抜けるので特に障害物が無いのが救いであり、レウス達は空気の抵抗にのみ邪魔をされつつ一直線に北東へ向かって行った。

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